・・・ ことしの新米 ・・・
ことしの新米がもう売られている。4日前に私は新潟の星峠で見た棚田は見渡す限り緑だった。いま出荷されているのは宮崎県のコシヒカリ、鹿児島・大隅半島の王子米らしい。日本列島の寒暖の差をあらためて思う。今も、幼い子までオニギリを好む日本の國は。
みずほの国 松井多絵子
卵かけごはん、味噌汁、一夜漬け、みずほの國はやはりよき國
二等米でも炊きたてはおいしくて河野裕子の卵かけごはんを
いたような、いなかったようなひと卑弥呼、マンガの卑弥呼の眸は大きい
女王卑弥呼は男を支配したのなら、女にやさしいひとだったなら
米づくり始めしひとは卑弥呼なれ浅きみどりの棚田ひろがる
茶店にて食むおにぎりがおいしくて卑弥呼はたぶん豊満なひと
歌集『厚着の王さま』より
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新刊歌集
✿ 岡井隆歌集 『暮れてゆくバッハ』 書肆侃侃房・本体2200円
詩や散文、水彩画も添えて。
言の葉の上を這ひずり回るとも一語さへ蝶に化けぬ今宵は
✿ 加藤治郎 『家族のうた』 ふらんす堂・本体1800円
365日短歌入門シリーズ。明治から平成まで『家族』を詠んだ名歌の数々。それぞれの時代の空気が感じられる。