松田政策研究所が予備校世界史講師の茂木誠さんをゲストに迎え、「ウクライナ問題を歴史から紐解く」をテーマに語ってもらった動画〔その1〕〔その2〕を紹介します。
目から鱗の知見が、綺羅星のごとくちりばめられています。それに、とても面白いし分かりやすいし物言いもバランスが良いですし。さすがは、予備校の名物人気講師だけのことはあります。
当動画を観て当方はこう考えました。ロシア系住人が大半を占めるウクライナ東部のドンバス地方侵攻についてなら、プーチンにはプーチンのそれなりの言い分があるのは一応理解できる。しかし、首都キエフやウクライナ第二の都市ハルコフに攻め寄せたのは大失敗だった、と。これは善悪とは次元の異なる戦略戦術としての巧拙の問題です。当侵攻はどうひいき目に見ても、プーチンの立場に寄り添って擁護することがかなわないのです。
なぜならプーチンは、米国ネオコン・グローバリズム勢力の「プーチンは悪」というプロパガンダに恰好の餌を与えたことになるからです。端的にいえばプーチンは、図らずもネオコンの「カモねぎ」になってしまったのです。とても残念なことです。茂木さんもとても残念がっています。プーチンの大ロシア復活の野望があだになったようです。
〔その1〕キエフ公国からソ連邦建国まで
米国ネオコン・グローバリストの国務長官ブリンケンや国務次官ビクトリア・ヌーランドが、19世紀のウクライナからアメリカに逃げたユダヤ人の子孫だとは知りませんでした。300万人ともいわれるユダヤ人の大量虐殺事件ポグロムから命からがらアメリカに逃げたユダヤ人たちの子孫だというのです。彼らにとってウクライナ問題は自分自身のなまなましい問題なのです。
また、1932年から1933年にかけてウクライナで起きた人為的な大飢饉のホロドモールは、当時のソ連の最高指導者ヨシフ・スターリンによって実施されました。ウクライナでは、ホロドモールはウクライナ人への計画されたジェノサイドであると認定されているとの由。そんな歴史を有するウクライナが、ロシアから兄弟よばわりされても「ふざけんな」となるのは致し方のないことですね。
特番『茂木誠先生の歴史講義、ロシアとウクライナ、その”悲しみの歴史”を紐解く。その1、キエフ公国~ソビエト連邦建国まで』
〔その2〕第二次大戦から現在まで
ウクライナ・ネオナチの歴史についての言及が圧巻です。私なりに、ウクライナ・ネオナチについての好悪を超えたイメージが鮮明になった気がします。
第二次世界大戦時、ウクライナ民族派はナチスドイツと組んで、ソ連に対抗しようとします。ホロドモールのソ連よりもナチスドイツの方がまともに見えたというのは、なんともすさまじいお話です。ウクライナの歴史の過酷さを垣間見る思いです。とはいうものの、アゾフ連隊を正当化する気にはなれませんが。
それとは別に、当動画の終末部で松田さんが「これまでは、グローバリズムと戦うナショナリズムを軸にすべきと考えられていたのに対して、ウクライナ戦争でのプーチンの戦略ミスをきっかけに、グローバリズムに逆らうナショナリズムは悪であるというイメージが定着しつつある。状況が複雑になった」という意味のことを言っているのが印象に残りました。
参政党のリーダーとして、単純に割り切れない課題がのしかかったのでしょう。あの橋下徹の「選挙において空気をつかむのが決定的なポイント」という発言は正鵠を射ているのですから。
特番『茂木誠先生の歴史講義、ロシアとウクライナ、その”悲しみの歴史”を紐解く。その2、第2次世界大戦~現在まで』
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます