石破総理の言行不一致や現場無視の姿勢が問われているかのようである。
予算委員会で共産党の小池議員から、日朝交渉における2件の外交文書(所謂田中文書)紛失問題を問われ、既に紛失を認めた安倍政権の閣議決定を漸くに踏襲する答弁を行った。田中文書に関して石破氏は在野時代に「内閣は良く調査して説明すべき」と安倍氏を繰り返し非難していたことを小池氏からも追及されたとされる。
施政方針演説では、持論である「アジア版NATO構想」・「日米地位協定改定」・「日朝連絡事務所開設」に触れず首相の公式な施政方針としなかったものの、「アジア版NATO構想」と「日朝連絡事務所開設」に関しては秘密裏に検討を指示したとされている。しかしながら、「アジア版NATO構想」は集団安全保障の中核には核兵器若しくは強大な通常戦力保有国が必要なことに加え、アメリカの不信感を招き日米安保を危殆に曝す危険性が指摘され、国連決議に違反する「日朝連絡事務所開設」は拉致被害者からも反対されている。
日米首脳会談では、唐突にC17輸送機の導入(購入)をトランプ大統領に約束したが、既に輸送機選定の過程で積載量には優れるも長大な滑走路を必要とするC17は日本での運用には制約が多いことが結論付けられており、在野時代の石破氏持論の空自輸送力の強化には寄与しないとされている。さらには、少数他機種の運用が、ロジスティック全般を圧迫して継戦能力を低下させている現状と装備体系のイロハを御存知なかったようである。
これらの齟齬や不一致は、長らく党内野党であった石破氏が自分の存在感を示すために現政権に批判的なスタンスを取る必要から生まれたものであろうが、在野の雌伏期間をもう少し有意義に過ごせなかったであろうか。
野党人は、言行に責任が要求されないために好き勝手ができる。鳩山民主党は、在沖米軍基地を「最低でも県外」・八ッ場ダムを標的に「コンクリートから人へ」と公約して政権を得たが、いざ政権の座に就いて現状を知ると空論はたちまちに瓦解した例もある。
一連の行為を今様にはブーメランと表現するが、かっては「天ツバ」と略され、「空に向かって唾を吐いても天に届かず、自分の顔を汚すだけの結果にしかならない」意味であるが、石破氏や鳩山氏に代表される野党人が負わなければならない宿命であるように思える。
「天つば」を勉強した。
Wikipediaでは原文を《 仏教最初の漢訳経典「四十二章経」にある「悪人の賢者を害するは、猶し天を仰いで而も唾せんに、唾、天を汚さずして、還って己が身を汚し、風に逆らって人に塵くに、塵、彼を汚さずして、還って身に塵するが如し」》と紹介されていた。