静かな場所

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セルの「田園」を聴く(ららら♪クラシックに触発?されて)

2018年01月18日 16時41分09秒 | ベートーヴェン

また「田園」記事ですが、好きな曲なので仕方ありません。
今回はジョージ・セルの指揮で。




ベートーヴェン/交響曲第6番「田園」


管弦楽:クリーヴランド管弦楽団


指揮:ジョージ・セル


録音:1962年1月

 昨夜、溜まってしまったららら♪クラシックの録画でも観ようということで「田園」の回を観ました。
 この番組、今のメンバーになってからとても面白くなりましたね。
 かなり録画が溜まってしまいましたが一応全部観ています。
 いや、決して牛田茉友アナウンサー目当てではありませんよ(それも無いことはないが・・・)。


 で、今回(って言うか、放送されたのは8月だったんですが)まず面白かったのは宮沢賢治のエピソード。


 有名な、この写真ですが・・・






 実は、尊敬するベートーヴェンの肖像画を真似て写真を撮らせたとのこと。




 しかも、7、8回も試し撮りをしたそうな。
 そして、深刻な表情だと思っていた賢治の顔は、実は(満足げな)うす笑いを浮かべているのでは、





というお話はとても楽しく、後半の宮川さんの楽曲分析よりもかなり面白かったです。




・・・ん?
 前置きが長くなりました。
 本題はセルの「田園」のことです。




 楽曲や演奏の印象が、最初聴いた時とはがらりと変わってしまう、ということはごく当たり前にありますが、この演奏もそうでした。
 セルのレコードをあれこれとたくさん聴きだしたのは廉価盤で再発売されるようになった1975年以降でした。
 それまではLPではEMIのシューベルト「グレート」、17センチ盤でベートーヴェン「第5」と「エグモント」「コリオラン」、ドビュッシー「海」の3枚を持ってたくらいでした。
 で、廉価盤でいろいろ買うようになってセルの凄さに引き込まれ、けっこう買い集めたのですが、どうも「田園」はピンと来なかった。
 録音も、当時の我が家の装置と相性よくなかったのか、ささくれ立って高音が歪んだ音でした。
 70年代、私の「田園」愛聴盤と言えば、何と言ってもベーム盤、そして刷り込みのスタインバーグ盤、そして新鮮な(?)フルトヴェングラー盤、という実態でした。
 当時の私の耳(心)にはセルの「田園」は、あまりに渋く愛想のない演奏に思われました。

 その後、CDを入手して認識は一変しましたが、昨夜と今日久しぶりに聴いて、あらためて感動させられました。
 いやはや、これはすばらしい演奏です。
 全編、耳が離せませんが、特に終楽章はなんと言ったらいいのでしょうか?
「究極の誠実さ」とかなんとか、くだらない喩えしか思い浮かびませんが、この徹底ぶりには、まるで金縛りに遭うかのようです。
 最後の、透明度がどんどん増していって折り重なる各パートがフレーズの最後までしっかり絶妙なニュアンスで弾き切っている様に、まるで荘厳ミサ曲の終盤を聴いているような気持にさせられました。

 最近、買い直したこのセット、音もなかなか良いと思いました。

George Szell Conducts Beethoven Symphonies & Overtures (Sony Classical Masters)
George Szell
Sony Classical



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4 コメント

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セル/CLOの「田園」 (narkejp)
2018-01-20 10:53:03
若い頃、苦労してセル/CLOによるベートーヴェンの交響曲全集LPを入手しました。このとき、ボーナス盤LPとして、セルとNYPとの「田園」モノラル録音が添付されていました。スタジオ正規録音と比べて聴きましたが、正規録音のほうがずっと良いと感じた記憶があります。LPではTpの音が強すぎるように感じましたが、CDで買い直したものでは、そんな印象はありませんでした。だいぶ以前の記事に、コメントをいただいておりましたね。
http://blog.goo.ne.jp/narkejp/e/68ab81ba78b061ca8bcae07257cf0b02
なんと、12年前ですね(^O^>/wa-o
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こんばんは (クラシカルな某)
2018-01-20 23:14:51
 こんばんは。ご無沙汰しておりますが、今年もよろしくお願い申し上げます。
   
 セルのベートーヴェンのこのセットを得てはおりますが、「田園」ほか、まだ全ての聴き直しは済んでおりません。ただ、世に「田園」の名演が数多くあるなか、セル/クリーヴランド管のものは唯一、聴き終えたのちに日本茶(煎茶、それも濃すぎるくらいならば薄めのものがよい)を味わいたくなるという特質を持っていると思うのです。
   
 わたくしも近日中にまた「田園」を、セル、スイトナー、オーマンディのもの等々で聴き直したく思います。
   
 寒さの再来が予報されておりますが、どうぞご自愛のほどを。
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narkejpさん (親父りゅう)
2018-01-21 09:55:37
そういえば、NYP盤「田園」の記事でもコメントのやり取りいたしましたね。
お互い、セルの指揮を愛する気持ちは変わらないですね。
それにしても、10年以上経っても自分の感性はちっとも進歩していない、というより衰えているのではないかと思えてなりません。
いやはやお恥ずかしい・・・
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クラシカルな某さん (親父りゅう)
2018-01-21 10:04:37
こちらこそ大変ご無沙汰しております。
貴ブログは「ちゃんと」フィードかけて拝読させてもらっていますが、いつも読み逃げですみません。
「聴き終えたのちに日本茶を味わいたくなる」という感覚、なるほど、分かるような気がします。
私は、聴いた後に、ベームや他盤の時とは明らかに違う「自分を顧みる」みたいな気持ちになりました。純粋無垢な音楽の裏にある極めて厳しい修練を感じたからでしょうか?よく分かりませんが。
しかし、例えば、ほんのちょっと強い目に鳴らされたホルンのロング・トーンにこれほど心を揺さぶられる、というのはセルならではです。
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