国境を越えたBABYMETAL現象のキーワードは、「萌え」である(その2) (美津島明)
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前回は、「萌え」の対象を欲する心性が、爛熟期の資本主義に普遍的に存在するとして、純然たる日本語の歌を歌うBABYMETALというアイドル・ダンス・ユニットがそういう心性に対してなにゆえ国境を越えた強い訴求力や魅力を持ちえるのか、と問題提起したところで終わりました。
その疑問に答えるためには、BABYMETALの振付師MIKIKOの存在に触れないわけにはいきません。彼女のダンス観には、国境を越えた魅力ある表現とはどういうものかについてのヒントがちりばめられているように感じるからです。
振付師MIKIKOの存在
Wikipediaによれば、MIKIKO氏が活動を開始したのは、1999年。「広島のダンスシーンを盛り上げたい」との思いで地元の広島で活動していたが、20代前半、東京でMAXのバックダンサーのオーディションに合格。それがきっかけでVAXというグループを結成しました。それから約五年間、週1回は新幹線に乗って広島と東京を往復する生活を送りました。東京でVAXの一員としての仕事などをする一方、広島ではダンス指導と振付と舞台演出をするという生活の中で、次第に演出や振付への興味が大きくなっていき、広島で『DRESS CODE』という舞台を創りました。その後、アミューズに所属して東京で半年間過ごします。
2006年、アミューズ会長・大里洋吉氏から「感性を磨いてきなさい」と言われ、舞台演出の勉強のためにニューヨークに渡ります。これが、彼女にとって大きな転機となります。以下は、youtube動画「ESPRIT JAPON MIKIKO Perfume ELEVEN PLAY 」における彼女のインタビューから、その転機の中身を私なりに組み立てたものです。
https://www.youtube.com/watch?v=UiBKLlbofCE&index=20&list=LLpgnjyBp7TTPUwfhW_pjSuw
氏によれば、自分がアメリカに留学する直前の日本では、アメリカのダンスをまねること、特にアメリカの黒人っぽく踊ることがカッコいいことであるとされ注目されていました。自分もまた、そういうつもりでそれまで踊っていた、と。安室奈美恵やExileなどを思い浮かべれば、それは今でも基本的には同じなので、よく分かるお話です。
〈ところが、ニューヨークに来てみて、アメリカの黒人のマネをすることそれ自体が恥ずかしくなってきた。自分は、彼らのような「ボン、キュッ」というような体形じゃない。あのダンスは、あの体形とあの魂から自然と生まれてきたもので、自分があれをやるのは違う。では、自分は何を本当に表現したかったのか。そういうものは本当にあったのか。周りから求められて、いろいろとやってはいたが、そうではなくて、「自分が」本当になにをやりたいのか、分からなくなってきた〉
正確ではありませんが、おおむねそういうことを言っています。続けましょう。
〈ニューヨークで、日本の文化の発表会があるというので行ってみると、着物着て踊って、太鼓叩いてという感じだった。それを否定する気はないが、少なくともそれは私がやりたいことではなかった。自分としては、あえて「和」を意識せずにやりたいと思った〉
MIKIKO氏は、いかにも「これが、和です」というわざとらしさがいやだったのでしょう。もっと、いまふつうに生きている日本人としての自然な思いを生かした表現をしたい、という思いがあったのではないでしょうか。
2007年7月、世間の「ポリリズム」への注目をきっかけに、Perfume がブレイクします。Perfumeは、MIKIKO氏が振付師として七年前から手塩にかけて育ててきた三人の女性のアイドル・ユニットで、彼女は、そのグループがブレイクするなどとは夢にも思わずに、ひたすら愛情だけで、彼女たちを指導してきた。留学中は、ビデオ・レターで指導した。それゆえMIKIKO氏は、Perfumeのブレイクを端的に「事故」と形容しています。その、想定外の「事故」によって、MIKIKO氏は、振付師としての自分の方向性に自信を持ち始めます。日本人の体形に見合うもので、そこに、緻密さやこまやかさを加えれば、日本独特の良さが生まれるのではないか、と。言いかえれば、そういう思いで、MIKIKO氏はPerfumeに振付の指導をしてきた、そうしてそれが世に受け入れられることになった、というわけです。
〈振付において、日常の仕草が体現できたら、その人が魅力的に映るんじゃないか。いかにもダンスを踊っています、というんじゃなくて、リズムに日常の仕草をはめている。それがふつうのダンスと違っているので、独自のものと言われるの、かな〉
