スコット・フィッツジェラルド「グレート・ギャツビー」でもトムの愛人がトムの夫人にはねられて死ぬ。これも生霊ではないがトムの夫人の無意識の嫉妬が事故を引き起こすと読める。
ギャツビーのトムに対する嫉妬、奪われた女を奪い返すことがギャツビーを闇の経済で緑の灯火に向かわせる原動力となる。男の嫉妬の現われであり、怒りはトムに向かう。空振りに終わることで悲劇は幕を閉じる。緑の灯火はある意味嫉妬の炎でもあった。
ギャツビーがトムの夫人マリガン・ デイジー・ブキャナンの運転過失を自分の身に振り替えるのはレイモンド・チャンドラ「長いお別れ」のテリー・レノックスがアイリーン・ウェイドの殺人を自分の身に振り替えることを想起させる。
振られて嫉妬に燃える男が振った女の罪を自らの身に受ける。この小説の方は他にも探せばありそうだ。