韓国に関連する輸出管理をめぐる不適切な事案とはなにか、「事案の性質上お答えすることは困難です」としてそれを明示しないのか。河野外相は次のように語る。
「日本政府として御指摘のような北朝鮮との関連に言及している事実はありません。いずれにせよ、韓国に関連する輸出管理をめぐる不適切な事案については、事案の性質上お答えすることは困難です」https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190717-00000020-cnippou-kr
韓国はWTO提訴しておりそれは国際間の訴訟とみなす事ができ、すると係争案件で事前に手の内を明かすことはしないのは一般的だ、だから明示できないと言っているのだろう。あるいは禁輸なら説明がいるが普通の国待遇に戻すのに理由の明示はいらないとも考えられる。WTOの場できちんと説明すると述べているので前者のほうが可能性が高そうだ、するとWTOの場できちんと開示されるものの影響が凄そうだ。
あくまで安全保障上の措置であるがその半導体産業界に与える影響は凄そうだ。1980年代に圧倒的な強さを発揮した日本のメモリーが電電公社民営化による開発費の削減と電子交換機の需要減で一気に根本を抑えられ、米政府により日本は輸出価格を引き上げさせられ、日本市場での外国製半導体のシェアを20%に引き上げる約束をさせられ一気に衰退し、日本によるメモリーの独占は阻止され、韓国に市場を奪われたのと同じ現象が再び起きようとしている。
かつての日本が韓国から狙われたように中国の韓国の半導体メモリおよび有機ELディスプレイ技術者の高額での引き抜きが盛んで韓国から中国への技術や人材の流出は歯止めがかからないという。歴史は繰り返す。
とはいえ世界はメモリーからシステムLSIなど非メモリー分野に重心を移そうとしていてサムスン電子も例外ではない。かつての日本が韓国から狙われたような単純な産業生態系ではなくなっている。サムスン電子「半導体ビジョン2030」では非メモリー製品の世界1位を目指す。
非メモリー製品は「多品種少量生産」であり、世界は設計を専門にする会社(ファブレス)とファウンドリー(委託生産)に分離している。そして「非メモリー製品はエンジンと同じ」と言われるように看板方式で受発注がなされていく。さらに非メモリー製品は製造の工程に必要なフォトレジストを看板方式で日本に発注がなされていく。このサイクルの一つが滞ると非メモリー製品の供給ができなくなるという極めて密接な連携が必要になっている。
製造の工程に必要なフォトレジストを日本が輸出制限措置品目に含めたので審査に90日かかりサイクルが止まってしまうのだ。3大輸出制限品目のうちフッ化水素(エッチングガス)は韓国で1年から1年半ほどである程度の国産化が可能だがフォトレジストは難しいという。
さらに日本が韓国を「ホワイト国」から除外すると原則不許可だというではないか。グローバル企業の注文が完全に中断するおそれがある。
慰安婦財団解散、レーダー照射、徴用工補償で立て続けにこづかれまくってもじっと我慢していた日本はいつのまにか知らぬ間にフォトレジストという韓国半導体産業の急所をにぎっていたのだ。
参考
フッ化水素(HF)メーカー ステラケミファや森田化学 12N(99.99999999%)』の高純度精製
フォトレジスト JSR、東京応化工業(TOK 1968年から半導体用フォトレジスト事業) 信越化学 1998年フォトレジスト事業化
フッ化ポリイミド(FPI)メーカー 住友化学など