遠い山なみの光 A Pale View of Hill
高校時代の友人から数年前に1冊の英語の本を頂いていた。長崎出身で英国在留のカズオイシグロさんの本よ」と。確かに一度、新聞で彼の小説について読んだことはあった。
「この本を読んでいると長崎に住んだことのある人には、風景や雰囲気がすごく分かり易く懐かしいわよ。」と登場人物の説明まで添えてあったのだ
友人は長いこと「英文学の原書を読む会」のグループに入って数多くの英文学書を読んでいるが、私は英会話の 雑談会こそ続けているが、原書を読むのは敷居が高くて お手あげのままでいた。そのうちにイシグロさんの ノーベル賞受賞発表があって、早速ハヤカワ文庫の日本語版で読んだのだった。
云われたとおり、懐かしい長崎の情景が目に浮かんだ。戦後間もない長崎でそれぞれの道を生きる対照的ともいえる二人の女性の生き様を女主人公の語り口で綴ってあり、主人公の気持ちにもより添えてイシグロさんに大変親しみを覚えた。