被造物がすべて今日まで、
共にうめき、共に産みの苦しみを味わっていることを、
わたしたちは知っています。
[ ローマの信徒への手紙 / 8章 22節]新約聖書 新共同訳
神様は、
人間と万物が神様の愛を中心に一つになり、
愛の世界をつくるのをみて
喜びを感じるために、
この世界を創造されました。
【直球&曲球】
■野口健 富士山の世界遺産登録にモノ申す!
◆ 産経新聞 2013.4.18 07:45
初めてエベレストに挑戦したときのこと。外国人登山家から「お前たち日本人はヒマラヤをマウント・フジにするのか」と言われ、意味が分からずキョトンとしていると「このエベレストは日本隊のゴミだらけだ。マウント・フジは世界で最も汚い山なんだろう」と。つまり、強烈な皮肉だったのである。
その言葉がきっかけで富士山清掃活動を始めたのだが、当時は環境問題に対する注目度が低く、関心を集めるために「富士山を世界遺産に」と発言してみた。世界遺産には自然、文化、複合とあるが、多くの人々はそんな細かなことには興味はなく「世界遺産」という単語だけに反応する。だから、それを利用すればいいと考えたのだが、今は猛烈に後悔している。
近年、静岡、山梨両県が富士山の世界遺産登録運動を展開し、ユネスコにも申請を行った。6月には結果が発表されるが、本心を打ち明けると「(今は)見送られてほしい」と願っている。富士山の清掃活動は広がりを見せ、確かにきれいになりつつあるが、現状のまま世界遺産に登録されれば間違いなく環境破壊に拍車がかかると思うからだ。
なぜなら、ただでさえ多い登山者が世界遺産登録によって激増する。鹿児島県の屋久島は世界遺産登録されてから多くの観光客が押し寄せ、苔(こけ)の森が踏み荒らされた。
一方、小笠原諸島は少し事情が違う。約10年前から石原慎太郎都知事(当時)は世界遺産登録を目標に掲げていたが、それは「(環境を)守るための世界遺産」だった。地方自治体初の地方レンジャー制度を立ち上げ、南島の入島制限やガイドの義務化など、徹底的に時間をかけ、受け入れ態勢を整えたのである。
富士山はどうだろう。今になって突如「入山規制の検討が必要か?」などと慌てふためいている。何ゆえに登録を目指すのか? この部分が最も大切なのに富士山に関しては準備不足のまま“世界遺産ありき”で突っ走っているような気がしてならない。
何も急ぐ必要はない。やるべきことにコツコツと取り組み、その結果、世界遺産に登録されればいいじゃないか。
◇
【プロフィル】野口健
のぐち・けん アルピニスト。1973年、米ボストン生まれ。亜細亜大卒。25歳で7大陸最高峰最年少登頂の世界記録を達成(当時)。エベレスト・富士山の清掃登山、地球温暖化など環境問題、戦没者の遺骨収集など、幅広いジャンルで活躍している。
(産経新聞 2013年4月18日 07:45 )
富士山再生プロジェクト
富士山清掃について
『野口健公式ウェブサイト』
http://www.noguchi-ken.com/
★野口健『富士山を汚すのは誰か』
清掃登山と環境問題
◆ローマの信徒への手紙 / 8章 20節
被造物は虚無に服していますが、
それは、自分の意志によるものではなく、
服従させた方の意志によるものであり、
同時に希望も持っています。