新作 ～ 「妖精の結婚式」 その１４

そしてさらに、続き。


2014年6月10日～ブログ直接投稿　「妖精の結婚式」　その１４

　　ん？　とさやかさんはカエルを見た
　　結婚式は　あと十日ほどなのですが
　　手入れしてくれる方が　いなくなって
　　カエルは　手の上でうつむいた
　　花たちの体調が　悪くなってるんです

＜つづき＞

さやかさんは　辺りを見回した
夜目でよく見えないけど　庭いっぱいに
色とりどりの花が　咲いてるようだった
ちゃんと　咲いてるようだけど？
そう言うさやかさんに　カエルは頭を振った

咲くだけじゃ駄目なんです
元気でいないと　とカエルは言った
積った落ち葉で　光や風が足りない者や
雨風で折れたままの者とか　いろいろで
カエルは　おどおどと妖精を見た

妖精は　二人の話には関心なさげに
まだ　服をせっせと乾かしていた
僕らもできる限りはしますけど
大きな枝とか　大量の葉っぱとかは
僕らじゃ　どうにもできなくて

あーつまり　とさやかさんは言った
私に　庭掃除をしろってこと？
いえ草木たちの元気づけです　と
カエルは　きっぱり返した
どっちだっていいわよ　とさやかさん

話は分かったけど・・・
さやかさんは　葉越しに家を見た
でも・・・勝手に入って
庭掃除なんかしてたら　いくらなんでも
ここの人に　見つかっちゃうでしょ

ここの人？　カエルはきょとんとした
ここの家の人よ　とさやかさんは言った
いえですから・・とカエルは言った
今いないんです　いなくなったんです
はあ？　とさやかさんは声を上げた


＜つづく＞



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