うっすら雪降る朝、街でこんな風景を見た。三脚を構えて写真を撮る人あり。
ううむ寒いだろうに、たいへんだなあ、通り過ぎるぼくは、横に、ポケットに手を入れたままの若い男を発見。きっとお弟子さんだと思うが・・・師匠がカメラ構えて高いところからフォトを撮っているとき、三脚なり師匠をがっちりと支えて、少しでも危険を回避する気はないのかと思ったね。うっすらと氷が路面に・・・たとえ、師匠から言われなくとも・・・まあぼくならぼんやりと突っ立ちはしまいねぇ。
実はぼくは、師匠についてお弟子さん、徒弟制度なんです…写真の世界も、を経験したことがない。撮影現場ではもちろん、いつも怒られているお弟子さんを見たことはある、なんども。
なんであんなに怒るんだろうなと思いながら…。
でも違うんだなあ、つまらない人はまれにいますよ、でも、本当によくできた師匠なら、お弟子さんを採った以上、一日も早く技術を身につけて独り立ちして欲しいと思うんだなあ。その為に技術的なことなど一日も早く身に着けて欲しいんだと思うんですね。
森山大道氏が、紹介により、写真家、細江英公氏のお弟子さんになった時、きっと三島由紀夫を撮り下ろしたころだったんだろうか。森山氏の思い出によれば、この時期が一番楽しかったと本に書いている。スタジオで撮る女優さんをプールの底に沈めてくれと言われれば、そうやったとか・・・。後に、森山大道の写真作法と、スタジオで撮る、いわばごく普通の、普通じゃないか、プールに押し付けて女優さんの顔やら姿を撮るなんて、とにかく、ぼくには意外でありました。ぼくの中では、細江英公氏の本の中では、『鎌鼬』難しい字、釜鼬、と書くんですが・・・この写真集が大好きで、長いこと持っていたが、お金に困って、ある時にある方に譲ったのでした。10万円でした。閑話休題。
今では森山大道氏も大忙しで、師の細江氏もお元気でいらっしゃるようで結構なことですねえ。
徒弟関係と言えば、落語の世界もすさまじいものらしく、たとえば、
「赤めだか」立川談春著 などをお読みになると、落語の世界のすさまじき徒弟制度のことなど読めて、また猛烈な絶対的権威たる師匠の様子、立川談志氏がまたすごいひとで、・・・とにかく猛烈な世界なようでビックリしながら読みました。
ヤッパリ、鍛えられるときに鍛えてくれるお師匠さんがいて、というのは、創作する者には必要なんだと思いますね。
たとえば、、これもハッセルブラッド賞を取られた浜谷浩氏にも、ついて学んだお弟子さんがいて…この話はまたの機会に致しましょう。
ひとりで、勝手に写真の仕事を始めたぼくなどはやっぱり駄目ですねえ。
フォト・文 石郷岡まさお