ベートーヴェン/交響曲第1番
管弦楽:ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:セルジュ・チェリビダッケ
録音:1989年6月25日(?)ライヴ
近ごろ、ピリオド・アプローチのベートーヴェンを続けて聴いていて、自分とは相性良くないことがますます明確になったようです。
で、その反動かどうかは分かませんが、思いっきり「非ピリオド」な演奏を聴きたくなりました。
チェリビダッケの指揮で聴くオーケストラは・・・これは別の意味で「ピュアトーン」な音楽です。
澄みきった響きに身を委ねる心地よさ!
強奏部の角はほとんどが丸く磨かれてソフトであり、人によってはイライラするだろうと思えるスロー・テンポによって、管の単純な音の上下行も実に豊かな存在感を持って進みます。
テンポが遅くてアタックが丸い以外は、実に「普通」でヘンテコなことは一切していない真っ当な演奏。
その美しく呼吸の深いことが魅力であります。
ビートの効いた速いテンポの演奏が聴きたいときは違うのをチョイスしますが、今夜はこれが「ちょうどええ」。
非正規盤(裏青)のため、ジャケ写真は自粛。
録音は、たぶんイン・ホールでしょう。細部やや不明瞭で残響美しい録音ですが、もう少しクリアなら言うことないのに・・・。
チェリのベートーヴェンは、もうじきスウェーデンとの選集が出るということで、こっちも楽しみです。
確かに人物像については、いろいろと書かれていますが、でも、それは誰でも大同小異のようにも思えます。巧みに隠して「いい人」ぶらないだけ「正直」とも言えるかも知れませんね。一般的には「いい人」だと思われている音楽家でも陰でボロカスに言われている人って、けっこういるようですし・・・。
私は、こういう生き方は嫌いではありません。
私は74年のFMライヴで衝撃を受けて以来、彼の音楽は(贔屓目もありますが)とても好きです。
和気藹々と練習して、ぜんぜんつまんない演奏を聴かせてくれるよりは、火花が散ってでも凄い演奏を聴かせてくれる指揮者がいいに決まっていますよね。