「八月や六日九日十五日」
8月6日は広島に原爆が落ちた日、九日は長崎に、そして十五日は天皇が戦争終結の詔書を放送した日だ。
「朕は時運のおもむくところ堪え難きを堪え、忍び難きを忍び、もって万世のために太平を開かんと欲す」
天皇陛下がポッダム宣言を受け入れて、日本が無条件降伏をするという意味だ。
実は8日にソ連が日ソ中立条約を破棄して対日宣戦布告をした。
広島に原爆が落ちるのを待って宣戦布告したようなものだ。
一方の日本軍はというと、ソ連軍のものすごい大軍(157万人)がソ満国境に集結しているのを知りながら、
「来たらざるを恃(たの)む」などと能天気なものだ。
そして最後には参謀総長河辺虎四郎の発言、「予の判断はずれたり」。
最近の政府や自民党の防衛論議を聞いていると、正確な情報に基づく彼我(中国と日本)の戦力分析などほとんどしていない。
中国の軍事費は約26兆円あまり、日本(約5兆円)の5倍ほどある。
しかも核を持っているからまともな戦い方は出来ない。
「専守防衛」に徹しハリネズミのような防衛思考で行くべきだろう。
ところが敵基地攻撃を何としてもやりたいようだ。
それこそまさに「飛んで火にいる夏の虫」だ。
そのうえ、防衛費倍増と称してアメリカからポンコツの武器を言い値で買おうとする。
戦争は、国家を豹変させる、歴史を学ぶ意味はそこにある。 半藤一利