♦️325『自然と人間の歴史・世界篇』人間の歴史と自然の歴史

2018-04-13 08:48:37 | Weblog

325『自然と人間の歴史・世界篇』人間の歴史と自然の歴史

 このように画期的なダーウィンの進化論「種の起源」であったが、この中にある、種の変異が歴史的に生じてきたという一点を除くと、脆弱なところが多かった。それらの論点のうち、例えば、社会科学との関わりについては、カール・マルクスが、次のように述べている。
 「ダーウィンは、自然技術の歴史に、すなわち動植物の生活のための生産用具としての動植物の器官の形成に、関心を向けた。社会的人間の生産諸器官の形成史、それぞれの特殊な社会組織の物質的基礎の形成史も同じ注意に帰するのではないか。そして、このほうがもっと容易に提供されるのではないか。
 というのは、ヴィコも言っているように、人間の歴史が自然の歴史から区別されるのは、前者がわれわれが作ったものであるが、後者はそうではないということによるのだからである。」(マルクス「資本論」第1巻第12章の注31、1867)
 「この著者(マルクス)が、現在の社会は、経済的に見て、ある新しいより高い形態をはらんでいる、ということを指摘するとき、彼は、ダーウィンが自然史的に指摘したのと同じ漸次的な変革過程を、ただ社会的に指摘しているだけである。」(マルクス「資本論」第1巻第13章の注89、「マルクスからエンゲルスへの書簡、1867年12月7日」1867)
 つまり、ここでのマルクスは、人間の歴史の記述と自然の歴史のされとは区別して行われるべきであって、その前者を後者の一派による自然淘汰の法則なるもので、しっかりした現実分析なくして、安易に塗りつぶすべきでない、と述べているのではないか。

(続く)

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