♦️9『世界と人間の歴史・世界篇』太陽系近傍

2018-04-09 21:27:53 | Weblog

9『世界と人間の歴史・世界篇』太陽系近傍


 人類のような生き物は、地球以外にどのような環境で生きていられるのだろうか。ざっと考えただけでも、適度な温度、適度な水分、適切な組成の空気などが必要だ。某かの食べ物もなければならぬ。それらから類推すると、私たちのいる太陽系内には私たちが安全に住むための自然環境はまだ見つかっていない。それでは、他にどんなところがあるのだろうか。
 想像力をたくましくして空を眺めてみよう。すると、天気のよい夜なら、自然豊かな場所に行くと満天の星が見える。数多(あまた)の星々があるうち、私たちの近くにあるのは、どんな星なのだろうか。それに、輝く星には、そのまわりに輝かない星が隠れている筈だという。その輝いていない方の星を探す。そんな中で、生物環境に適した星を探してみる。
 人類の近代に入ってからは、その大いなる仕事に望遠鏡が使用される。偶然の巡り合わせに期待して多方面にそれを向けたり、ある推定、しかも理屈に合った方向にそれを向けてみる。その数をこなしていくうちに、某かの発見に域当たることがある。
 現在までに、太陽系に近いところの星の中から、有望とみられるものが現れてきている。ただし、有望といっても、実にかすかな可能性でしかないし、確かめるすべもない位だ。もう一つのアプローチは、もっと遠くにある星の中から、地球と似たような環境にある星を探し出すことだ。
 前者の試みでは、南半球でよりよく見える、南十字のそばに薄く輝く(-0.0等星)ケンタウルス座α(アルファ)星が見つかっている。この星だが、地球から4.3光年の距離にあるという。冬の夜空に青白くかがやく「おおいぬ座」のシリウスは 地球から8.7光年にあるというから、それの半分くらいか。
 ちなみに、地球と太陽の距離は、1億4960万キロメートルと見積もられている。かたや、光の速さは毎秒29万9792.458キロメートルにして、その光が1年かかってた進む距離を1光年という。つまり、1光年とは9兆4600億キロメートルということになる。そこで、地球と太陽の距離を1光年の距離で割ってみると、0.00001581光年、これを分(ふん)に直せばおよそ8分19秒となるではないか。
 つまり、太陽から出た光は約8分後に地球に届くであろう。私たちの眼に見えている太陽は、肉眼(裸眼)で見ると失明するのでそのままで見てはならないのものの、約8分前の姿を写したものなのだ。したがって、ケンタウルス座α星までの4.3光年という距離は、地球から太陽までの距離と比べ天文学的に大きな距離であると言わねばならない。
 また後者では、地球から39光年離れた恒星(「TRAPPIST-1」という)の周りに、地球に類似した7つの惑星が回っているのを見つけたという。そして、これらにつき水が液体の状態で存在しているのではないかと想像している。また、それらのうち3つの惑星には海や大気圏がある可能性があるとまで語られる。もしそうであるなら、それらの星に何らかの生命体が存在する可能性が出てくる。ただし、この推論においては、今のところ、それらの可能性がどのくらい高いかは触れられていないようである。

(続く)

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♦️317『自然と人間の歴史・世界篇』マルクスの歴史認識(「資本論」)

2018-04-09 09:01:45 | Weblog

317『自然と人間の歴史・世界篇』マルクスの歴史認識(「資本論」)

 マルクスの「資本論」は、世界で今も読み継がれている。しかも、全世界の人々にである。この種の書物としては、他に類例を見ないだろう。生前の出版という意味では第1巻だけであり、彼の死後膨大なノートが残された。未完の書ではあったが、友人であり盟友のエンゲルスらの努力により、後に第2、3巻が追加される。
 この書は、なんといっても論争の書であって、しかも21世紀に入っての現在、過去の問題を取り扱っていない。将来の話も入っている。したがって、これを擁護する側も批判する側も、その意議と限界を見極めようとする人々も、色々と論じられてきた。経済学を取り扱っているのだが、その中に含まれる学問領域には歴史学も含まれる。一説には、このことは「歴史的・論理的」と評される。
 ここでは、第3巻第1部第3篇第15章の中の末尾の節を、紹介しておきたい。
 「資本主義的生産の3つの主要事実。
(1)少数の者に生産手段が集積されること。これによって、生産手段は、直接的労働者の所有として現れることをやめ、反対に生産の社会的な力に転化される。最初は資本家の私的所有としてであるが、資本家はブルジョア社会の受託者であるが、しかし彼らはこの受託の全事実を取込む。
(2)労働自体の社会的労働としての組織。協業、分業、労働と自然科学との結合、によって。二つの面から見て、資本主義的生産様式は、私的所有と私的労働とを止揚する。もろん対立的な諸形態においてである。
(3)世界市場の形成。
 資本主義的生産様式の内部で発展する人口に比して巨大な生産力と同じ割合においてでないにせよ、人口よりも遙かに急速に増大する資本価値(単にその物質的基底のみでなく)
の増大は、この巨大な生産力がそのために作用して、増大する富に比して相対的にますます狭隘となる基礎とこの膨脹する資本の価値増殖関係とに矛盾する。かくして恐慌か生ずる。」(向坂逸郎訳、岩波文庫)
 
(続く)

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