・・・ ゴリラになりたい ・・・
8月10日の✿折々のことば
~ 負けないために勝者にならないといけない世の中は生きにくい。 山際寿一
長年、アフリカでゴリラの調査をしてきた山際寿一は、ゴリラには優劣の意識がないと言う。喧嘩になっても仲裁が入り、対等なところで決着がつく。だから力が劣っても、強い者に媚びるところがない、そうである。1952年生まれの山際は京都大学人類研究室でゴリラ研究の第一人者である。ゴリラは広い胸,重い首、太い手足を持つ哺乳類。
♦ 会場と外の気温の差をおもう差があるということは苦しい 松井多絵子
人間は絶えずお互いの差を意識しながら生きている。容姿の差は著しい。なぜか美男、美女の基準がある。個性が云々されても、やはり美男は美男、美女は美女、である。頭脳、才能も生まれたときから備わっている場合が多い。環境によりぐっと差がつく。さらに貧富の差も生まれたときからである。これらの差を意識しながら人間はがんばって生きている。まことにシンドイ動物だ。今度生まれてくるときは ゴリラ がいいなあと思ってしまう。
♦ 「わたしたち今も自意識過剰だわ」「猿だった頃にもどりたいなあ」
自意識過剰だ は私の言葉。猿だった頃にもどりたい、、は昔男の言葉。わたしの言葉を上句に、昔男の言葉を下句にして1首にしてみた。かなり前の私の歌であるが強引な1首かもしれない。若いころ、お互いに自意識過剰だったために恋愛未満で終わってしまった。再会しても老いらくの恋にはならない。もし私たちが猿だったらたやすく恋をしただろうか。折々のことば の鷲田清一は 「ゴリラと同科のヒトが、序列と上下関係に重きをおくニホンザルに近づきつつあると憂う。 「『サル化』する人間社会」から。
♦ またの世はゴリラになれな獣園のゴリラにわれは会いたくなりぬ
8月12日 松井多絵子