おおむねそういうことを、MIKIKO氏は言っています。
彼女の発言を私なりに要約すると、次のようになります。アメリカの猿真似がどれほど上手にできても、それはしょせん猿真似でしかない。そこには、アメリカや世界の人々をひきつける魅力などない。むしろ、心の底で小馬鹿にされるのがオチだ。かといって、いかにも日本でごさいと言わんがごとくに伝統に傾斜することにも、ためらいがある。いまをふつうに生きる者としての生活実感を、「日常の仕草のリズムへのはめこみ」、いいかえれば、音のビジュアル化・言語化によって日本人の身体表現の細やかさ・緻密さとともに表現することが、それを表現する日本人をもっとも魅力的なものとして、アメリカや世界の人々にアピールすることになるのではないか。
私には、MIKIKO氏がそういうことを言っているように響きます(余談ながら、日本人がどうやって世界性・普遍性に至るかをめぐるMIKIKO氏の明察を理解し実践している日本の知識人は、いまにおいてもそれほど多くありません)。
2008年2月、MIKIKO氏は、約一年半滞在したニューヨークから帰国し、東京に生活拠点を置きます。その二年後に、彼女は、さくら学院重音部所属のBABYMETALの振付を担当することになります。それは次回に触れることになるでしょう。
BABYMETALの振付に話を持っていく前に、Perfumeの振付や歌についていささかなりとも触れておく必要があります。というのは、Perfume抜きにBABYMETALの誕生はあり得なかったからです。そのことについても、次回に詳しく触れたいと思っています。
テクノ・ダンス・ユニットPerfumeについて
MIKIKO氏が、インストラクターとして、Perfumeのメンバーたちに出会ったのは、2000年のことです。正確に言えば、三人のうち大本彩乃(のっち)には、もう少し後に出会っているようですが、まあそれはいいでしょう。それから一五年間、彼女たちは、文字通りの師弟愛を育み続けてきました。そのことを、Perfumeのメンバーたちは、「Perfumeは四人いる」という言い方で表しています。
MIKIKO氏によるPerfumeのダンスの振付がどれほどすごいものであるかについて、同じく振付師の竹中夏海氏が、次のようなことを語っています(彼女は、PASSPO☆などの振付を担当しています)。
https://www.youtube.com/results?search_query=%E7%AB%B9%E4%B8%AD%E5%A4%8F%E6%B5%B7+perfume
〈Perfumeに「不自然なガール」という曲がある。そこで、Perfumeは、ジャンルとしてはヒップホップ系をベースにしたPerfumeダンスを踊っている。ところが、バック・ダンサーたちは、クラシック・バレーなどのアート系をベースにした前衛的なコンテンポラリーダンスを踊っている。まったく系統の異なるダンスが同時並行で進行しているのだ。この曲のPVを観ていたとき、Perfumeダンスは、MIKIKOさんが振付を担当し、バック・ダンサーは別の人が振付けているのだと思った。しかし後に、バック・ダンサーたちがMIKIKOダンサーであることを知るに及び、両方をMIKIKOさんが振付けているのだと分かって驚いた。振付師としての奥行きが深いと言おうか、引出が人の何倍も多いと言おうか、通常は考えられないことである。また、Perfumeは、MIKIKOさんが仕掛ける、拍と関係のない動きや、考えられないリズムのとり方や、予想のつかない動きを一見楽々と楽しそうにこなすところがすごい。だから、踊りの専門家は、Perfumeのダンスの難しさが分かるのだけれど、素人は、「Perfumeのダンスってそんなにむずかしいの」という感想をもらす。すごく難しいことを簡単そうにこなすことが、本当はいちばん難しいし、すごいことなのである。だからPerfumeのライブは、無機的な音楽とダンスを完璧にこなしながら、楽しそうにニコニコしていたりするので、とても人間臭いし、血が流れているという感じがして、感動してしまう〉
以上の発言を踏まえたうえで、次の二本の動画をごらんください。
[MV] Perfume「不自然なガール」
Perfume Spring Of Life Live 武道館
いかがでしょうか。とくにふたつ目の動画によってPerfumeの魅力の核心部分に触れたような気がするのは、私だけでしょうか。テクノポップによる無機的な世界観の只中に彼女たちのイノセントな笑顔を発見し、そこに温かい血が流れていることを感じ取ることによって、Perfumeの世界に触れる者は、じゅうぶんに「萌え」ることが可能なのです。
