*モスラ―とルービンのやり取り、けっこう生々しいですよ。モスラ―によれば、当時のクリントン政権の主要スタッフのなかで、緊縮財政の呪縛から逃れることができている者はひとりもいなかったそうです。
ロバート・ルービン
*以下は、Wikipediaからの引用です。Wikipediaは、ルービンがクリントン政権下で主導した緊縮財政を肯定的に評価しています。「財政赤字は悪いことであり、財政黒字は良いことである」という通説・俗説の立場に立っているわけです。
《ロバート・エドワード・ルービン(Robert Edward Rubin, 1938年8月29日 ニューヨーク)はアメリカ合衆国の銀行家・財政家。 ゴールドマン・サックス共同会長、国家経済会議(NEC)初代委員長、財務長官、シティグループの経営執行委員会会長を歴任した。 クリントン政権では財政均衡を主導し、レーガン・ブッシュ政権以来の負の遺産である財政赤字の削減に努めた。》
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10年前、経済が破局を迎える直前の2000年前後に、私は、クリントン大統領政権の財務長官だったロバート・ルービンや約20名のシティバンクの顧客たち(client)と個人的な顧客会議に出席しました。
*本文の流れとはちょっと異なりますが、clientとcustomerの相違点について一言。customerは、例えばコンビニで商品を購入する客、ネット通販で商品を購入する客などの、企業などではなく一般の客というニュアンスの「顧客」です。それに対して、clientは、「取引先・得意先」などビジネスで関係のある、おもに会社・企業などの「顧客」です。
ルービン氏は、経済について語り、「低い貯蓄率はやがて問題を惹起するものと思われる」と言いました。数分後、私は低い貯蓄水準が問題であることに賛成であると言い、「ボブ、ワシントンのだれが、財政黒字が民間部門から貯蓄を奪い去ることに気付いているんだろうね」と付け加えました。
*素朴な疑問なのですが、「ロバート・ルービン」が、どうして「ボブ」というニックネームになるのでしょうか。お分かりの方、御教示ください。
*その後、FBで、知人の村田一さんから、次のようなコメントをいただきました。ありがとうございました。
村田 一 ‟「ロバート・ルービン」が「ボブ」というニックネームになる理由”をGoogleで「ボブ 名前 略称」で検索したところ、
<英語圏の人々が日常的に使う名前は、正式名ではなく短縮形であることが多い。 短縮形が本名である人もいる。 例えば、ロブ (Rob)、ボブ (Bob)、ボビー (Bobby)、バート (Bert)、バーティー (Bertie) 等はいずれも短縮形であり、正式名はロバート (Robert) である。>
という情報にヒットしました。ロバート⇒ボブになるというわけです。その出典はWikipediaでした。
〔https://ja.wikipedia.org/.../%E8%8B%B1%E8%AA%9E%E4%BA%BA...〕
彼は、「そんなことはない。財政黒字は、貯蓄を増やすんだ。政府が黒字になったとき、市場で財務省証券を買うから、貯蓄と投資を増やすんだよ。」と応えました。それに対して私は、「そんなことはないよ。財政黒字が生じると、ぼくら民間部門は、税金を支払うための現金を得るためにFRBに手持ちの財務省証券を売らなくてはならなくなるんだよ(そうやって、FRBの普通預金口座を現金化するのだ)。そんなわけで、私たちの金融資産と貯蓄の純額(金融資産の純額=金融資産残高−金融負債残高 *訳者注)は、財政黒字額と同額のところまで減るんだよ。」とやり返しました。するとルービンは、「そんなことはない。あなたは間違っている。」と決めつけました。私は、それ以上つっこむことをせず、会合は終了しました。私の疑問は、氷塊しました。あのルービンが、財政黒字は貯蓄を減らすことを理解していないならば、クリントン政権のだれも理解していないことになります。経済の破綻は、必定でした。
2009年1月の貯蓄レポートが公表され、貯蓄額が増加し、GDPの5%に達したこと、および、それは1995年以来最高水準であることが報告されたとき、当局は、合わせて、財政赤字もまたGDPの5%を超え、1995年以来の最高水準であることを報告し忘れました。
正統派経済学が、いまだに、財政赤字が貯蓄を増やすことを分かっていないのは明らかです。そうしてもしもアール・ゴアがそのことを分かっているのなら、彼は真実をまったく述べていないわけです。ごらんください、今年、政府の財政赤字が増え、貯蓄も増えていますよ。ふたたび申し上げます、民間部門(アメリカ在住者と非居住者の両方をふくみます)のUSドルの純貯蓄の唯一の源泉は、合衆国政府の財政赤字による支出なのです。
しかし、見ての通り、私たちにもっと貯蓄をさせたがっている人々は、同時に、財政支出の削減か増税によって、私たちの貯蓄を奪い去り、「財政均衡」を実現したがってもいます。彼らは、二枚舌なのです。彼らは、問題を新たに作っているのであって、断じて、問題を解決しているのではありません。で、彼らは、スーパー・エリートときているのだから、困ったものです。 が、ただひとり、例外的な人がいます。
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