もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

コレクション考

2025年02月26日 | 自白
 先日亡くなられた森永卓郎氏のコレクター哲学を知った。
 森永氏のコレクションは、少年時代に父親から貰ったミニカーが原点であるらしいが、傍から見れば脈絡・一貫性のないもの、所謂ガラクタと聞いている、
 後年、TV露出の機会を得た森永氏は、機会・人脈を頼りに有名・著名人にサインを頼み、こけしにビート・たけし氏のサインを貰って「ビートこけし」と駄洒落、森永キャラメルの箱にされたキャメロン・ディアスは「キャラメル・ディアス」とご満悦の様子であった。
 コレクションの中には重複した物も多いようで、インタビューアーが「同じ物を複数個持つ不思議さ」を問い質したら、森永氏は「コレクターの心を解ってないネ。本当のコレクターは、集めることが好きなんだよ」と述べておられる。成る程!!。目的は「集めること」だけで、収集品の価値・希少性・一貫性には頓着しないのがコレクターの神髄なのかと合点できる部分がある。そんな氏の哲学の故か、収集品は天文学的な数に及び、遂には1億円以上も掛けて展示室を兼ねた博物館開設を迫られる結果になった。
 森永氏は、ガラクタコレクター人生を全うされて旅立たれたが、収蔵・所蔵品に対する遺族の対応については、よそ事ながら興味を持っている。
 というのも、自分も楽曲コレクターで、収集・収録曲を24時間不眠不休で聴いても1年以上はかかる程になる。楽曲も、演歌に始まりポップス・ロック・ジャズ・レゲエ・ファド・歌謡曲・軍歌・民謡、クラシック・果てには浪曲まで網羅されている。将に森永氏と同様に「手当たり次第に集めることだけが」目的化していたのは疑いも無いところである。
 自分の遺品整理の場を想像すると、先ず処分されるのは絵、次いでCD/楽曲であろう。遺品整理動画のエンドロールが流れる直前のシーンは、粗大ごみ業者を前にして「目ぼしい物は無かったネェ~」という家族の言葉がテロップで大写しされるのは確実である。

給食費の無料化

2025年02月25日 | 国政・行政
 義務教育における給食費無料化が実現するようである。
 無料化によって、これまで問題視されていた給食費を払えない世帯・児童、物価高による献立の貧弱化、地方自治体の赤字などの救済・健全化に多くの改善が図られることだろう。唯一、癪に触るのは「十分な余力がありながら払わなかった下種ども」の行為を追認する形にもなることであるが。
 昨日、連休逗留中で少食の孫との食事中の会話。
爺「来年度から給食費が無料になるかも知れない」
孫「ヤッタァ!!」
爺「そうか、子供心にも親の財布を気にしていたのか」
孫「ううん。お母さんからの”給食費を払っているのだから、残さずに食べなさい”というプレッシャーから解放される」
爺「それなら、ここの食事を有料にして、お母さんの遣り方が続けられるようにしなければなぁ」
孫「止めてよ。折角光を感じたのに」
 ともあれ、スナック菓子、清涼飲料水、ジャンクフードの偏った食生活で、健全な発育が危惧される発育期の児童・生徒に、1日に1食とはいえ栄養バランスのある食事を提供することには、税金を使う価値があるように思える。

日本学術会議改組法案に思う

2025年02月24日 | 科学
 日本学術会議改革のための日本学術会議法案の内容が報じられた。
 改組の目玉は、2026年に政府の機関から「特殊法人」に移行、業務を監査し会員らの不正行為を首相へ報告する「監事」を、活動の評価方法などについて意見する「評価委員会」を設置、監事と評価委員は会員以外から首相が任命する、であるらしい。
 新会員の選出についても、前任者による後任者指名制度から会員の互選とし、候補者に関しても局外者による品定めが行なわれるようで、活動の透明化によって真の国立アカデミーとしての再出発が期待できるように感じられるとともに左翼伏魔殿からの脱却も期待できるように感じた。
 この改組案に対して、歴代の会長6人が「政府の干渉強化によって学問の独自性が損なわれる」と法案反対を表明したようであるが、彼等が自浄作用の無いぬるま湯組織存続の元凶であれば、負け犬の遠吠えに過ぎない様である。
 日本学術会議が、日本の先端科学を以て国家施策・国民福利に貢献はされているのだろうが、HPに記載されている最近の提言等を一覧(項目のみ)すると、学術会議の存続に関する事項が目立ち、本来の目的よりもお家の存続・既得権益の維持に注力されていたの感は否めない。
 中国コロナのパンデミックから4年後の2023年に「高リスク感染症流行予防対策を進める必要がある」と提言しているが、水際防御の限界、防疫(組織・装備)体制の脆弱性、ワクチン開発の遅れ等の場面で、散々に言い古された内容に近いものではと思っている。何より、コロナパンミック対処で列国の後塵を拝したのは、細菌研究が生物兵器開発に繋がる懸念があるとした学術会議の積弊が関係しているように思っているので、「4年も経って何を今更」と感じられる。
 国際的に評価の高い研究者が、かって「学術会議に入りたいとも思わないし、声が掛ることも無いだろう」とのコメントを読んだ覚えがあり、真の学識者からは、現行の学術会議は「窮屈・偏屈なイデオロギー集団」というレッテルが張られているのは間違いのない所と思っている。