Perfumeが、MIKIKO氏とのコラボレーションによって、高度な表現に達していることもまたお分かりいただけるのではないでしょうか。ここで着目していただきたいのは、Perfumeが、「可愛い」という従来のアイドル像に、音楽とダンスの両面で「カッコいい」という要素を大胆に織り込むことに成功し、アイドルの新領域を切り開いている ということです。
Perfumeが切り開いた、この新領域こそが、BABYMETAL誕生の地なのです。と同時に、そこは、世界の「萌える男」たちが引きつけられる場所でもある、という話を次にしたいと思います。
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前回は、「萌え」の対象を欲する心性が、爛熟期の資本主義に普遍的に存在するとして、純然たる日本語の歌を歌うBABYMETALというアイドル・ダンス・ユニットがそういう心性に対してなにゆえ国境を越えた強い訴求力や魅力を持ちえるのか、と問題提起したところで終わりました。
その疑問に答えるためには、BABYMETALの振付師MIKIKOの存在に触れないわけにはいきません。彼女のダンス観には、国境を越えた魅力ある表現とはどういうものかについてのヒントがちりばめられているように感じるからです。
振付師MIKIKOの存在
Wikipediaによれば、MIKIKO氏が活動を開始したのは、1999年。「広島のダンスシーンを盛り上げたい」との思いで地元の広島で活動していたが、20代前半、東京でMAXのバックダンサーのオーディションに合格。それがきっかけでVAXというグループを結成しました。それから約五年間、週1回は新幹線に乗って広島と東京を往復する生活を送りました。東京でVAXの一員としての仕事などをする一方、広島ではダンス指導と振付と舞台演出をするという生活の中で、次第に演出や振付への興味が大きくなっていき、広島で『DRESS CODE』という舞台を創りました。その後、アミューズに所属して東京で半年間過ごします。
2006年、アミューズ会長・大里洋吉氏から「感性を磨いてきなさい」と言われ、舞台演出の勉強のためにニューヨークに渡ります。これが、彼女にとって大きな転機となります。以下は、youtube動画「ESPRIT JAPON MIKIKO Perfume ELEVEN PLAY 」における彼女のインタビューから、その転機の中身を私なりに組み立てたものです。
https://www.youtube.com/watch?v=UiBKLlbofCE&index=20&list=LLpgnjyBp7TTPUwfhW_pjSuw
氏によれば、自分がアメリカに留学する直前の日本では、アメリカのダンスをまねること、特にアメリカの黒人っぽく踊ることがカッコいいことであるとされ注目されていました。自分もまた、そういうつもりでそれまで踊っていた、と。安室奈美恵やExileなどを思い浮かべれば、それは今でも基本的には同じなので、よく分かるお話です。
〈ところが、ニューヨークに来てみて、アメリカの黒人のマネをすることそれ自体が恥ずかしくなってきた。自分は、彼らのような「ボン、キュッ」というような体形じゃない。あのダンスは、あの体形とあの魂から自然と生まれてきたもので、自分があれをやるのは違う。では、自分は何を本当に表現したかったのか。そういうものは本当にあったのか。周りから求められて、いろいろとやってはいたが、そうではなくて、「自分が」本当になにをやりたいのか、分からなくなってきた〉
正確ではありませんが、おおむねそういうことを言っています。続けましょう。
〈ニューヨークで、日本の文化の発表会があるというので行ってみると、着物着て踊って、太鼓叩いてという感じだった。それを否定する気はないが、少なくともそれは私がやりたいことではなかった。自分としては、あえて「和」を意識せずにやりたいと思った〉
MIKIKO氏は、いかにも「これが、和です」というわざとらしさがいやだったのでしょう。もっと、いまふつうに生きている日本人としての自然な思いを生かした表現をしたい、という思いがあったのではないでしょうか。
2007年7月、世間の「ポリリズム」への注目をきっかけに、Perfume がブレイクします。Perfumeは、MIKIKO氏が振付師として七年前から手塩にかけて育ててきた三人の女性のアイドル・ユニットで、彼女は、そのグループがブレイクするなどとは夢にも思わずに、ひたすら愛情だけで、彼女たちを指導してきた。留学中は、ビデオ・レターで指導した。それゆえMIKIKO氏は、Perfumeのブレイクを端的に「事故」と形容しています。その、想定外の「事故」によって、MIKIKO氏は、振付師としての自分の方向性に自信を持ち始めます。日本人の体形に見合うもので、そこに、緻密さやこまやかさを加えれば、日本独特の良さが生まれるのではないか、と。言いかえれば、そういう思いで、MIKIKO氏はPerfumeに振付の指導をしてきた、そうしてそれが世に受け入れられることになった、というわけです。
