植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

夢かうつつか

2020年02月29日 | 雑感
 人間が夢を見るのは、覚醒時の記憶を寝ている間に脳が整理しているからだ、という理論は割合有名ですね。以前なにかで読みました。脳の記憶容量には限界があるので、取るに足らぬ記憶を寝ている間に消去し、覚えておくべき事柄だけを残していくプロセスなのだそうです。また、つらく悲しい出来事もいつまでも頭にとどめることなく、風化させ忘れさせてくれるのも脳が持つ防衛反応であろうと思います。
 さもありなん。

 以前から不思議に思うことの一つが、記憶の不確かさですね。前述の理論が正しいとすれば、幼いころから、脳は毎晩、記憶の整理を続けているはずで、起きた時に覚えているかどうかは別にして、毎晩夢を見続けているということになります。現実に起きたことが記憶として残っているのは夢というフィルターを通していることにもなります。すると、ワタシたちが過去の記憶として覚えているのはひょっとしたら、現実では無いことかもしれないという疑問が残るのです。

 もう一つの不思議が、見ている夢は、おそらく現実とは全く異なる内容ですが、それを非常に長い間記憶しているという事実です。勿論毎晩見続けている夢の中ではほんの一握りではありますが、若いころにみた特徴的な夢の記憶が多数あります。それは、空を飛ぶ夢であったり、水中に漂う夢だったり、蛇や魔物に襲われるものであったりします。見知らぬ街角・見たことが無い風景・恐ろしい大災害などを断片的ながら、実際に起きたこと以上に生々しくいまだに記憶しています。中には、それを見た年代(自分のその時の状況とセットになっているもの)までも覚えています。
 これは、記憶の整理のさ中に起きた誤作動ではないか、とワタシは考えています。つまり、夢を見ている間に残すべき現実の記憶に、仮想の夢が入り交じり、フラッシュバックのように、組み込まれていたのではないか、ということです。後々になって、記憶の自己検証をするために、心理状況を投影した夢をわざと残したというのはうがちすぎでしょうが。

 昨晩見た夢の、おおよそがこうでした。
「ある金融機関が所有する複数の小規模な不動産(物置とか空地というレベル)の管理人として応募した人物を雇ったところ、行方不明となり、その後何か月か近県にまたがって彷徨っていたことが分かった。それを取り上げた記事の見出しを考えている。その後、どこかで見かけたような駅で、止まっている路線バスに行く先も確かめず、410円払って自分が乗り込む。そこには誰かよく知っている著名人が奥に座っている。」
 つまり、その行方不明の人物こそ自分であって、バスに乗り込んで、まさにあてどもない旅に出かけようとするときに目覚めたのでは無いかと思いますね。これらの中に在るいくつかのキーワードを分析すると、自分の深層心理が見えてくるはずです。・・・分析するほど暇では無く、その手法にも無知でありますが。ユングによれば、その無意識の部分が分かることが、自分を正しい道に導くことだと説いています。

 夢はまた、現実世界に起きうる想像のテスト稼働ではないかという説もあるようです。恐れや期待が大きいと、夢でその予行演習を行うのです。幾度となく出てくる大地震や土砂崩れの夢は、潜在的に起きると言われる大震災の予知夢の一つなのかもしれません。

 しかし、現実に起こりうる危険・「目の前にある危機」を察知し未然に防御するのに重要なのは、予知夢ではなく、想像力であり、責任感であろうと思います。あの、東北大震災の時に、繰り返し言われた「想定外」という言葉は、事業者・政府側の想像力の欠如を露呈し、責任逃れに使われました。最悪の事態を想定して対策をとるのがリスクマネジメントの基本だと、専門家は指摘します。

 今回のコロナ肺炎で、そろそろ政府から想定外の言葉が出てくるころだと思いますが、我々危機管理の素人すら、ひと月以上も前にこれは非常にまずい事態で、最大限の対策をとるべきだと想像出来ましたよ。
 安倍総理が、突如全国の小中学校閉鎖の号令を掛け、関係者を唖然とさせています。のほほんと感染の拡大を放置して問題を過少に見ていたのです。ここにきて、政府の対応への批判が高まり、国外からも日本の甘さが指摘され、オリンピック開催が危ぶまれるに至ってはじめて、専門会議を立ち上げたというお粗末さ。
 総理の危機感の表れだと擁護する方たちもおります。そうでしょうよ、このままだと自分の総理の座が危うという危機感が出てきたのです。あせりの表れなのです。「大暴走」との言葉がぴったりですね。
 
どうやらこの方は、どこまで行っても、思いつきの場当たり的な発想から逃れられないのです。役人も自民党の政治家も有権者も、自分の意のままと勘違いしていたことに気づくことなく終焉を迎えそうですね。安倍総理の口癖は「悪夢の民主党政権」でありますが、本当の悪夢はこれからではありませんか。

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