降ってわいたような事案が持ち上がったのであります。
ワタシには3人の息子があり、いずれも良縁に巡り合って結婚まで漕ぎつけました。その中で次男夫婦が、当地平塚へ引っ越したいと言うのであります。その理由は、会社からあてがわれた借り上げ社宅=都市公団のぼろアパートが、あまりにも古く汚く環境が悪い、ということでした。更に聞けば、老境に差し掛かっているワタシ達夫婦をサポートできる様なところに住む=倅に子供が出来たらその世話を私たちに押し付けることが出来る、という現実的な思惑もあるようです。
以前から、ワタシはいずれ住んでる老朽化した母屋を何とかしなければとは考えていたのです。元は職人が住み込みであったり、事務所があったりした住まいはむやみに広く、60年近く前に建てられた日本家屋なので、雨漏りもあります。毎朝家内が開ける雨戸も、4,5か所でなかなかの力仕事です。きれい好きの家内は、毎朝畳の部屋に掃除機を掛け、屋外の草取りなどを入れれば、全体を整然と保つだけで半日費やすのです。
また、年寄り夫婦二人で古いお屋敷(笑)に住んでいると、「資産家と間違われてしまう」危険も抱えています。金など無いのに押し込み強盗にでも入られたらたまったものではありません。現在のセキュリティは、2重の戸締りと甲斐犬「スミレ」だけであります。
いつかそうした無駄な家事が出来なくなる前に、古家を減築するとか、他にセキュリティーのしっかりした賃貸マンションでも借りて住もうかとか思いめぐらしていたのです。また、全部壊して小さな平屋を立て直すなどの選択肢もありました。あと何年生きられるか知れず、子供たちが将来実家に戻るかもわからないのに、新築するというのはいささか無謀かもしれません。
そんな状況の中で、次男から「適当な物件」を探し、当たって欲しいという藪から棒の要請に従って、急遽マンション探しをする羽目になったのです。最初に内覧したのは、ここ10年来、目をつけていた築34年の中古「億ション」でありました。バブルの末期に計画されたその超高級マンションは通常のファミリータイプの倍以上の専有面積があり5階建ての贅沢な構造でありました。新築時150~200百万円で発売されたそうです。それがボトムで40百万円まで下がっていて今は50百万円ちょっと。
目の保養を兼ねて、そのプール付きのセレブマンションに出向きましたが、残念ながら私たちの平民感覚とは対角にある発想で、160㎡で3LDKという信じられない間取りでした。大勢の来客が多い特殊な職業や生活パターンでもない限り使い勝手が悪すぎました。管理費・修繕積立金などの維持費も通常の賃貸マンションの家賃並みです。
次に、10日ばかり前、見学したのが、平塚市内で商業や官公庁などが集中するエリアの中心の新築マンションでありました。JR駅から徒歩12分、ホームセンター・高級スーパー・大型商業施設・総合病院がいずれも徒歩数分にあり、消防署などは数十m先で、出火しても数十秒で駆けつけるでしょう。年老いたらこの近所のマンションに住むのがいいね、と随分前から話題にしていたのです。
その物件は、全戸5階建ての低層マンション、今時流行りの図書ライブラリなどもあり、まことに結構な造りでありました。価格帯も45百万円が中心のファミリータイプで、ワタシ達はもうこれなら十分だと判断しました。すぐさま次男に連絡したところ、今度は彼にとって藪から棒、いきなり30百万円の住宅ローンを組め、と切り出されたので仰天したようです。
親からの生前贈与などを前提にして、彼ら夫婦が比較的安易に持ち家が手にできることに気づいたのか、昨日こちらに駆け付け、再度件のマンションの内覧に行ってきました。他にも一件見学して、そこもいたく気に入ったらしく、昨夜夫婦で話し合ったそうです。二つのどれかを買うのか、先送りにするのか、なども含めて事態は流動的であります。
そして先ほど、もう一度周辺の環境や駐車場の状況を見に出かけました。親と違って慎重で怖がりであります。ワタシが見てきた方の物件で、唯一ネックとなるのが、自分の車を駐車するためのマンション専用立体駐車場、これに車高が超えているので、別に探す必要がある、ということでした。それはそう、公共施設・商業施設が集中する高度な商業地域です。一般の住宅地域と違って駐車場のニーズと供給が極端に異なるので、月ぎめ駐車場など見つかりません。要は、時機を見て器に合わせた車に乗りかえれば済むのであります。次男はそこまで頭が回っていないのです。車を買い替える金が無い、という前提で動いているようですが、不動産の取得に比べたら金額は1/20以下、些末な問題に過ぎないのです。
まぁ良かろう、彼らにとって大変いい勉強になろうと思います。不動産価格の成り立ち、取得経費や維持費、ローンの事、共益費の有る集合住宅に住む意味など初体験なのですから。家を求めることは、その後の人生に劇的な変化をもたらします。通勤はもとより、家計・家族計画・生活水準・交遊関係、場合によっては、職業にさえ影響が出ます。あらゆる角度から住宅の取得を検討するので、ぱぱっと「これ頂戴」というの訳にはまいりません。
現役時代、多くの不動産取引や実務、長い間固定資産などの価値の推移を見てきたワタシの結論は既に出ており、彼らの出してくるものがどうなるかも、およそ想像がついております。これから忙しくなりますね。
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