美津島明編集「直言の宴」

政治・経済・思想・文化全般をカヴァーした言論を展開します。

参政党・松田プラン(その2)財務省が積極財政に変わることを可能にする仕組みを作る

2022年06月17日 18時19分06秒 | 政治


日本経済は、1997年の「橋本デフレ」以来「失われた25年間」を経験し続けています。GDPの長期低迷、実質賃金の低迷・目減りがずっと続いているのです。有配偶者率の低下や少子化の深刻化も「失われた25年間」と大いに関係があると思われます(ちなみに「橋本デフレ」の「橋本」とは、消費増税と行財政改革を断行した故・元総理大臣橋本龍太郎のことです)。

それだけではありません。中共がGDPで日本を抜いた2010年以来、日中間のGDPの差は年を経る毎にワニの口のように広がっています。中共による日本への「静かな侵略」の深刻化の背景にも「失われた25年間」があるのです。

この、国難中の国難と言っても過言ではない「失われた25年間」。その主たる要因は財務省の頑ななまでの緊縮財政である。そう、私は考えております。緊縮財政とは、歳出の削減や増税を是とし、国債の発行増や財政赤字を非とする財政です。

ところが、です。国を思う、心ある人々の厳しい批判の集中砲火を浴び続けているのにもかかわらず、財務省は一向に緊縮財政を改めようとしません。

私は、財務省の頑なな態度が不思議でしょうがありませんでした。

で今回、「松田プラン」に触れることで、財務官僚たちが積極財政に路線変更できない事情の少なくとも一端が分かりました。

思うに「松田プラン」は、財政の現場にいる財務官僚たちを縛っている鎖から彼らを解き放ち、民のための積極財政に路線変更をするように促す目論見です。

松田学氏は、元大蔵・財務官僚として30年のキャリアを持つ方です。豊富な大蔵・財務人脈をお持ちでしょうし、大蔵官僚・財務官僚のオモテもウラも、タテマエもホンネも知り尽くしていることでしょう。それらを十分に踏まえたうえでの「松田プラン」である。そういう印象を持ちました。

異次元緩和によって政府発行の半分に達した日銀保有の国債。そのうち満期が来たものは、永久国債に乗り換える。その結果、政府は元本返済義務も金利負担もゼロになり、実質的に国債は消滅する。のみならず、永久国債は、民間の求めに応じて政府発行のデジタル円に切り替える。つまり、政府の借金が民間のお金に変わる。松田氏によれば、これは「究極の積極財政」であり「究極のMMT」である、と。

MMT(現代貨幣理論)は、日・米・英のような自国通貨発行権を持つ政府は、インフレにならないかぎり、端的にいえば国債をいくら発行してもかまわないとする積極財政の急先鋒に位置するアメリカ発の学説です。日本では、財務省の緊縮財政に対して批判的な言論人たちによって唱道されてきました。

MMTが国債発行の唯一の制約条件であるとするインフレが到来したとしましょう。そのとき金利が上昇するので、政府の利払い費は増加します。で、それは増税によってカバーされるほかはない。松田氏によれば、財務省はそういう流れを嫌がるので、国債残高の増加や財政赤字を問題視します。だから財務官僚は、国債残高の増加をまったく問題視しないMMTを頭から拒否し受け付けようとません。受け付けないかぎり、MMTに基づく積極財政が実施されることはない。MMT派と反MMTの反目がいつまでも続くだけ。そういうむなしい事態に陥っているのが現状です。

そこにどうやって風穴を開けるのか。おそらく松田氏は、その課題と取り組み、経済安全保障の要素も勘案して「松田プラン」を作成したのでしょう。

“国債という債務に現金化という「出口」が与えられれば、財務官僚が緊縮財政にこだわる根拠それ自体がなくなる”。松田氏は、そう考えたものと思われます。

では、ごらんください。

【政策解説シリーズ】松田プラン徹底解説 その2 ~財政にとってのメリット 積極財政を可能にする出口プラン~


***

次回が「松田プラン」の詳細にわたる紹介です。いささか込み入ったところもあるでしょうが、お付き合いください。
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参政党・松田プラン(その1)全体像

2022年06月17日 01時04分02秒 | 兵頭新児


目下、参政党が大変な支持を得ています。一日に2000人ずつ党員が増えているそうです。

で、当方が注目するのは、その政策です。参政党は、どういう政策をひっさげて、国政に臨もうとしているのか。

その中核に位置するのが、参政党の発起人のふたりのうちのひとり、松田学氏のいわゆる「松田プラン」です。

「松田プラン」とはいったいどういうものであるのか。

それを知るのにうってつけの動画を見つけました。

それを三回シリーズでアップしてゆこうと思います。

まず、当方がそのあらましを述べます。それをふまえたうえで、末尾の動画を観ていただければ、松田氏の語る内容がけっこう頭に入るのではないかと思われます。

〇松田プランの4つの柱

① 国を守る。
② 国民にとってとても便利な社会を作る。
③ 財務省が積極財政を実現するための現実的な裏付け・しくみを作る。
④ 日銀が実施する金融政策にちゃんとした出口を与えることで、積極財政とタイアップした大胆な金融政策を実現する。

以下、①~④について若干説明を加えます。

① いま世界で、中共のデジタル人民元構想に見られるような、お金の概念の変革が進行している。その動きに乗り遅れると、中共の全体主義的な世界の再編成に取り込まれて、日本国民の個人情報がおびやかされ、政府の通貨主権を守ることが危うくなりかねない。だから「松田プラン」によって、日本政府が国産のブロック・チェーン上で「デジタル円」を可及的速やかに発行して個人情報や通貨主権を守る必要がある。

② もうすぐスマホにマイナンバーアプリが入る時代が到来する。そこに「デジタル円」をインプットし、「支払い機能」と「情報機能」を兼ね備えたお金が広まることによって、国民生活の利便性がぐんと高まることになる。お金の「情報機能」とは、契約や手続きなどのことである(このあたり、あまり理解できておりません)。

③ 2013年以来の日銀による異次元緩和によって、政府発行の約半分に達した日銀保有の国債を、「松田プラン」によって、政府が元本返済義務を負わない永久国債に転換し、それを国民の求めに応じて「デジタル円」に転換する。そのことによって、国債がお金に変わる。つまり、債務が消滅する。それゆえ、一般国民が税金で国債金利の支払いをしなくてよくなる。このように仕組みを変えることによって、財務省は、やっと積極財政に転換することができるようになる。

④ いわゆる出口政略において、日銀が国債を売ろうとすると金利が上昇して、経済に悪影響を与えかねない。だから、国債を減らすことはけっこうむずかしい。しかし、日銀保有の国債を永久国債に変え、それを国民の求めに応じて「デジタル円」に変える仕組みを整えるなら、日銀にとって国債の「出口」ができることになり、大胆な金融政策の実施が可能になる。

おおむね、今回は以上のような流れになっています。

では、ごらんください。

【政策解説シリーズ】松田プラン徹底解説 その1 ~全体像~


***

いろいろと疑問が湧いてきますね。とくに、MMTに賛同してきた方にとっては、そうでしょう。それは、当方にとっても他人事ではありません。シリーズの「その2」「その3」で、それらが解消されるのかどうか。続編もごらんください。
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