殆どのメディアの世論調査の形式は、YESかNOで答えさせる設問になっている。
ところが日本において顕著な現れ方をするのが、無回答か、もしくは「どちらでもない」という答えがかなり多いことだ。
このことについてフランスの人口学者のエマニュエル・トッドは次のように述べている。
「家族に関する日本、韓国、台湾の比較研究の統計を見て、不思議だな、おかしいな、と私の目を引いたのは、日本だけ(無回答)が多いことでした。どう解釈すればよいのかまだわかりませんが、これは、日本人に関する何かを示しているはずです。その統計資料の巻末に、世論調査をした各国研究者のディスカッションが掲載されていたのですが、(選択肢を偶数にする)という日本人研究者の発言がありました。(奇数にしてしまうと、必ず真ん中の選択肢が突出して多くなるからだ)と」
極めて鋭い指摘である。日本人の特性を表している部分だ。
要するに白黒はっきりさせたくないのだ。はっきりさせるためには周りの空気を読んで、あるいは世の中の動きを読んで、多いほうにYESを投じるのだ。
朝日新聞の世論調査(14,15の両日)
安倍政権の韓国に対する姿勢を評価しますか。
評価する48 評価しない29 回答しない23
日本と韓国の関係悪化で、経済や文化の交流に影響が出ることをどの程度心配していますか。(択一)
心配している56(大いに14ある程度42) 心配していない41(全く12あまり29)
政府や右翼系の雑誌・評論家は躍起になって一方的に韓国が悪いと宣伝に努めている。
しかし国民の方はやや一歩下がって冷静に様子をうかがっている。
特に歴史問題だけでやりあっている分には政府のやり方に同意していた。
だが実際の経済面(貿易や観光)さらには文化的な交流事業にまで影響が及んで来ると、「これは何かおかしいのでは?」と思うようになって来たのではないか?
「風、疎竹に来る、風過ぎて竹に声を留めず」
風がまばらに生えた竹林に当たると、竹の葉がさやさやと鳴る。しかし風が過ぎ去ると、竹には何事も無かったかのように音もない。
過去に執着して精神を浪費するような愚かなことはしない。
日本も韓国も頭を冷やして「和顔愛語」で接すべきだろう。