ブリッジと第6級賞詞

2025年02月23日 | 自白
 自分は、第6級賞詞受賞という輝かしい?経歴を有している。
 時間的制約を受ける艦内娯楽の代表はトランプであり、士官室ではコントラクトブリッジ(以後。、コントラ)が行なわれる場合が多い。
 かっては海軍士官のたしなみと半強制されたコントラも、現役の最後頃には見かけることも少なくなっていた。幹部昇任後に初めて乗艦した護衛艦では、コントラ好きの艦長のもと多くの幹部が競技していた。乗艦早々の昼休みに召集され、ほんの数分間のルール説明の後、実戦での特訓が始まった。全く要領を得ない自分には、叱責の声雨アラレで昼休みどころか昼地獄の有様が数日間続いた。しかしながら記憶力に難あるのか、一向に上達することは無かったが、それでも相手からは全幅の信頼は得られないものの、協議参加が認められる程度にまではなったと思っている。こんな叱責満載の地獄絵図が若年幹部から嫌われるのか、歳を追うごとにコントラは士官室から姿を消したようにも思われる。閑話休題。
 夕食後は暇が多い補給艦では、幸いにしてコントラができる者が多く、派米訓練やカンボディアPKO時には楽しむことができたが、金を賭けないこともあって、ギャンブル好きの自分には今一つ充足感が無いし、戦績を誇れる物証も無い。そんな訳で「第6級賞詞」の創設を試みた。
 自衛隊には1級~5級までの賞詞があり、それぞれに十干の甲・乙・丙・丁・戊を冠した識別番号が付されているので、6級賞詞は己(き)を付して尤もらしく装い、賞詞には表彰者の職印が押印されるが、流石に艦長職印の使用は憚られるので箔をつけるために艦長の私印を押させて貰うことに漕ぎつけた。
 受賞条件は、コントラ通算でグランドスラム10回&スモールスラム20回獲得とした。13組の札を取りあうコントラでは13組全部獲得のグランドスラム、相手に1組しか与えないスモールスラム(何故か海自では”リットン”と呼ぶ)であれば、滅多にはできないもので、受賞条件を2年程度の乗艦期間でクリアするのは相当に困難なものである。また、表彰はコントラと全く関係の無い幹部まで士官室に呼び集めて表彰式を執り行った。自分の在任中、6級賞詞を獲得したのは、艦長と自分だけであったが、その後は・今はどうなっているのだろうか。
 引っ越しのどさくさと終活の結果、自己満足の域を出ない6級賞詞賞状は保存の対象とは認められずに泣く泣く破棄したが、悔いの残る出来事であった。
 自分が練った表彰状文言「貴殿の透徹した戦術眼と旺盛な敢闘精神は他の隊員の範とするに足るものと認め 茲に表彰する」・・コントラよ、永遠に。