〈振付において、日常の仕草が体現できたら、その人が魅力的に映るんじゃないか。いかにもダンスを踊っています、というんじゃなくて、リズムに日常の仕草をはめている。それがふつうのダンスと違っているので、独自のものと言われるの、かな〉
おおむねそういうことを、MIKIKO氏は言っています。
彼女の発言を私なりに要約すると、次のようになります。アメリカの猿真似がどれほど上手にできても、それはしょせん猿真似でしかない。そこには、アメリカや世界の人々をひきつける魅力などない。むしろ、心の底で小馬鹿にされるのがオチだ。かといって、いかにも日本でごさいと言わんがごとくに伝統に傾斜することにも、ためらいがある。いまをふつうに生きる者としての生活実感を、「日常の仕草のリズムへのはめこみ」、いいかえれば、音のビジュアル化・言語化によって日本人の身体表現の細やかさ・緻密さとともに表現することが、それを表現する日本人をもっとも魅力的なものとして、アメリカや世界の人々にアピールすることになるのではないか。
私には、MIKIKO氏がそういうことを言っているように響きます(余談ながら、日本人がどうやって世界性・普遍性に至るかをめぐるMIKIKO氏の明察を理解し実践している日本の知識人は、いまにおいてもそれほど多くありません)。
2008年2月、MIKIKO氏は、約一年半滞在したニューヨークから帰国し、東京に生活拠点を置きます。その二年後に、彼女は、さくら学院重音部所属のBABYMETALの振付を担当することになります。それは次回に触れることになるでしょう。
BABYMETALの振付に話を持っていく前に、Perfumeの振付や歌についていささかなりとも触れておく必要があります。というのは、Perfume抜きにBABYMETALの誕生はあり得なかったからです。そのことについても、次回に詳しく触れたいと思っています。
テクノ・ダンス・ユニットPerfumeについて
MIKIKO氏が、インストラクターとして、Perfumeのメンバーたちに出会ったのは、2000年のことです。正確に言えば、三人のうち大本彩乃(のっち)には、もう少し後に出会っているようですが、まあそれはいいでしょう。それから一五年間、彼女たちは、文字通りの師弟愛を育み続けてきました。そのことを、Perfumeのメンバーたちは、「Perfumeは四人いる」という言い方で表しています。
MIKIKO氏によるPerfumeのダンスの振付がどれほどすごいものであるかについて、同じく振付師の竹中夏海氏が、次のようなことを語っています(彼女は、PASSPO☆などの振付を担当しています)。
https://www.youtube.com/results?search_query=%E7%AB%B9%E4%B8%AD%E5%A4%8F%E6%B5%B7+perfume
〈Perfumeに「不自然なガール」という曲がある。そこで、Perfumeは、ジャンルとしてはヒップホップ系をベースにしたPerfumeダンスを踊っている。ところが、バック・ダンサーたちは、クラシック・バレーなどのアート系をベースにした前衛的なコンテンポラリーダンスを踊っている。まったく系統の異なるダンスが同時並行で進行しているのだ。この曲のPVを観ていたとき、Perfumeダンスは、MIKIKOさんが振付を担当し、バック・ダンサーは別の人が振付けているのだと思った。しかし後に、バック・ダンサーたちがMIKIKOダンサーであることを知るに及び、両方をMIKIKOさんが振付けているのだと分かって驚いた。振付師としての奥行きが深いと言おうか、引出が人の何倍も多いと言おうか、通常は考えられないことである。また、Perfumeは、MIKIKOさんが仕掛ける、拍と関係のない動きや、考えられないリズムのとり方や、予想のつかない動きを一見楽々と楽しそうにこなすところがすごい。だから、踊りの専門家は、Perfumeのダンスの難しさが分かるのだけれど、素人は、「Perfumeのダンスってそんなにむずかしいの」という感想をもらす。すごく難しいことを簡単そうにこなすことが、本当はいちばん難しいし、すごいことなのである。だからPerfumeのライブは、無機的な音楽とダンスを完璧にこなしながら、楽しそうにニコニコしていたりするので、とても人間臭いし、血が流れているという感じがして、感動してしまう〉
以上の発言を踏まえたうえで、次の二本の動画をごらんください。
[MV] Perfume「不自然なガール」
Perfume Spring Of Life Live 武道館
いかがでしょうか。とくにふたつ目の動画によってPerfumeの魅力の核心部分に触れたような気がするのは、私だけでしょうか。テクノポップによる無機的な世界観の只中に彼女たちのイノセントな笑顔を発見し、そこに温かい血が流れていることを感じ取ることによって、Perfumeの世界に触れる者は、じゅうぶんに「萌え」ることが可能なのです。
