バリの家寺の祭りを初めて見た。滞在ホテルのオーナー一家が毎年一回行う行事で、今頃の満月の日を選んで行われる。日曜日の朝9時ごろにホテルの端にある家寺の場所に行ってみると既に儀式は始まっていた。ガムランが奏でられている。よく見るとホテルのガードマンやスタッフ達が正装して各自ドラムやゴングなどを叩いている。こうしてみると別人に見える。
家寺はみたところ5メートル四方で、海側に祭壇がありそれに向かって僧が祈りをささげている。聖水を振り掛けながら祈りを唱えている。それが終わると僧は目前の祭壇を片づけて帰って行った。僧が帽子風のものをとると頭はちょんまげ風に縛ってある。おばさんにも見える顔立ちだがうっすらと白いひげを蓄えているので男性だとわかる。
次に一家の女性が祈りを捧げる。右手の人差し指と中指のみをくっつけて花をはさみ、ひらひらと舞わせる。ときおり聖水を籠に振るいかけては隣の女性に渡して、次の籠に聖水をふりかける。籠を浄化していっているように思えたがよくわからない。
隣に座っているバリ人の男女のうち、男性がご詠歌風の歌を歌いだす。これは日本で子供のころ聞いたご詠歌に瓜二つで、ルーツはこのあたりにあるのだろうか。あるいは別のルートからわかれたものだろうか。ときどきホテルオーナーの父君がみずからご詠歌に加わる。歌詞はアルファベットで書かれているが、バリ語なのだろう。バリ語と言えばすぐ近くに石碑があり、バリ文字で書かれていたが、今では読めるバリ人はほとんどいないという話を聞いた。
儀式が終わるとバビグリンをはじめとしたなじみの食事がバイキング風に供される。デンパサールのバビグリン屋から取り寄せているもので、実に美味しい。赤みにうっすらと黄金色が光るスープが特に素晴らしかった。
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