植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

死ぬまでに見て損はないマイナー映画

2023年04月29日 | 雑感
毎日欠かせない楽しみが「映画」であります。

昔はブラウン管テレビで、しかも地上波のみのアナログ放送でしたから、映画の持つ美しい映像や音響、ダイナミックな臨場感などは全く感じることが出来ず、本当にいい映画を観賞しようと思ったらお金を払って映画館に行くしかありませんでした。
子供のころは白黒テレビで、丸みがかった小さな画面でした。大きく見せるために中に液体が入った四角いレンズみたいな拡大器具をつけたりしてましたね。

しかし、テレビ自体の大型化・液晶画面の進化・デジタル技術の進歩などでこの20年ほどで飛躍的な変化を遂げました。映画・動画にしてもVHSとかいったビデオテープが、DVDなどの大容量の媒体に移行したので、本来の微細にわたるなめらかで鮮やかな映像を目にすることが出来るようになりました。映画好きにとっては大変ありがたい世の中になりました。

また、CMつきで編集されて短くなったテレビ放映の映画も、BS放送の導入をきっかけに、インターネットやお金さえ払えばノーカット・CMなしで見られる動画・映画の配信サービスや映画専門Chもたくさんあります。

そんなおかげで、忙しい合間でも一休みしながら、あるいは夕食後のひと時をじっくり見たい映画が観れるという贅沢な日常になりました。その中心はWOWWOWであり、ケーブルテレビで契約している映画専門チャンネルであります。園芸・篆刻・メダカ飼育・ブログなどをやっているとだいたい3時ころにはワタシのスタミナが切れ一日分のバッテリーが上がる状況になります。するとそこから2,3時間は、スマホでゲームをし、LINEを送り、メールをチェックしたりしながら、音楽を聴いたり映画を見たりできる「至福」のリラックスタイムになるのです。

そこで最近観た映画の中で最も印象に残った面白い映画を紹介しましょう。「死ぬまでに見ておきたい(あまりメジャーでない)映画」の一つといっていいと思います。知ったかぶりしても仕方ないので監督名やら出演者名は省きます。

まずは「女神の見えざる手」であります。2016年のアメリカ映画で、非常に優れたロビイストといわれた主人公スローンが「銃規制強化法案 」を議会で通すために雇われて、銃器を売る側の巨大で莫大な資金を持つ組織に立ち向かうストーリであります。そこにはピストルを撃ったり派手なアクションシーンはありませんが、双方に仕掛ける情報戦に緊張感があり、議員を自陣に取り込むための罠や買収など、次々に計算し尽くされた策略を描き出します。スローンは様々な手を使って情報を入手・操作し上司や同僚にさえその手口・戦術を明かしません。敵か味方もわからないだまし合いの中でアメリカが抱える銃社会の問題点を浮き彫りにします。詳細な筋書きは、あまりにも複雑で様々な要素があって書ききれません。随所に施した伏線がより面白くしています。

情報戦で勝ち、相手陣営を打ち負かしたスローンが、情報収集に関わる違法行為で5年の刑を受け、出所するところがエンディングであります。刑務所から出てくる主人公がふと視線をある方向に向けるのです。何かを見つめるその視線の先をこの監督は写さないままエンドクレジットが流れる、というのがいかにも印象的な佳作であったと思いました。

次はフランスのコメディー「バッドマン 史上最低のスーパーヒーロー 」2022年のまだ新しい映画であります。言うまでもなくアメコミ「バットマン」のパロディーで、最初から最後までパロディーと下ネタ、下品でくだらないジョークのオンパレードであります。ストーリーは(有ってないようなもの笑)、売れないさえない俳優がたまたま運に恵まれて「バッドマン」に抜擢されます。ところが、身内が倒れたという知らせを聞いて、バットマンのパクリのスーツを着たままバットモービルもどきの車で公道を走ったら交通事故にあい記憶喪失になる。そこから実際の犯罪に巻き込まれて、自分が正義のヒーローだと勘違いしながらになり切りで活躍をする、という他愛ないものです。

くだらなくてどこが悪い、と開き直った映画なのでツムツムをやりながらリラックスできる映画です。(多分)子供にも見せられることを前提に制作しているとみえて、短小用のコンドームとか、居眠り運転防止装置で、シートから電動バイブが上下するなど、下品なのに女性の裸やセックスシーンは見せず、安心して家族でへらへら笑えるのですね。とかくフランス映画というと抒情的で、しかも悲しい結末という印象がありますが、これは真逆で楽しめました。

最後は韓国映画です。ワタシは20年来韓国王朝ものの連続ドラマが好きで、チャングム・イサン・トンイ・馬医など「イ・ビョンフン 」さんが手がけた歴史ドラマは全部見ました。韓国・朝鮮は、歴史的には国家が存立するようになって現代までほぼ一貫して「王政」の国でありました。その中心は13世紀からの李王朝です。20世紀初頭に「日韓併合」で韓国から王政はなくなりましたが、北朝鮮は金日成が建国して以来「金一族」による王政が今なお続いていて、朝鮮民族が「王」を天に抱いてかしずき、政治を王様にゆだねるという精神性が長く根付いていると感じております。

さてその韓国の「王になった男」という2012年の映画は、ハソンという道化役者が光海君という王様に瓜二つであったことから、王様が暗殺の危険にさらされ病んで人事不省に陥った時、その代役として半月政務をこなす、というあらすじであります。韓国映画に共通の、ありえないようなご都合主義の設定ではありますね。賎民であった主人公が、光海君の側近に指導されながら「王」としての自覚にめざめ、 光海君とは全く違うキャラクターで笑い、おどけ、そして国を熱く思うようになる、という展開であります。その王妃にはあの「トンイ」で好演した美しく清楚な女優さん「ハン・ヒョジュ」が扮していました。主人公は、この王妃の弟が罪人として処刑されるかもしれず廃位になる心配があった王妃をかばい、笑わそうとするのがいかにもけなげなのです。

残念ながら、韓国映画特有である、流血シーンが多く周囲の重要人物が死ぬ、涙を流す、というシーンが多く見受けられました。王を守ろうとした毒見役の幼女や警護官が亡くなるというような痛ましいシーンは本当はやめてもらいたいものですが。

かの道化師が、暴君を諭すために意見した王妃の弟を放免したり、重税を課した役人を罪人として処罰し、大規模な地主に有利な税制を変えようとするのです。 政務に復帰し影武者を始末させようとした光海君が、「明の皇帝のご機嫌取りよりも国民の方が大事だ」、と叫び民を守るために善政をしようという道化師の言動が日誌に残されていたのを読んで、翻意し道化師を開放することで映画は終わります。韓国では歴代興行ベスト10あたりだそうですからマイナーと言っては失礼ですね。

昔楽しみにしていた毎週の「水曜ロードショー」の案内役故水野晴郎 さんが口にしていた「いやー、映画って本当にいいですね」のフレーズを思い出しました。世の中には世界で数百万本の映画が作られたそうです。死ぬまで一日1本観るとして、あと何作の映画と出会うのか、楽しみであります。

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