岸田前襲撃犯の量刑に思う

2025年02月20日 | 裁判
 総選挙遊説中の岸田前総理襲撃犯に対する裁判員裁判で、和歌山地裁が懲役10年の判決を下した。
 裁判における最大の争点は殺意の有無であったが、判決では殺意を含む全ての訴因で有罪と認めた。
 量刑については、殺意を持った一般的な殺人未遂事件と同程度とされるが、産経新聞の社説では、一般的な殺人未遂とテロ行為のそれが同じで良いのだろうかとの疑問を投げかけている。
 被害者の社会的地位に応じて量刑を加減するのは中韓では良く耳にするが、他の先進国ではあまり聞かないものの、テロ行為には別の規定を設けている国も多いのではないだろうか。
 アメリカでは、殺意・計画性の下に行われたり放火・誘拐・強姦・強盗などの過程での殺人を第1級殺人罪(最高刑は死刑)、 殺意はあったが計画性は無かった殺人や 暴力・レイプ等の過程で結果的に起きた殺人を第2級殺人(最高刑は終身刑)としている。更に今回知ったことであるが、フロリダなど3つの州では上記の何れにも該当しない殺人を第3級殺人としているそうである。このように、量刑に対しては被害者の数や社会的地位は考慮しない建前であるが、9.11テロ実行者の裁判が未だ始まらないことを観ると、テロによる大量殺人に対する対処には苦慮していることが窺える。
 被害者の地位や重要度に斟酌しなかった例として、大津事件が挙げられると思う。1891(明治24)年5月11日、大津市訪問中のロシア帝国皇太子(後の皇帝ニコライ2世)を、警邏中の津田巡査がサーベルで負傷させた暗殺未遂事件である。大国ロシアに怯えた政府は大津巡査を極刑に付してロシアに謝罪しようと司法に圧力をかけたが、時の大審院院長(最高裁判所長官)の児島惟謙は「法治国家として法は遵守されなければならない。刑法に外国皇族に関する規定はない」として政府の圧力を黙殺して、事件から16日後の5月27日、一般人に対する謀殺未遂罪を適用して津田巡査を無期徒刑(無期懲役)とした。この司法独立の姿勢は列国から高く評価され、新生日本帝国の認知と後の不平等約改訂に大きく貢献したとされている。
 岸田前総理襲撃事件裁判の経緯を観ると、弁護活動に些かの違和感を持つ。殺意の有無について弁護側は無かったと主張したが、爆発物に殺傷力を高めるためにナット等を入れた時点でアウトであろう。襲撃の動機についても公判の課程で供述を翻す等、弁護士が裁判に有利に途ぶくために策を弄した可能性が見え隠れする。光市の母子殺人事件でも、弁護団に弘中氏が加入した時点から唐突に「ドラえもんがリセットしてくれると思った」等の荒唐無稽な陳述を始めたこともある。
 重大な事件が起きるたびに識者は「裁判で動機を解明し、真実を明らかにして欲しい」と判を押したようにコメントするのが例であるが、今回に事件など現実の裁判を観ると弁護活動(弁護士の教唆・入れ知恵)が真実解明の最大の阻害要因となっているようさえ思える。

戦後80年談話の行方

2025年02月19日 | 与党
 石破総理とその周辺が、戦後80年首相談話の発出に十分な色気を持っているらしいことが報じられた。
 首相の戦後談話は、戦後50年に村山首相、同60年は小泉首相が、70年は安倍首相がそれぞれに発出した。村山・小泉談話は、日韓・日中関係改善を目途として発出されたが、中韓からは朝鮮併合、慰安婦強制連行・南京虐殺等について日本政府が公式に誤りを認めたと受け取られ、却って反日思想の火に油を注ぐ結果にしかならなかったと理解している。特に村山談話に関しては、前の宮沢内閣の官房長官であった河野洋平氏の談話、所謂「河野談話」を追認するものと受け取られたので猶更であったように思える。70年談話は反省を込めながらも「児孫にまで謝罪の責任を負わせることはできない」と謝罪外交への訣別を宣言し、中韓以外からは歓迎された戦後談話の最終形と思っていた。
 石破総理の胸中は計り知れないが、過去の発言を観る限りでは心底からの自虐史観であり、土下座行脚・土下座外交も已む無しとされているようにも感じられる。識見・指導力において「月とスッポン」ほどの差がありながら、安倍氏を政敵と捉えていることに、5回の落選にも拘わらず総裁選に立候補した粘着力が加われば、何が何でも韓国風の積弊清算にも似た反安倍色を出そうとするのは避けられないように悲観している。閑話休題。
 石破総理は、早い時期の日中首脳会談で米中の橋渡しを期しているとも伝えられるが、米中双方に仲介を期待する動きも無く、特にトランプ大統領は直接対話で事態を解決するディール信奉者であれば日本の仲介申し出など何の意味も持たないように感じられる。かって、韓国の文大統領が米朝会談の橋渡しを買って舞い上がったが、結果的には米朝から梯子を外されて全くのピエロと化したことがある。
 今に至っては詮無いことながら、激動の時代に力量不足の指揮官を選んだ自民党議員諸氏の定見の無さが悔やまれる。総裁選の当初から石破氏に与していた議員はともかく、決選投票で石破氏に乗り換えた議員は何を望んだのだろうか。論功行賞か、媚中総理誕生か、ポスト石破に有利か・・・、おそらく彼の識見・力量が総理としての資質を備え、かつ日本の百年に貢献することよりも、政局重視や自己保身で石破氏に票を投じたに違いない。そんな彼等でも、今になって臍を噛み、石破おろしに走ってくれれば、未だ救われるのだが。

