第23回三重バッハ合唱団演奏会
バッハ/ミサ曲 ロ短調
佐波真奈己(ソプラノ)
小林まゆみ(アルト)
清水徹太郎(テノール)
萩原寛明(バス)
北住 淳(オルガン)
管弦楽:大阪チェンバーオーケストラ
合唱:三重バッハ合唱団
指揮:本山 秀毅
2012.5.13(日) pm.2:00開演
三重県文化会館大ホール
三重バッハを聴きに行くようになって、もう足掛け4年。初めて聴いたのは「ヨハネ」だった。一昨年の「エジプトのイスラエル人」は残念ながら行けなかったが、去年に引き続き、今年も、「三重バッハ」の世界に浸ることができた喜びのうちに、先ほど帰宅した。今年は「ロ短調」。
実は、昼に家を出るために朝からバタバタしていて、会場に着くまでひと息つく暇もなかった。もちろん昼食もなし。
そんなわけで、「キリエ」の世界は、冒頭こそ心臓にズンと来たが、その後は、やや夢の中で聞いた・・・という感じ。
第2「キリエ」で、翳りのある響きの合唱が戻ってきて、やっとこちらの「態勢」が整った。
冒頭からしばらくは、合唱のピッチも下がり気味であったが、次第に調子が出てきた。
今日は、特にメリスマ部分などの早いパッセージの鳴りがいまひとつだと思える部分が所々あった。この曲、難しいからね。
でも、味わいが伝わらなかったり感興を削いだりという程ではなかった。
三重バッハ合唱団の演奏を聴いて、いつも感じるのは、その謙虚さと直向さ。
余計な演出や目立つ味付けはほとんど無く、ただ熱い「気」が最初から最後までホールを満たす。
それは、この合唱団の美質であると同時に指揮者本山氏の目指すところでもあるのだろう。
プログラムに「カール・リヒターの言った『バッハの音楽の精神性はアマチュア合唱団にしか表現できない』と言う言葉を信じてひたすらきょうも演奏します」と記されていたが、正にその通りの演奏姿勢だった。
音色やテクニックなどは、ある程度のレヴェルをクリアしていれば、聴いていて何の支障もなく、私たちは余計な飾りや付属品のない「そのままのパッハ」を聴くことができた。
グロリア1曲目で加わる金管とティンパニの響きのなんと新鮮で意味深く感じられたことだろう。あれだけの、本当に小さなティンパニの音が、文字通り、聴き手の心を鼓舞する。
オーバーな強弱を排した「Qui tolis peccata mundi」は素朴ながら切々と胸にしみる。慰めるようなフルートのオブリガートが、ひらひらと舞い降りる。ああ、ここは、かつて、この曲を初めて聴いた時から心を揺さぶられる所。
ドラマ性の強い「ニケア信経」の、例の「十字架」の合唱から、一転して「3日目の復活」「昇天」と続くあたりは、実演で聴くと、本当に、この辺りが「ロ短調」の頂点(折り返し点)であることが実感される。
そして、ちりばめられた独唱曲、重唱曲と並奏されるオブリガート楽器のまばゆい後光の心地良さ。(特にトランペット、フルートは素晴らしかった!)
パチパチと派手に音を立てて拍手を送るのではなく、祈るように合わせた両掌を静かに開閉するような拍手を送った。それが、似つかわしく思える音楽会だった。
来年は「マタイ受難曲」をするとのこと。
今回、合唱団メンバーのMさんとHさんのご厚意で、聴くことが出来ました。実は、今までも、メンバーHさんのご厚意で聴かせてもらっていたのですが、Hさんは今回不参加とのことでした。ひょっとしてお孫さんのお世話で忙しかったのでしようか?お二方、本当にありがとうございました。
来週は、同じ場所で伊勢管弦楽団の定演。これも楽しみ。
一年一回の定演に賭ける伊勢管と三重バッハを、これからも応援していきたい。
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