因縁を切っていく修行というものは、
蝉が脱皮していく様を見るようなものだなあと,
先日、
友人の話を聞きながら、思ったのでした。
私の周りには、
修行を進めている法友がけっこういます。
つい先日も、
その法友が、自分の手相を見つめながら、
自己分析して、
自分の運勢の説明をするのでした。
確かに、
私も数年前に彼の手を見たときには、
知能線が途中で切れていました。
それで、
ああ、頭の病気を持っているなと感じたのですが、
その彼は、最近の自分のことを、
思慮深くなったと言うのでした。
自分で言うか?と少し笑いながら聞いたのですが、
それは確かに、
彼の手相の知能線は、みごとにつながっているのです。
少し個性的な、ファチマの目の形になってはいましたが・・・。
そこで、
彼の運命がそこにも変化しているのがわかりました。
確かに、以前には
彼から受ける印象に、
抑圧意識から来るところのマイナスの波動を感じていました。
それが今は消えているのです。
受けるのが、自然な感覚なんですね。
そういう点からも、
彼には脳障害の因縁が消えていることが分かります。
彼だけではなく、
他にも、外からの印象だけで分かる人もいるし、
反応の仕方が以前とは違ってきていることで分かるのです。
そして、
そんな彼らの話を聞きながら、
ふと、
夏のセミを思い出したのですね。
7月末から8月の頭にかけて、
梅雨の明けたことを知らせる蝉時雨(せみしぐれ)。
あれが聞こえてくると、
もう夏を知らせる証拠ですね。
無数の蝉がミンミンミン、ミーンとなり始めると、
もうこれは確かに、
ザーッと降ってくる夏の時雨のように
すごい勢いで蝉の大群の鳴き声が始まります。
その中で、
私の家の庭に生えている樹木から、
上ってきた一匹の蝉の幼虫が、
そうしばらくもしないうちに、
いつの間にか、
抜け殻となって、蝉が飛び立っている。
その蝉の抜け殻を見るような、
そんな感覚に私はとらわれたのでした。
私たちは、仏・法・僧の三宝の下で、
修行を進めています。
一時的には、
良くない因縁が出ているようにも見えますが、
それは長い時間をかけて観察すると、
仏陀のバイブレーションを受けて出ている、
自分自身の因縁の洗い出しであることが理解できます。
それが見えるのですね。
確かに決してインスタントな方法ではないでしょう。
ですが、
確かにそれは解脱していっているのです。
因縁解脱の法が、
私たちの悪因縁を洗い流して、
私たちの不幸の本を断ち切ってくださっていることを。
それを私たちは確かに実感するのです。
そんなことを考えながら、
私は自分が蝉のようだと、
そして、
蝉が幼虫から脱皮して、
その殻を脱ぎながら、
きれいな羽を生やした一匹の蝉になっていく。
そして、
その蝉は緑色の筋を透明な羽に見せながら、
やがて時が来るのと同時に、
さーっと空に飛び立っていくのです。
本当に素晴らしいことですね。
途中でやめないで良かったと。