コンプライアンスを学ぶ

2025年02月18日 | 社会・政治問題
. 中居正広氏の事案では、社員が食事会の設定に関与したと誤報されたことによって、フジテレビ社のコンプライアンスに疑義ありと経営陣の引責辞任にまで発展した。
 コンプライアンスは法令遵守と和訳されているので、フジテレビの場合では例え社員による食事会設定が事実であったとしても、会社のコンプライアンスを問うのは如何なものかと思い、コンプライアンスを勉強した。
 ネットで観て自分なりにシックリ感じるのは、《ラテン語のcomplere(空所を満たして一杯にする)が英語のcomplete(完成)に繋がり、complianceはcomply(何かに従うこと)という動詞の名詞形である。complianceは、単に何かに従うことを指しており、その「何か」は特定されていないが、和訳の際に、我々が従う「何か」は法令に違いない」と誤訳され誤解が広まった》という主張である。
 日本では、当初は和訳の通り狭義の「法令遵守」であったが、現在では解釈が広がって、法令遵守はもとより、個人・企業の倫理感及び社会規範の遵守にまで及ぶ概念とされている。
 成る程!!と思う反面で些かに奇異に感じるのは、何故に法令ができた、法令を作る必要があったのかと考えれば、長い年月で人口が増え、貧富の差が生じ、宗教が現れ、権力が生じて、それまでの小さな共同体では機能していた社会規範が機能しなくなったことを補完するためでは無かったであろうか。
 近代的法律が無く、社会通念が大勢を決した時代には多種・多様な価値観から、首狩りが生まれ、カースト制が生まれ、選民思想・民族蔑視が生まれ、日本でも穢多・非人差別、村八分の風習、等が思い出される。
 これらの社会規範・通念を悪弊として禁止したのが法令であると考えれば、現在のようにコンプライアンスに各人で振れ幅の大きい社会規範の遵守まで入れ込むのは如何なものであろうか。キリスト・イスラム教国では、法令の他に聖書・コーランという文字規範があるために各個人の振れ幅も小さく・違反事案の制裁共有も容易であるが、それとても「神の御心解釈」次第によっては悪行を正当化さえできるように思う。ましてや、成文規範の無い日本で社会通念・規範を過度に重視するのは、大きい声がコンプライアンス自体のゴールを動かしかねない。現に、フジテレビの記者会見でも、長広舌に自論のコンプライアンス概念賛同を強制する善意を気取った記者が多かったとされる。
 現在、少数派の活躍の場を増やして社会の活性を図るというDEIが、逆差別を生む・競争原理を否定することで社会の活性化を阻害するとして、欧米では廃止・縮小の方向に向かっている。
 それと同様に、各個人の尺度が異なるコンプライアンス・ハラスメントが大手を振る社会は、人類が追い求めてきた社会とは異なるように思える。自国の社会通念と規範を世界に敷衍・普及しようとする、プーチン氏や習近平氏を観ると、その危険性が容易に理解できるように思う。
 そのうち日本にも、独特の規範を正とする小プーチン、小近平が現れるかもしれない。

