静かな場所

音楽を聴きつつ自分のため家族のために「今、できることをする」日々を重ねていきたいと願っています。

日本センチュリー響 三重特別演奏会

2012年08月11日 23時59分32秒 | コンサート
 センチュリーが三重県に来てくれた。実際に聴くのは久しぶり。1994年の「21世紀への第9」(佐渡裕指揮)以来、同オケのファンとして、年に何度か聴いてきたけども前に聴いたときから、ほぼ4年が過ぎた。
 センチュリーだけじゃなく、実は、自分でチケット代を支払って聴くプロ・オケのコンサートって2009年の大フィル定期以来だ。
 沼尻さんの指揮を実際に聴くのは初めて。神尾さんのヴァイオリンも、たぶん、生では初めて。






日本センチュリー交響楽団  三重特別演奏会

プレトーク:沼尻 竜典


モーツァルト/歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」序曲


チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲

(アンコール:パガニーニ/24のカプリースより“24番”)


ヴァイオリン:神尾 真由子



メンデルスゾーン/交響曲第4番「イタリア」



アンコール:モーツァルト/歌劇「フィガロの結婚」序曲



管弦楽:日本センチュリー交響楽団



指揮:沼尻 竜典


2012.08.11 15:00開演 三重県文化会館大ホール



 激しい雷雨の中、会場に着いたのは開演15分前くらいだったが、着席してすぐに沼尻さんによるプレトークがあった。
 これは、曲やプログラムの紹介と言うよりも、オケの宣伝に重きを置いたもので、ちょっぴりユーモアを交えた、そのトークを楽しく聞かせて頂いた。
 そのトークによると、今日のメインの「イタリア」はCDになるとのこと。もっとも今日の演奏は収録されず、昨日のセッションと明日の琵琶湖ホール定期での収録をもとに制作されるらしい。

 さて、1曲目は「コジ」序曲。
 冒頭の和音が鳴り渡る。ティンパニこそ硬いマレットだが、別段古楽風にしていることもなく、聴き慣れたスタイルのふくよかな響き。
 久しぶりに聴いたセンチュリー響は、やっぱり美しかった。上手かった。
 この透明感と丁寧度、そして、ここぞというときのメリハリが懐かしくも新鮮だった。
 ここ数年の間に、いろいろあって、名前も変わったけども、オケのクオリティは落ちるどころか、前よりも一層レヴェル・アップしていると聴いた。
(その「名前が変わった」いきさつについては、沼尻さんによると「話し始めたら一日中話してしまうから、やめときます」とのこと)

 2曲目で神尾さん登場。
 オケの序奏部の何気ないフレージングの妙に、沼尻さんの閃きが聴いて取れる。
 次いで出てきた神尾さんのヴァイオリンは、おおっ、いい!素晴らしい!
 第1テーマへと導く短いレチタティーボの部分。もう、ここでの語りの上手さ美しさに引き込まれる。
 あとは、タイトなオーケストラと絶美のヴァイオリンの掛け合いに、クラクラしながら聴いていた。
 カデンツァでの聴衆の集中度はすごかった。
 空席、やや多い今日だったが、この豪雨の中ここに来たのは、やっぱり、本当に聴きたい人たちが多かったのだと思う。
 いい聴衆だった。

 休憩時に友人A夫妻や伊勢のマエストロS氏に会う。S氏は、最前列ド真ん中で神尾体験を目一杯満喫したようで、頭上に両手をかざしての拍手は、後方で聞いていた私の席からも目立っていた。彼は「(ヴァイオリンの)中音域がめっちゃ美しかった」と、気持ちウルウルと語ってくれた。

 メンデルスゾーンの「イタリア」は、けっこう難曲と聞いている。アマチュア・オケでも「スコットランド」や「宗教改革」はやっても4番は無理、というところがあるらしい。細かい音符をきちっと息遣いまで揃えてクリアするのが難しいのだろうか?
 私が「イタリア」を生で聴くのは、今日が初めてだった。
 さすが、レコーディングの中休み(?)ということもあるのか、終始とても抜けの良い整った響きが心地良かった。
 沼尻氏は、今までTVやFMでしか聴いていないけど、地味なようでいて、なかなか切り込みの鋭い音楽作りをされている。
 第2楽章からは、ほとんど準アタッカで、緊張感を持続しつつ部分部分の特質を浮き彫りにしながら進んだ。
 自分としては、メンデルスゾーンは、シューベルトやシューマンブラームスに比べると、どうも聴く機会が少ない。所持ディスク数もそれらの作曲家に比べると格段に少ない。たしかにシューベルトやシューマンなどに比べると陰鬱さや翳りの要素は少なく、すっきりと洗練されていて毒気に乏しいと思う。
 しかし、その洗練度は紛れも無い天才の手によるものであり、聴いていて、なんとよく出来た音楽だろうと思うのも事実。
「イタリア」にしても、最後に短調を持ってきて、そのまま終わることの構成の妙はすごいと思う。
 そんなメンデルスゾーンの独自の世界を十分に堪能させてくれた演奏だった。
 管のテクニックも、以前よりずっと高まっており、豊なニュアンスを醸し出していた。


 アンコールの「フィガロ」序曲は、沼尻さん棒を持たずに指揮。それも、それまでとは別人のようなノリノリの指揮。ほとんど「振ってみまショー」的ノリで、曲の愉悦感を最大限に表現していた。
 聴衆も沸きましたね。


 演奏後は足早に会場をあとにした。本来なら、知人の団員に一声かけたり、友人達とおしゃべりしたりしたかったのだが、今日は妻の50歳の誕生日であり、ヘルパーの帰った後、なるべく早く帰宅したかった。花屋さんであらかじめ頼んでおいた花を受け取り、ケーキを買い、夕食の寿司を買って帰った。









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2 コメント

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センチュリー (ヒロノミンV)
2012-08-13 00:37:44
 こんばんは。
 僕も、曲はラロでしたが、神尾さんとセンチュリーの演奏を高松で聴きました。コンクールで日本人が続々とアワードを獲得するようになりましたが、その中でも彼女は『別格』と思いました。

 センチュリーも本当にいいオーケストラと思います。経営的には大変だと思いますが、このレベルの演奏を地方公演でやってくれるオーケストラなんてそうそうはありませんから、大阪を拠点として、色々な街で演奏して欲しいと思います。
 それにしても三重は国内外のオーケストラの公演が充実していますね。羨ましい限りです。
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>ヒロノミンVさん (親父りゅう)
2012-08-13 16:55:18
センチュリーの高松公演の評判をヒロノミンさんの記事で読ませていただき、今回の三重公演を楽しみにしていました。
期待を裏切らない内容でした。
たしかに経営面は大変のようですね。表立っては言えない悔しいことも多々あるかと思いますが、それを跳ね除けるエネルギーが「いい音楽をする」という部分に集中的に出ているようで、かつて聴いていたころよりもオケの音がかなり向上しているとも思えました。
神尾さんは初めてでしたが、かつてデビュー間もない庄司紗矢香さんを聴いた時以来のインパクトでした。今後が楽しみです。
三重のクラシックコンサートは決して多いとは言えませんが、近いところで聴けるということは、本当にありがたいです。
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