静かな場所

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映画「悪い奴ほどよく眠る」を観る

2016年01月15日 20時06分03秒 | 映画、ドラマ
 黒澤明監督作品「悪い奴ほどよく眠る」(DVD)を観ました。

 どっちを向いても「悪い奴ら」ばかりの中で、香川京子演じる岩淵佳子の一途で(たぶん)純真な姿に救いと安堵を覚える映画でした。
 当たり前かも知れませんが、こういう演技、こういうキャラクターは、今の時代にはもう存在しないのでしょうね(残念)。
 あと、西幸一(三船敏郎)に自殺を阻止された後、次第に真っ当な人間性を取り戻していく和田(藤原釜足)にも「ほっと」させられる面がありました。
 サスペンス調で推移してきて、中ほどでネタバレになり、形勢逆転、そして、やりきれない結末へと、観終わった後に作品中の人物同様に無念さと怒りを覚える映画でした。
 本当に!
 ああいう奴らが、今の世にもたくさんいるのでしょう、きっと。

 かなり見応えある映画でした。
 やはり黒澤作品には見せられて(魅せられて)しまいます。
 氏の作品では、「自然さ」を追及するあまり、結果的に「不自然さ」が臭ってしまっていると感じられるケースが、例えば集団で動く場面などであります。
 この映画でも、いくつかありましたが、それも黒澤作品の「味わい」のひとつとして、私は肯定的に観ています。


 年末から、日本映画専用チャンネルで、黒澤明作品の特集をやっています。
 視聴契約をしていないので観られないのですが、「監督 黒澤明と歩んだ時代~世界は今も夢をみる~」という独自ドキュメント(全5回)が無料放送だったので、これは全部観ました。
 撮影に関わった人やご家族の方へのインタビューが、とても面白く興味深くて、黒澤作品が観たくてたまらなくなり、それでレンタルで借りてきたのです。
 没後10年のときにNHK-BS2(当時)で放送されたのを録画したDVD-Rも手元にあるのですが、アナログ放送の録画は、もう観るのがツライ・・・。

 氏の映画全30作品のうち、まだ観ていないのが7つあります(初期の「姿三四郎」から「素晴らしき日曜日」までの6作品と『醜聞(スキャンダル)』)。
 ひとつひとつ、観ていきたいと思っています。
 以前に観てからずいぶんと月日が過ぎたものもあり、あらためて見直したいと思っているものもたくさんあります。
 なにしろ、ずっと以前にオンエアされたものは画質も音質もよくなくて隔靴掻痒の感甚だしでした。
 ベータの時代に録った「七人の侍」や「どん底」などは、何を言っているのか分からないところが多々ありました。
 DVD化されたものは、かなり改善されているようですので楽しみです。







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