Perfumeが、MIKIKO氏とのコラボレーションによって、高度な表現に達していることもまたお分かりいただけるのではないでしょうか。ここで着目していただきたいのは、Perfumeが、「可愛い」という従来のアイドル像に、音楽とダンスの両面で「カッコいい」という要素を大胆に織り込むことに成功し、アイドルの新領域を切り開いている ということです。
Perfumeが切り開いた、この新領域こそが、BABYMETAL誕生の地なのです。と同時に、そこは、世界の「萌える男」たちが引きつけられる場所でもある、という話を次にしたいと思います。
何しろこの分野には門外漢ですので。「萌え」とはいかなるものか、今後美津島さんや兵頭さんのご教導を願うしかないでしょう。
それでもコメントする気になったのは、パフュームなる音楽ユニットにはちょっとだけ惹かれるものがあるからです(ファンではありませんし、「萌え」も特には感じていません)。
基より私一個の感性からして、彼女たちには以下の特長があります。
①スタイルは抜群。しかし、たぶん主に年齢的な問題で(失礼はお詫びします)、ふるいつきたくなるような美女、とまではいかない。
②いまどきの女子の本音かな、というところを歌詞にしている。しかし、いわゆるテクノっぽい歌唱によって、センチメンタルな感情移入は排除している。
③難しいダンスを、非常に楽々と、さりげなくこなしてみせる。
これらを通じて、シャープな、尖った感じを可能な限り背後に隠し、かなり怪しくなったとはいえ未だ絶滅はしていない、やまとなでしこの「何気ない優美さ」を表現し得ているように思えます。
私の年代のアイドルを振り返っても、おっしゃる通りすべて電通的なものが支配しているのでしょうが、キャンディーズの幼いお色気から、ピンクレディーのシステムに完全屈従しているM女的セクシャリティーから、ウィンクのお人形的非存在感、パフィーのツンデレと、実に様々な女性性が商品化されてきました。正直、大したもんだと思います。
が、パフュームは、計算して出てきたのではないような。今回ご紹介になった人々の手作り品なのですね。疑いもなく、こっちのほうがよりスゴイ。
でも、メジャーになった以上、もう電通的なものに取り込まれてはいるんでしょうが。それってやっぱり、よくないこと、でしょうかね?
まあ、私のようなヤツも世の中にはいるんだということを視野の片隅に置けば、ご論の広がりも増すかな、という思いだけで書きました。妄言多謝
なるほど、そのとおりだな、と思います。自分が好きな歌手やタレントの話になると、思いこみで突っ走ってしまいがちなので、由紀さんのような冷静で的確なご意見は、とても貴重です。本稿で、私は自分の思いこみの深さを表出したいとはあまり思っていなくて、自分は本当のところ、PerfumeやBABYMETALの何に反応しているのか、その反応になにか日本のほかの人々の反応や海外の人々との反応とつながるものはあるのか、といった、文化論的な興味の方がむしろ強いので、なおさらそう思います。
電通的なものが支配する文化状況というのはあまり歓迎すべきものではない、とは思いますが、それが一般大衆に受け入れられるにはそれなりの理由があるとは思っているので、拒否感を表明すればそれで済むとは思っておりません。
その点、たとえば、上にご紹介した竹中夏海氏の視点は貴重であると思っています。ある雑誌で彼女は、「散々出尽くしたと思われた言葉に対する振りが現代的な動きになっているから、男性目線ではなく同年代の女の子が「可愛い」と感じて恥ずかしがらずにマネをできるようになったんです」と、女性ならではの細やかな視点から、AKB48をバランスよく論じていたりします。逆立ちしても私にはそういう論じ方はできませんが、傾聴すべき切り口であると思っています。
いまのPerfumeが電通とどれくらいタイアップしているのかあまり知りませんが、2007年に「ポリリズム」でブレイクしたときよりむしろ電通と距離をとっているように感じます。商品としての差別感を高めるための戦略なのではないかと推察します。
「むしゃぶりつく」云々については、私もアイドルやタレントに性的妄想を抱くことができるほど若くはないので、その点は、由紀さんとあまり変わりがないと思います。でも、3人のうち特に、かしゆかさんの、短いスカートからすっと伸びた綺麗なほどよい肉づきの足や前髪ぱっつんのロングヘアーは、目の保養になるな、ぐらいのことは感じています。
とりとめのないことを申し上げましたが、これに懲りずに、これからもお気楽にコメントをいただければ幸いです。
後、ご指摘のコメント、削除しました。やっぱり気になりますよね。ご指摘、「感謝します。