京大教授の遅刻

2025年02月16日 | 世相・世論
 他人の失敗・不幸を喜ぶ気持ちは毛頭ないことを念頭に置いて頂きたい。
 TV番組に出演予定の京大教授が2週連続で番組を遅刻・欠席した。
 1回目は、京都からTV局のある大阪まで新幹線で移動する際に誤って上りの新幹線に乗ったそうである。乗車して直ぐに気付いたものか番組スタッフ宛第一報に「只今米原付近を名古屋に向け走行中」とメール報告されたらしい。
 不案内の在来線駅での乗り換えに失敗した経験は幾度も有る自分でも、流石に新幹線の上下を間違えたことは無いので、可笑しさを通り越してしまった。しかしながら、自分であれば慌てふためくとともに、くどくどと謝りの言葉を入れ込むであろう第一報を、悠揚迫ることない文面で状況を端的に表現したメールを観て「流石に大学教授」と感服した。日本海海戦を前に秋山真之参謀が付け加えたとされる「本日天気晴朗なれど波高し」を彷彿させるものである。
 1週間後の2回目は教授が出張先から大阪直行のために乗車した伯備線の急行列車が、折からの寒波で徐行運転を余儀なくされ、挙句の果てに列車故障で名も無い駅に放り出されことに依っている。流石に教授も今回は状況をつぶさに伝えられたそうであるが「ここは何処の駅だろう」と付け加えておられるらしい。番組に迷惑をかけることもさりながら、自分ではどうにもならぬ状況に対して全く途方に暮れたた状況・心情を余すことなく伝えるに相応しい表現に思える。
 番組のMCは、達者な芸人で「駅で見かけたらアホと伝えて下さい」と笑いを取ったそうであるが、若し真に受けた視聴者が教授にアホと伝えたら、教授の素晴らしい切り返しの後日談が生まれたことだろう。
 教授のますますの活躍を祈って終演。

立民の財源探しに注目

2025年02月15日 | 野党
 立憲民主党が来年度予算に約4兆円の修正(歳出増)を求めることが報じられた。
 今回の修正案では、修正の前提である財源確保の方策も併せて示されていることが特色で、民主党政権時の「財源を考慮しないコンクリートから人へ」の失敗反省が図られている。さらに、政局的には国民民主が絵図を描いた年収の壁で「財源は政府・与党が」の無責任さを強調する色合いも有るように感じられる。
 歳出の修正事項は給食費の無償化、年収の壁引上げ高額医療費負担額の低減などで評価できるものの、財源確保については年金等の政府基金取り崩しや予備費の圧縮などで手当てし、国債の発行はしないとされているが、とても継続事業を支える恒久的な財源確保とは呼べないものである。政府基金の取り崩しにあっては数年でギブアップであろうし、災害対策が主眼の予備費を圧縮することは小規模な災害対策でも補正予算が必要となって時宜適切な対処や復旧に支障を来すであろう。中国コロナ禍に際して、東京都が国に先行して手厚い支援や対策が採れたのは、石原知事が蓄積した積立金であったとされることを思い出す必要があるのではないだろうか。
 更には、ガソリン税の廃止も主張しているので、実現すれば歳入不足⇒国債の乱発の出来も見え見えである以上に、高度経済成長期に建設した高速道路などの老朽化不安が叫ばれる現状から、果たして適当であろうか。となれば新税も視野の片隅に現れ、主としてガソリン税という受益者負担の変形であった道路行政も広く国民が負担することになるだろう。
 蛸は、飢えて獲物が採れない場合は、自分の足を食って生き延びるという。
 与党の過半数割れと云う事態で出来した、腐肉を争うハイエナのごとき野党の姿、更にはそれに快哉を叫ぶメディアの姿を目の当たりにすると、まさに蛸足状態に見えるが、他山の石としてイギリスのトラス内閣を思い出すべきである。
 人心一新として2022年9月6日に政権を握ったトラス内閣は、矢継ぎ早に大型減税、エネルギー価格高騰対策、所得税率の撤廃、法人税引き上げの中止等を打ち出した。この「歳入減と歳出増が国家財政を危うくする」蛸足的経済政策では多くの国民が余慶に預かるであろうことが期待されたが、世論調査の政権支持率では支持7%、不支持77%と惨憺たるものであった。この惨状からトラス政権は成立後わずか44日後の10月25日に瓦解した。思うにイギリス国民とメディアは、一時的余慶に惑わされることなく国家百年の存続を選択したものであろう。
 ガソリン税を含む石油税については、道路行政や温暖化対策のためにも必要であり、物流を担うトラック用軽油の減税は有としても、ガソリン税は暫定措置ではなく恒久税として存続させるべきであり、マイカー保有者も”お国のためと我慢しましょう”と締め括って終演。

