歴史だより

東洋と西洋の歴史についてのエッセイ

≪切りに関する囲碁の格言~『新・早わかり格言小事典』より≫

2021-09-01 17:24:47 | 囲碁の話
≪切りに関する囲碁の格言~『新・早わかり格言小事典』より≫
(2021年9月1日)

【はじめに】


今回のブログでは、日本棋院から出版されている工藤紀夫編『新・早わかり格言小事典 役に立つ囲碁の法則』(日本棋院、1994年[2007年版])に見える、切りに関する囲碁の格言について解説してみたい。
 具体的には次の格言である。
〇切った方を取れ
〇切り一本が勝負のカギ
〇切りちがいはハネ込んで(アテて)引く
〇ツケコシ切るべからず



【『新・早わかり格言小事典 役に立つ囲碁の法則』日本棋院はこちらから】

新 早わかり格言小事典―役に立つ囲碁の法則

さて、今回の執筆項目は次のようになる。


・はじめに
・切った方を取れ
・切り一本が勝負のカギ
・切りちがいはハネ込んで(アテて)引く
・ツケコシ切るべからず



 




切った方を取れ



【高目定石から】
≪棋譜≫(62頁の1図)

棋譜再生

☆高目定石から
・断点を二つ残しても、白4とハネ上げるのが定石である。
・あとは相手が「切った方を取れ」の教訓通り。
・つづいて定石は、黒a(6, 十八)、黒b(4, 十八)に分かれる。

【切った方を取る例】
≪棋譜≫(62頁の2図)

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・黒1から「切った方を」白2と取る。
※黒3、5と隅を与えるが、白も2、4で厚い。

【白がツグのはわるい】
≪棋譜≫(62頁の3図)

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・隅を取られるのはいやだと、白1にツグのはわるい。
☆次図と比べれば、その差ははっきりとわかる。

【切った方を取る別例】
≪棋譜≫(62頁の4図)

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・黒が1の側を切ってきても、白は2と「切った方を」取る。
※白2で3は、黒a(3, 十七)でわるい。
 もちろん例外もあるが、取れる石は取るにこしたことはない。
(工藤紀夫『新・早わかり格言小事典 役に立つ囲碁の法則』日本棋院、1994年[2007年版]、62頁)

切り一本が勝負のカギ



【「切り一本」で攻め合い勝ち】
≪棋譜≫(64頁の1図)

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・黒1の「切り一本」がこの攻め合いのカギである。
⇒この一手によってのみ、黒は攻め合いに勝つことができる。
(工藤紀夫『新・早わかり格言小事典 役に立つ囲碁の法則』日本棋院、1994年[2007年版]、64頁)

切りちがいはハネ込んで(アテて)引く


「切りちがい一方ノビよ」は有名で応用の効く格言であるが、「切りちがいはハネ込んで(アテて)引く」という格言もある。

【切りちがいはアテて引く例】
≪棋譜≫(64頁の3図)

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☆定石の一型
・白2、4が切りちがい
・黒は5とアテて7と引いた。
・この手法は、次に9のシチョウと、黒8の出を見合いにしている。

<注意>
・黒5で単に7、白a(8, 十七)、黒5は、白にb(7, 十八)とポン抜かせ、味気ない。
・9のシチョウ有利が条件。
(工藤紀夫『新・早わかり格言小事典 役に立つ囲碁の法則』日本棋院、1994年[2007年版]、64頁)

ツケコシ切るべからず


そうはいっても、いつでもケイマのツケコシを切ってはいけないというものではない。
いや、むしろ、売られたケンカ、買わねばならぬほうが、ケースとしては多い。

次のような場合こそ、「切るべからず」である。

【白1のツケコシ】
≪棋譜≫(153頁の1図)

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☆白は八子のシノギにかかっている。
 白1のツケコシは敵ながらあっぱれ。良いシノギである。
 ここは黒a(9, 十四、つまり白1の下)と出たい気持ちはわかるが…

【黒の出は一本道】
≪棋譜≫(153頁の2図)

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・黒1と出ると、あとは一本道。
・白8と切られ、黒の側が破綻をきたした。
※黒1は、「切るべからず」で、7とノビてがまんするところだった。
徹底抗戦は、不発に終わったときの“反動”が大きい。

(工藤紀夫『新・早わかり格言小事典 役に立つ囲碁の法則』日本棋院、1994年[2007年版]、153頁)