昨日のメルマガに掲載した、
2002年に書いた小さい物語をこちらにも載せます(^^)
以下昨日のメルマガより
はい、ミカっち(^^)
今日は、2002.7.4に発行したメルマガで、『膜宇宙と潜在意識』というエッセイを書いたのですが、その中に書いたファンタジー風のショートショートを掲載します。
ちょっとだけ手を加えておりますが。
16年前はまだ、思考はエネルギーだと実証されていなかったような気がします。
思考も愛も波動でありエネルギーだと実証されるのはうんと未来のことのように思って書いた物語なのですが、今では普通に思考はエネルギーと一般書籍に書かれている時代になっていることに感動を覚えます(*^_^*)
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ショートショート 〜天使裁判
「博士、この波動数置換装置で表示されたデータを見て欲しいのですが…」
僕はどうしても気になっていたことを勇気を出して博士に尋ねてみた。
この世界のあらゆる物質は一定のエネルギーを放出しており、そのエネルギーの波動を数字で置き換えることが出来るようになってから、様々な研究が急速に進んだ。
思いも波動であることが証明され、その強さや質さえもエネルギーの数字で表せるようになってからは、それまで反目状態にあったオカルト的とされてきた分野と科学との融合さえも飛躍的に進んだ。
そして今、人々が愛とか祈りと呼ぶ精神状態になったとき、ある種のエネルギーが出ていることがわかってきて、その臨床実験が盛んに行われている。
僕の研究室では、そういう精神状態にあるであろう人々とその周辺の環境を、特殊な撮影を施すことで、その瞬間のエネルギーを画像化することに成功していた。
僕の班は、21世紀の半ばから世界各地に登場しはじめた『愛の伝導師』と呼ばれる、癒しの力があると信じられている人々の思考のエネルギー撮影を担当していた。
その人々の多くはあまり研究には協力的ではなかったが、彼らのほとんどは争うことを嫌い、平和的な性質を表すエネルギー数値を示していた。
そのため、余計なトラブルになることなく着々と撮影データを収集することができた。
その人々のエネルギーの場を画像化しているうちに、僕はあることに気がついた。どの画像にも、まったく同じような不思議な形のエネルギーの吹き溜まりが存在するのだ。
それはうっすらとしか見えなかったが、でもすべての映像に共通するある形があった。
その吹き溜まりの現れる場所は複数あったが、多くは愛の伝導師たちのすぐ後ろであったり、やや上方だったりした。
その吹き溜まりの形というのは…
「博士、僕にはこの形があるものに見えて仕方ないのです」
「いいか、それ以上言うな。
おまえの言いたいことはなんとなく察しがつくが、いくらオカルトと科学の融合が進んだとしても、それを科学が認めるわけにはいかんのだ。絶対ありえないことなのだ」
「しかし博士、ここまではっきりと、すべての画像の吹き溜まりが、全く同じ形を示しているのですよ。
偶然とか画像処理上の汚れとかそんなレベルでは片付けられないほど多数のデータが存在するのです」
「言うな、頼むからそれ以上言うな!」
「博士、僕はこの背中に当たる部分に大きな羽を広げた、人間の身体にそっくりな形の吹き溜まりのことを、もしかしたらこれは、て、てん…」
「頼むから黙ってくれ〜!!」
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数年後、のちに天使裁判と呼ばれ後生の人々に笑われることとなる、ある学会会場の天井で、こんな話し声がしたという記録が残っている。
以下、その時聞こえた会話の記録である。
『それでガブちゃんは、どうして俺をここに連れてきたんだ?』
『聞いてや、ミカっち、実はな、どうやら人間たちは、わいらが実在するかどうかを研究して、その研究結果をこれからここで発表するらしいんやわ』
『研究発表?』
『そや、研究のデータをもとに検証するんやて』
『一体何を検証するというんだ?』
『聞いて驚かんでよ、なんとな、天使がほんまにおるかどうか、なんやて』
『天使が本当にいるかどうかだって?
俺たちが存在するかどうかを、この場の人間たちが話し合って決めるっていうのか?』
『そや、おもしろいやろ』
『それはかなり笑えるな、ガブちゃん』
『な、笑えるやろ、ミカっち』
その後いつまでも、楽しそうな笑い声が天井から聞こえていたという。