NEkO「子ネコのような男たち」NEKO 松井多絵子
外に出ればたやすく会える動物は猫だ。猫だけだ。飼い主同伴の犬と異なり猫は単独で自在に動きまわっている。猫の表情は目に集約されているように見える。ちらり、きらり、ぐいっと、人間よりも露骨だ。
その目としっぽで猫たちの意志は通じているのか。それにしても近ごろは子ネコ的な男の多いこと。女のような男の多いこと。スリムで長髪、女っぽい服、それが女よりよく似合ってる。
現在は猫を飼っていない私は遠き日の猫を呼び寄せてNEK0を詠みました。
★猫をうたう 七首
絵のなかを緋鯉が泳ぎ白猫が死んでるように眠っている居間
われよりも疲れているらし傍らに屈まりて眠る歳晩の猫
ナルシスと名づけて呼べば白猫は振り向かぬまま尻尾くねらす
拾われた猫がまもなく捨てられるコンビニ裏の「ふれあい広場」
猫は耳を尖らせ我の嘘を聞き夫はタバコのけむりを放つ
ひとりではリズムにならぬ黒猫の歩幅に合わせて歩いて行こう
女が強くなったのではない男らが子ネコのようになっただけです