
ベートーヴェン/交響曲第3番「英雄」
管弦楽:シュターツカペレ・ドレスデン
指揮:若杉 弘
録音:1985年
ずっと棚で寝かせていた若杉さんとSKDのソニー3枚組を昨日から聴きだした。
昨日、ワーグナーで、今日は「エロイカ」。
マーラーは、かつて1枚モノで持っていたから、また後日聴こうと思う。
ちょっと前までだったら、この「エロイカ」、私は退屈したかも知れない。
でも、今、こういう演奏が本当に心に沁みる。
こういうのがいい。
ほとんどオケの美質だけが「モノを言っている」みたいな演奏だが、それは違うだろう。
オケの美質を最大限に生かして、全く何もしていないかのような表層で覆われた演奏。
はじめから終わりまで、特に「おおっ」と思う外面的所作は皆無。
でも、はじめから終わりまで、全ての音が聞き流すことができない深い光を放って過ぎていく。
余計な力みは無いが、聴いていて不思議と力のみなぎってくる「エロイカ」。
「エロイカ」を初めて聴いた中2の春、それはケンペ指揮のベルリン・フィル盤だったが、あの時の自分は「演奏がどうのこうの」なんて全然考えもせず、ひたすら「ベートーヴェンの第3交響曲『英雄』」を聴いていた。聴こうとしていた。
若杉さんの演奏は、あのときの感覚に似た感じ。
自然体?
なんと言うのがふさわしいのか、よく分からないが、凡演と紙一重だけど全く違う恐ろしく深みのある瞑想的解釈の指揮とでも言えばいいのか?
以前、テレビで観た若杉さんがN響とやったマーラー9番の最後の部分を思い出す。
最後までひたすら淡々と振り続け、音が消えた後の沈黙もなんにも無し。
禁欲的と言うか、芝居っ気全く無しのすごい献身的指揮だった。
あれに通じる「エロイカ」。
シュターツカペレ・ドレスデンの底光りする管弦が、この若杉さんのアプローチに見事に合致している。
あ~、忙しいけど、たまにゃあ反抗してブログも書かないとね
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