日々、いろいろな音盤を聴いていますが、ブルックナーはけっこう取り出す頻度高いです。
最近、7番を続けて3種聴きました。
その3番目に聴いたのがワルター盤。
これ、むかしむかし、もう40年ほど前に(友人のレコードで)一度か二度聴いたきりで、今回がほとんど初聴きみたいなもの。
CDは10年くらい前から未開封のまま棚で寝かされていました。
ブルックナー/交響曲第7番
管弦楽:コロンビア交響楽団
指揮:ブルーノ・ワルター
録音:1961年3月
これはいい演奏でした。
ひさしぶりにワルターの暖かく清々しい音楽に触れて、とても新鮮なひとときでした。
第1楽章・・・表面的にはさらっと進んでいくようですが、細部までよく練られていて、絶えずふくよかさやデリカシーが感じられます。
たぶん、しっかり練習を積んだうえで録音されたのでしょう。
技量的には超一流オケには劣るであろうコロンビア交響楽団ですが、聴いていて音色やテクニックで気になる部分は(この演奏では)ほとんどなかったです。
第2楽章も速い目のテンポで大きく揺れ動くことなく進みます。
しかし、中声部、低声部にも、控えめながら丁寧な表情付けがなされています。
聴いていて、本当に気持ちいい。
第2テーマもおおらかに始まり、ここでがらりと景色が変わるかのようなフルトヴェングラーとは全く対照的なアプローチです。
どちらもそれぞれいいと思います。
打楽器が入らないバージョンでした。
クライマックス後の陰影も味わい深い。
第3楽章で、ちょっと響きが変わったように感じたのは、収録日が違うからでしょうか。
(このセッションは数日かけて行われています・・・11日、13日、19日、22日、27日)
第3楽章では、トリオ(中間部)でかなり遅いテンポを採っており、弦の各パートが思い入れたっぷりに歌うあたりは、まさに「ロマンティスト・ワルター」。
ブルックナーのスケルツォ楽章では、私は以前から8番と4番のトリオが非常に魅力的だと思っていて、7番はそれに比べるとやや地味な印象でした。
今回、ワルターのかなり濃い表情による演奏を聴いて7番のトリオの魅力開眼といった感じです。
終楽章では、それまでとやや違ってテンポやダイナミズムの変化もけっこうあり、とかく「尻つぼみ」的になりがちなこの曲を、しっかりとまとめていました。
それにしても、7番の終楽章は本当にいい音楽だと思います。
ここには慰めがあり、また、そっと背中を押してくれるような強さを秘めた優しさもあります。
そして、未来を肯定的に見つめる眼差し・・・ああ、ブルックナーは本当に素晴らしい。
今は、音質が一新された盤が出ているのでしょうが、私はこれ(上の写真)で聴きました。
ワルターのCBS録音はモノ、ステレオともに早々と全部入手しましたが、このように買ったきり聴いていないのもいくつかあるようで、今後、ちゃんと聴いてやらないといけませんね。
今までのブルーノ・ワルター記事↓
モーツァルト/交響曲第38番「プラーハ」(コロンビア響)
モーツァルト/レクイエム(NYP盤)
ベートーヴェン/交響曲第4番(コロンビア響)
モーツァルト/<交響曲第41番「ジュピター」(NYP盤1956年録音)/A>
ブラームスの二つの序曲(NYP盤)
ベルリオーズ/幻想交響曲(ほとんど言及なし)
ワルターのモノ録音(「ジュピター」1945年録音などに少し言及)
シューベルト/交響曲第5番(NYP主体のコロンビア響、1955年録音)
「ワルターを聴く」のがマイ・ブーム
シューベルト/交響曲「未完成」(ウィーン・フィル1936年録音)
マーラー/交響曲第9番(ウィーン・フィル)その2
マーラー/交響曲第9番(ウィーン・フィル)その1
マーラー/大地の歌(フェリアー、パツァーク、VPO)
シューベルトの交響曲5番と「未完成」(ステレオ盤、言及極少)
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