再び病院船を学ぶ

2025年02月13日 | 防衛
 アルピニストの野口健氏が、病院船の保有に関して国会で論議することを提言しているコラムを読んだ。
 東日本大震災では、病院船とまでは呼べないものの相当な医療設備を持つ揚陸艦を配備したにもかかわらず、総合的な運用に関しては「トモダチ作戦」に参加した米海兵隊から《日本の水・陸両用能力が脆弱》と指摘されたように、病院船とそれを支援(利用)する陸海空の総合・統合運用力は不足していると思っている。
 統合運用については、陸海空自衛隊を一元的に指揮する常設組織「統合作戦司令部」が3月に編成されることから、水陸空両用能力も改善されると期待しているが、病院船に関しては大規模災害の度に話題とはなるものの、喉元過ぎれば語られることも少ない。
 病院船の保有に関する要望が一過性となるのは、偏にコストがかかり過ぎることであるように思う。
 病院船については、米海軍病院船”マーシー”が東京に寄港した際に紹介したが、再度勉強してみた。
 実は、病院船の厳密・正確な定義は無い様である。
 病院船の国際的な法定義は、1949年の「海上における傷病者の病気の改善に関する条約」であるらしいが、それとても、非武装、船体の白色塗装、船体・装備の全てに赤十字の着標、配備の10日前に紛争の当事者に名称提示が義務付けられているだけであるらしい。
 現在病院船として広く認知されているのは、アメリカのマーシー級2隻、中国の兵員輸送艦を改装した1隻、ロシア海軍の3隻のみとされている。インドネシア海軍も1隻運用しているが船体塗装・武装などから国際的な病院船とはされていないようである。
 その他にも、
〇河川や湖沼に住む地元住民に医療支援を提供する小型船(ボリビア、ブラジル、チリ、ペルー、タイ)
〇 小規模医療支援船(インド、インドネシア、メキシコ)
〇人道支援・避難輸送船(ドイツ、英国)
〇民間病院の船舶(スペイン、各NGO)
等が挙げられている。
 病院性の有効性について考える前に米海軍マーシー運用を観てみると、年間の内、半年は造船所等でのメンテナンス(通常の艦船整備+医療機器の更新等)に費やされており、残りの半分で人道支援・災害救援などの平和維持活動に当っているが、湾岸戦争以後は大きな戦地出動はないようである。通常は少数の保守要員だけが乗船しており、出動時には残余の乗員と、予め指定されている民間人を含む医療スタッフが乗船することになっており、緊急出動に要する時間は5日間とされている。
 有効性についてであるが、先ずコストを考えれば、建造費は艦船よりは安いが、維持費は艦船と同等であるように思える。カンボディアPKO時の経験であるが、搭載した医薬品の賞味期限は概ね3か月であり、診療実績の無い病院船では年に4回全医薬品を更新しなければならない。医療機器についても、随時更新する必要があるだろうと思える。
 活用についても、病院船は大規模災害が無ければ1年間全く無診療・非活動である公算が高く、更には内陸部での災害に対しては無力である。そのような運用実績の病院船であれば、乗組員もマーシーと同様の体制とならざるを得ないように思う。
 このような活動では、非活動嫌いの会計検査院の格好の餌であろうし、最大のネックは緊急時に召集する人的資源がないことである。運行するための自衛官乗員については、他艦船が7~80%の定員で運用されている現実では抽出もままならないだろうことは明白である。更に、民間医療スタッフの活用体制については法整備されていない実情にある。フォークランド紛争で出動した英軍には、病院船クイーンエリザベスが随伴したが、客船の徴用については平時からの取り決めによって、医療従事者については現役・予備役・後備役に加えて民間人の招集・応召に依ったとされる。それらのどれ一つとして、日本では取り組みや制度がないのではないだろうか。
 野口氏の提言は、真に的を射たものと思うが、前提として平時における盛大な無駄を容認することと船舶の徴用や民間人の招集についての法整備が為されなければならないように思える。さらに重要なのは、国民が”百俵の米”に堪える気持ちであるように思う。

