4.3兆円の巨費を投じたNTTドコモの完全子会社化は世間の注目を集めた。NTTは分離分割を過去のものとみなして実質的な先祖帰りを目指している。この点では異論は全くないし、日本のIT産業の発展と世界の自国産業育成の方向性からはむしろ遅すぎたくらいかも知れない。
さてこれからどのような振る舞いを見せるのか。
これまでの各社長の風貌からして一転していることが感じられる。勝手な思い込みかもしれないが概して官僚型から野武士型になったように見える。NTTデータ 本間洋社長、小林充佳社長、NTTコミュニケーションズ 丸岡亨社長は従来通りのNTTらしい風貌だが他は体育会系の猛者の風貌だ。
しかし残念ながら従来の年功序列型人材登用の域は破れていない。年功序列型人材の優れた点も大いにあるが、一方では年功序列型経営しかできないのではないか、そんな気がしている。
もうひとつ、ドコモの吉沢氏を若干だが非難めいた評価を下しているが新経営陣にその責任はないのか。私などからみれば吉沢氏はNTT人材の中では出色の出来だとおもうのだが。
一方戦うべきGAFAのトップの風貌は以下の通りだ。年功序列型人材登用のCEOは一人もいない。
google ceo サンダー・ピチャイ Sundar Pichai 1972年7月12日(48歳)
amazon ceo ジェフ・ベゾス Jeff Bezos 1964年1月12日(56歳)
facebook ceo マーク・ザッカーバーグ 1984年5月14日 (年齢 36歳)
apple ceo ティモシー・ドナルド・“ティム”・クック Timothy Donald "Tim" Cook 1960年11月1日
澤田純社長
ゲームチェンジすればGAFAは脅威じゃないと述べ、ドコモに注力している。10年以上契約数のシェアが毎月のように下がって売上高と利益の面では3番手になったことを悔しがる。
NTTドコモ 井伊基之社長
2020年12月からドコモの社長に就任した井伊基之氏は1999年に始めたiモードに続くヒットが出せていないことにいら立っている。激安の料金プランを打ち出し守りの経営からの脱皮を目指す。
NTTデータ 本間洋社長
NTTグループの海外売上高は全体の約2割 世界に通用するITベンダーに。
NTT東日本 井上福造社長
地域密着型の“ICT商社”に ドコモに次いで利益が多い。全員がそちらに向かう団結力が東日本の強みとやや精神論的か。
NTT西日本 小林充佳社長
2025年までにソリューションやコンテンツなど新分野の売上高を全体の3分の2にして首都圏を抱えるNTT東日本と比べると非効率な地域分散の「弱み」を「強み」に変えていくとする。
NTTコミュニケーションズ 丸岡亨社長
ドコモとの連携が強まることに方向性を定める。
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