昨日は、午前と午後に来客を予定しておりました。
お一人は、九州大分の高校の同級生で、当地から二駅の二宮在住のM君です。最近母君が亡くなり、九州でお葬式を執り行い、今後の供養のために「分骨した」そうであります。いずれ九州のお墓は後を見る人がいなくなるので「墓じまい」の予定なんだそうですが、誰が先に死ぬかでいろんな選択肢があって「終活」を始めているのだとか。
大分からの帰りにお土産を買ってきた、うちにも届けてくれたのです。大分を代表する名菓「ざびえる」です。昔大分にやってきてキリスト教の布教に尽力したという宣教師「フランシスコ・ザビエル」にちなんだ焼き菓子です。懐かしいなぁ。外包みを取ると黒いビロードのような美しい菓子箱に収められていて、この箱が子供の頃欲しくて親にねだったものです。
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遅ればせながらわずかな「志」を包んで渡しました。昼前だからあらためてゆっくり話に来るよ、と言い残して帰っていきました。会ったのは60歳の記念集会の時以来でした。高校の時と同じハンサムで爽やかな人柄の好青年がちっとも変っていないのです。
お昼を家内と済ませると、今度はD君が「会って書道のことなどで相談したい」とアポがありました。彼は昨年、高卒後宮城県から単身で就職で神奈川県にやってきた若者で、偶然にもこの平塚の社員寮在住です。彼の印を彫ったのが縁で、グループlineに参加してもらい、ワタシが管理しているグループ・書道の愛好家の仲間入りをしました。2度ばかりワタシの仕事場に遊びに来て、篆刻などの手ほどきをしていたのです。
何の相談かは見当が付きませんが、ゆっくりお話がしたい、というのでいろいろ積もる話や悩みもあるのでしょう、なにせ多感な19歳ですから。親元を離れて一人で暮らす子供同然の若者です。このワタシなんぞに相談がある、と聞けば親代わりになって耳を傾けようと思いますよね。それで当地では最もメジャーで美味しいという評判のケーキ屋さん「葦」のケーキを買って待っていました。
すると、どうしてもほかの用事が長引いて約束の時間に行けないと連絡が来ました。いいよ、こちらは毎日どうにでもなる年金生活者ですから。ドタキャンでしたが、そこでテレビをつけたら、たまたまNHKでサッカーJ2の試合が始まっていました。
見ていると懐かしいあのベルディのグリーンのユニフォームであります。J2のレギュラーシーズンの上位4チームで、一枠だけのJ1昇格を争奪する「プレーオフ」の最終戦、東京ベルディ対清水エスパルスで、ベルディが勝つか引き分けるかすればJ1昇格が決まるというJ2の22チームにとって最も重要な試合であります。わが湘南ベルマーレは、J1で最下位争いを繰り広げ、土壇場まで降格の憂き目にあう状況が続きましたが、なんとか残留が決まったのです。
ベルディは、J1から陥落後、ここ15年間J2にくすぶっていて、一度も昇格できていませんでした。Jリーグは1993年に設立された日本で初めてのプロサッカーリーグで当初10チームで始まりました。その中でとりわけ注目され最も強かったのが「東京読売ベルディ」ありました。三浦知良・ラモス瑠偉・北澤・柱谷など当時フル代表に名前を連ねるスター軍団で、ミーハーのワタシもそのファンでありました。そしてそれから30年で、後ろの半分15年間が下積み生活に陥ったのです。
1点のアドバンテージがあるとはいえ、もし負ければ、またJ2、注目度も低くテレビでも放送されず、観客動員からスポンサーの協賛金などあらゆる面で厳しい運営が待っているのです。監督コーチはじめ選手は猛烈な緊張感に支配されていたでしょう。それは相手の清水エスパルスも意味は同じです。
試合は序盤から緊張感があって激しく鋭いプレーの連続でありました。清水は何としても最低1点を取らなければならない、ベルディは失点さえしなければ昇格できる、という意識の違いから清水の攻勢が目立ち、とうとう清水が、後半16分先取点を奪いました。それがベルディのキャプテンMF森田晃樹の自陣ペナルティーエリア内のハンドからPKを与えてしまったのでした。
もしこのままいけば、キャプテンのハンドが直接の敗因、J1昇格の夢と希望を打ち破った張本人になります。本人にとって、それはそれは苦しく辛い心境だったでしょう。その後も清水の固い守備力でシュートすら打つチャンスもなく、ついに「ロスタイム」に突入しました。「8分」というロスタイム表示が出た瞬間、ワタシは何かが起こるのではと直感しました。ちょっと前まではだいたい3,4分ですが、最近はちゃんとロスタイム用にカウントされ、また吸水タイムなどでロスタイムの分数が長くなっています。これがドラマを生むような気がしたのです。
はたして、試合時間94分で、ベルディのFW染野唯月が右サイドを突破し、清水のペナルティーエリアに切り込んだ瞬間、相手DF高橋祐治のスライディングが「ファウル」と判定されてPKとなりました。これを冷静に染野が決めて同点ゴール。そのまま引き分けで試合終了となり、念願のベルディの昇格が決定したのです。
もう、キャプテンの森田はずっと泣いていました。そうでしょうよ。キャプテンの重責の中で、自分のプレーからの失点が帳消しになったのですから。男泣きしていました。監督も感極まって涙が止まらないようでした。
ワタシも、泣きました。最近軽い鬱で心が「センシティブ」になっているせいもあります。ちょっとしたことが、心に響き泣きたくなることが増えました。16年ぶりに復帰できるというベルディの選手たちの心情を思うと、もらい泣きするのも無理からぬことです。
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