植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

印材 黒石はピンキリ

2023年05月01日 | 篆刻
ゴールデンウィークに突入し、人出が増えております。外国人が多く日本に観光に訪れているそうな。とりわけ中国人は、渡航先の人気No1が日本だそうです。勿論近いせいもあるでしょうが、昨今の円安によって日本の諸物価が割安になっている、旅費が安く上がるというのも見逃せません。

ウクライナ戦争をきっかけに、ロシアからの農産物や天然ガス・原油などの供給が遮断され世界的なインフレ懸念が増したのです。先進国は競って金利を上げたのですが、日本は未曽有の国際発行・国債残高があしかせになって、おいそれと金利を上げることができません。政府の支払金利の負担を嫌がって「金利安」を放任している結果、円安と物価高になっております。

ヤフオクでも、趣味の印材集めが様相が変わってしまいました。数年前なら数万円出せば、たいていの品物に手が届いたのです。ところが昨年あたりから猛烈に落札価格が暴騰し、銘石や古い篆刻家のに手になる印などが落札できなくなりました。中国人の「爆買いヤー」がいるのではなかろうか、と思いますね。今では数千円の安い石や、出自のはっきりしない怪しげなまがい物やくらいしか入手できません。

昨夜、非常に関心があった出品物が5,6件ありました。そのうちの二つは、非常に質がいい田黄石で、「紅筋」や蘿蔔紋(らふくもん)が入る最高級品で、そのうちの一つには西泠印社の創業者の一人王福庵先生の側款があったのです。滅多に見ないほどの素晴らしい石とみてワタシは、これはなんとしたも「いくべし」と腹をくくって、大枚5万円の札を入れました。一時的に最高入札額であったのです。

しかし心中では、これは10万円くらいまではいくだろう、多分がんばっても無理だな、とわかっておりました。もう一つの田黄にも3万円の入札をしたのですが、瞬時に上回る入札がありました。そのほかに、古い青田石に「徐星州」さんの款がある古印にも2件、それぞれ6千円ほどの金額で入札をし、その他「美材まとめて数点」の出品に2万円ほどの入札をして、9時過ぎには床に就きました。→そこで頑張って起きていると「ハマる」危険があります。布団の中で更新される入札額に熱くなって高値を入れるというのはリスクが大きいのです。

で、今朝起きてみると驚愕の結果でありました。計6件の入札はすべて不調、ほかの方が落札、これはある程度は想定していました。問題はその落札額でした。王福庵先生の田黄石がなんと50万円、もう一つの田黄石も20万円であったのです。自分が思い切って出した金額を10倍も上回るという手も足も出ない金額であったのです。さらに驚いたことに、「徐星州」さんの印には、69万円と37万円という信じられないような高値がついていたのです。昨夜ワタシがこんなものか、で入札した金額の約100倍!!!。もう笑うしかありません。
ざっと計算したら、ワタシが入札して寝ている間に落札された印材が、6件で200万円弱でありました。

そこで、現実に戻って(笑)、ごく最近落札して届いた印があります。ある骨董関係の業者さんが、20点ほど出品していた印のうち、5件を落札したのです。それは先にブログで書きましたが、①箱入り ②印に3万円前後の値札が張り付けられている ③ほとんどの印に石の種類・紐彫の名前が記載されたカードが添付されている ④印材の中では希少で高価な石の種類が記載されている、といった共通点があったのです。

例えば「水晶凍」とか「魚脳凍」「坑頭凍」などであります。こうした特殊な名前を知ってるのはそれなりの知識がある業者さんだとみて、いささか怪しみながらもつい入札したのでありました。届いた品物は結論から言えば「味噌くそ一緒」インチキ臭い印象そのままの品々でありました。一個平均5千円ほどの品の中には、素晴らしいものもありましたが。その中の三つが下の石
この一番左の黒石は多分プラスティックなど樹脂製の人造石でした。こいつは価値は0,¥30000という値札の3000は消すべきでありましょう。黒石の最も優れた石である「楚石」ではないか、と期待したのですが。なんでこんなものが紛れ込んいるのか、だれがいつ何の目的でこの値段シールを張ったのか?謎であります。ヤフオクというのはそんなものだと割り切るしかありません。

一方真ん中の灰色の石は紛れもなく「坑頭凍石」で代表的な「牛角凍」とみていいのです。牛角凍は「黒い石」の範疇に入り、透明度が高いのが特徴です。その最も産出が多く代表的なものが坑頭凍とされております。
さほど古いものとは思えませんが、親子の蛙紐が優れて美しくなかなかの逸材と思います。これは値札通り35千円くらいの価値がありそうです。

右の石は「水晶凍」のカードに3万円のラベル付きでした。自然石で透明感が強く数か所に黒い斑紋が流れている良材で、龍紐もそれなりに美しい出来なので、これも合格といたしましょう。

因みに黒い印材は、値段が高く希少な順番で並べると「烏田・楚石・吊耿 (ちょうこう)・煤精石」などが代表的です。特に烏田・楚石は数万円から数十万円するもので現在はその産は途絶えております。
下左は煤精石、元は木で炭化したものなので軽いのです。

そしてこちらがワタシ秘蔵の「楚石」であります。

専門家によれば「肌に微細な粟粒上の隆起がある、石の粉は緑色、比重が重い」という特徴があります。特に下の石は、まさにその特徴を有していて「気韻生動 」(芸術性が感じられ生き生きとした風格や迫力がある)と呼ぶにふさわしい銘石なのです。ヤフオクでも楚石にはめったに出くわさないのです。
ワタシのコレクションの中では最も上位に位置付けしている「ピン」の自慢の石であります。


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