まさおレポート

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「氷点下で生きるということ」で考えること

2019-01-27 | 小説 音楽

ネットフリックスの「氷点下で生きるということ」『Life Below Zero°』を観終わった。1シーズン16エピソードでアラスカの北極線以北に住む寒冷地帯に生きる人々を密着取材してドキュメンタリーで撮っている。イヌイットと白人の一家、20代の猟士、妻は70代夫は少し若いカップル、一人で生活する50になる女性がカットバックで描かれていく映像に引き込まれた。そして16エピソードを見終わって「ああ、終わってしまった」と少し淋しくなった。この少し淋しくなってしまうことが面白い映画かどうかの判定になる。LOSTプリズン・ブレイクブレイキングバッドなどは長い長い物語が終わって軽い喪失感があった。

熊や狼などに襲われる恐怖、食い物がなくなる恐怖、洪水の恐怖、凍死の恐怖に面して果敢に戦う姿に作りものでない興味を持ち16エピソードを観終わった。「ここでは政府の規制もないので家を建てることも森の木を切ることも自由にできる」と自由を語る老夫婦はその一方で体が動かなくなる老年期の不安や洪水の恐怖に怯える。

「私は街では暮らしていけない、人と交わることのできない性格なの」と言う50の女性は子や孫がいるのに近くの住民が数百キロ離れているという凄まじい孤独な生活をおくっている。溶け始めた氷の上をどうしても渡る必要がありスノーモービルで渡るときの覚悟は熊に食われても仕方がないとの覚悟と同質のもので、この境地に達するには高僧でも難しかろうと思う。

自由と引き換えに厳しい自然に孤独に住むというテーマは永遠のテーマだが、それを現代に生きる人のドキュメンタリーでみせてくれた。「カラマゾフの兄弟」大審問官のテーマの一つ、多くの人は自由よりもパンを求めるという事実をリアルに感じさせてくれる作品だ。

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