金のポケベル

2025年02月11日 | アメリカ
 訪米中のネタニエフ首相が、首脳会談に際してトランプ大統領に贈った金のポケベルが物議を醸している。
 金のポケベルは、ガザ紛争勃発直後ハマス支援に参戦したヒズボラ戦闘員間での通信手段として広く用いられていたポケベルにモサドが爆薬を仕掛けて遠隔爆発させ、12人の民間人を含む少なくとも42人が死亡3,000人以上が負傷したことに由来している。
 ガザ紛争は現在6週間の停戦期間中であるが、ハマス側の人質解放は遅々として進まず、現在までに人質13人を解放しただけである。これに応じる形でイスラエルが釈放したのは刑務所などに収容していたパレスチナ人600人とされている。また、15日にも行われると期待されていた人質交換も、ハマス側がイスラエルの停戦義務違反を主張して延期になりそうな状況を観れば、人質を解放しないハマスが人質を”人間の盾”として使用しているのは間違いのないところと思う。
 ポケベルによる民間人の死傷やガザ侵攻から国際刑事機構(ICC)はネタニエフ首相への逮捕状を発行しているが、ICC加盟国ながら処置を不満として拠出分担金の供出を停止しているアメリカを、ネタニエフ氏は大手を振って訪問している。
 そんな中での、金のポケベルはどのような意味を持つのであろうか。
 伝統的なパレスチナ贔屓からの反ユダヤ的イスラエル叩きと、云うことを聴いてくれる可能性がある相手(文明国)には厳しくするという知識人の最も好む粗材であるらしく、テレビの有識者は挙って金のポケベルは国際社会に公然と挑戦するものとする意見が多い様である。
 自分は、ネタニエフ氏が国際社会の思惑などに顧慮することく、如何なる手段を以てもイスラエルを守り抜くということを広く示すために、敢て公にされるであろうプレゼントとして使用したのではないかと思っているので、強い指導者に相応しい演出と観ている。安倍昭恵夫人に道を開いてもらった石破総理の訪米手土産は金色の兜であったとされるが、日本製鉄のステンレス兜を持参する気は無かったであろう。
 トランプ氏は、1期目には米大使館を3教の聖地エルサレムに移転させるとし、今期はガザ地区をアメリカが所有するとし、イスラムの反発を倍加させている。
 ガザ紛争は、どのような決着を迎えるのだろうか。

現代コメ事情

2025年02月09日 | 世相・世論
 米価高騰の抑制策として、凶作を条件としていた政府備蓄米の放出が行なわれる。
 ”タイ米騒動”があったなとWikipediaで調べると、《1993(平成5)年の記録的冷夏に起因する米不足現象で、平成のコメ騒動とも呼ばれている》とあった。自分と我が家限定の記憶であるが、当初は国産米〇㎏購入しようとすれば、タイ米〇㎏を同時購入しなければならないという販売形式であったが、何時しか国産米が出回り始めて何の制約も無く国産米を購入できたように思うので、流通経路のどこかで。作為的な操作があったのかも知れない。
 今回のコメ不足では、平成のコメ騒動とは異なり令和6年のコメ収穫量は前年を上回ったものの、JAを始めとする大手集荷業者の集荷量が前年を下回る、すなわち農家の売り惜しみが原因の一つとして挙げられるらしい。都市伝説であろうが「八十八の手間がかかることから「米」という字が出来た」ことを考えれば、農家が高値を期待して米を保有していることは、株の値上がりを期待する投資家と同じであり、非難することはできない。
 江戸時代における米騒動は、不作・飢饉時を除いて消費者が「打ち壊し」に奔るのは、米問屋がカルテルを結んで売り惜しみした例も多いとされるが、現在のコメ騒動が農業者の売り惜しみであるとするならば、農業従事者の育成や保護によって農家の地位が向上したことの表れとも観ることができるように思える。
 報道では、コメ離れが進むとの観測・警鐘もあるが、米飯愛好者が底値に到達した今では、これ以上のコメ離れは起きないように思う。育ち盛りではそうもいかないだろうが、成人・老人が腹八分で済ませば20%の値上がりには対処できて、健康増進にもつながるので、米価上昇も良い一面があるのでは(笑)と思っている。閑話休題。
 先日何かの拍子で戦後の「芋メシ」を思い出し、反発必至の妻子の外出時を狙って幼児の記憶とクックパッドを拠り所に作ってみた。さらに、今ではB級グルメ化した「団子汁」も作って、意気揚々ながら叱責覚悟で妻子の御帰還を待ったが、案に相違して妻は「懐かしい」と云い、娘も「毎日食べたいとは思わないが、たまには」で全否定では無かった。戦後に比べれば芋は「紅ほっぺ」、団子汁には豚肉、季節感の無い数種類の野菜、練り物も入り幼少期のそれとは別物ではあるが。
 夏目漱石の「坊ちゃん」には、東京育ちの坊ちゃん先生がが、語尾に「・・・なもし」を付ける伊予弁に「菜メシ、菜メシと云うな」と癇癪を起こす場面があるので菜っ葉だけを炊き込んだ「菜メシ」も芋メシと同じ位に都市生活者を含めて市民権を持っていたことが窺える。
 昭和40年代頃は、戦後の食料事情を忘れないために終戦の日前後には「雑穀ご飯」を伝えようという運動もあったが、飽食の時代に入ると耐えて聞かなくなった。
 大凶作・震災等で米が潤沢に入手できなくなった場合の非常手段として、雑穀入りご飯でカサを増す、「食い延ばし術」は伝承する必要があるのではないだろうか。

国会での制服答弁は?

