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7月1日の中国共産党結党100周年記念式典を終えた習近平は大手ハイテク企業に対する締め付けを強めている。共産党のポリシーからみれば当然のなりゆきだろう。
鄧小平の言「白い猫でも黒い猫でも鼠を捕る猫がよい猫だ」が成り立たなくなってきた。つまり、共産党のコントロールが効く限り、資本主義社会でおおいに金儲けしてくれる存在は大歓迎だったのが、巨大になり共産党のコントロールが危うくなってきた。特に情報漏洩の観点から。
米国で上場するということは、最悪米国企業や投資家に買収される可能性も生じる。あるいはLINEの事例研究でもしたのだろうか。こうした場合に大手株主企業に中国国民情報をとられ戦略的に使われることも視野に入る。それを極度に恐れていることがわかる。
白い猫はたしかに金を設けてくれるが、同時に黒い猫を駆逐し、飼い主までも危険にさらされるステップに入ったということだ。
鄧小平の言は方便であり、もう白い猫は必要なくなった。毛沢東にわが身をなぞらえ、鄧小平の言は必要悪とみなしてきた習近平の本音の宣言だろう。
中国ネット配車サービス最大手の滴滴出行(ディディ)は6月30日、米国ニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場を果たし最大で51億ドル(約5648億円)を資金調達した。
2日後、インターネット規制当局の中国サイバースペース管理局(CAC)が滴滴出行へ立ち入り調査。
6月に成立して9月から施行される「データ安全法(データセキュリティー法)」など中国の厳しい規制環境が企業の評価額を低下させることを懸念 米国でのIPOを実施し、投資回収を急いできた。CACが強制調査に着手した。
先週末に規制当局によって配車アプリのダウンロード停止を命じ週明けの6、7日には滴滴出行株は前週比で30%超の下落 電子商取引最大手のアリババ集団株も大きく下げた。
中国の巨大IT企業は国内よりも多額の資金を調達できる米国など海外の市場でのIPOを選択してきた。
中国国家インターネット情報弁公室は10日、大手IT企業が国外の株式市場に上場する場合、計画の事前審査を義務付ける方針。
事前審査の対象 100万人以上の利用者の個人情報を保有するIT企業。国家安全保障の視点から「重要な情報インフラやデータ、大量の個人情報が外国政府による影響や管理、悪用にさらされるリスク回避のためとしている。
昨年11月にアリババグループ創業者の馬雲がフィンテック企業アント・グループの超大型新規株式公開(IPO)中止 10日には、国外上場を目指すほぼ全ての企業に対し、サイバーセキュリティー審査を受けるよう義務付ける新たなルールを提案。
ロサンゼルスのプライベートエクイティー(PE、未公開株)投資会社ペイトリアーク・オーガニゼーションのエリック・シファーCEOは中国のハイテク業界は「根底から変わる」ことになると。