2025年02月08日 | 防衛
 衆院予算委員会で求められた、制服答弁議論が門前払いされた。
 質問したのは国民民主の橋本幹彦議員(元空自・当選1回)が、制服自衛官の国会答弁論議を求めた際、最終的には理事会の判断と安住委員長の裁可で門前払いの様相であったらしい。
 橋下議員は、議論深化の前提として
1 国会における防衛論議は机上の空論
2 慣例が制服答弁議論の深化を妨げている。
 としているが、まことにその通りと思う。
 理事会・委員長の頑迷な慣行踏襲は「シビリアン・コントロール」のためとされているが、自衛隊の戦力と配備に無知な国会議員では、防衛体制の構築と武力行使の是非をコントロールすることは望めないのではないだろうか。防衛予算を防衛官僚に丸投げした結果、正面装備は体面を保っているものの、後方の弾薬や部品の備蓄・保有は危機的で、戦闘機のカニバリズム(数機を部品取り用として犠牲にする)など自衛隊の継戦能力が危機的であることが明るみに出たにもかかわらずにである。この兵力整備失敗の責任は、当然コントロールすべき政府と予算を審議し監査する国会が負うべきであるが、誰も責任を追及し得ないのは、議員諸氏がシビリアンコントロールの本質を理解していない結果であると思う。
 シビリアンコントロールに関しては、アメリカ合衆国上院軍事委員会の任務が端的に表しているように思える。
 Wikipediaで当該委員会は《合衆国憲法及び連邦法の規定により国防について討論し監察することを第一の任務としている。国防政策に関する事柄の包括的な調査及び評価を行い、各年度の国防授権法に基づき、兵器装備に費やされる支出、兵士の待遇、その他の国防に関する多くの問題など、軍事技術の研究開発から人事制度まで国防に関する諸事を担当し、陸軍省、海軍省、空軍省を含む国防総省を監察している》とされているし、委員会に制服を呼んで説明・陳述させるのは一般的に行われている。
 このことから云えば、現在の国会で行われている防衛議論は「群盲象をなでる」もので、シビリアンコントロール先進国から見れば幼児の言葉遊びの域を超えないだろう。
 折しも、立憲民主党は来年度予算審議の際に修正を迫る項目を公表した。そこには、年収の壁引上げ等の追加と並んで、防衛増税の中止も盛りこまれているが、防衛増税で整備するとした基地攻撃能力が「何故に必要でないのか」を議論し尽くしての要求とは思えない。多くの国民が、中朝の膨張・暴発に危機感を抱いているのに、自衛隊=防衛をコントロールすべき国会が、政局としてしか防衛予算を扱わず、政権維持だけが目的の石破政権も「防衛力の現状に目をつぶって」なにがしかの修正に応じるであろうことは十分に考えられる。
 かの小西議員は、自分に対する自衛官からの個人的面罵を「シビリアンコントロールに対する重大事」としたが、これと同様に今回の自衛官に発言の場を与えないのは、「農民の窮状を知ろうともせずに、文民(政治家)は偉いので制服は黙って従えば良い。ましてや農民ごときが殿様に直答するなど言語道断」と云う封建領主と農民の関係に似ているように思える。
 自衛官が国会で発言する機会は、軍事上の失敗で国民がスケープゴートを求め、国会がスケープゴートに制服を差し出す時にしか訪れないのではないだろうか。

中国元外交官逮捕に提言

2025年02月06日 | 中国
 中国大使館の元3等書記官が逮捕された。
 逮捕容疑は、3億円ともされる国のコロナ対策給付金の不正受給である。
 自分の知識では、単純な給付金詐欺であれば刑事部が担当すると理解しているが、逮捕したのが警視庁公安部であるので、単なる詐欺容疑だけではないように思える。
 昨年5月にも同様の容疑で中国人を逮捕(不起訴)した際には、中国海外警察の拠点と目されるビルの家宅捜査も行われていることから、今回の逮捕に関してもその延長であると思いたい。
 新聞報道の解説部分に依れば、例え海外警察であったとしても在日中国人などに対する恐喝などの明らかな犯罪行為が絡まなければ、処罰する適当な法律が無いとされており、今回も詐欺容疑だけでの処罰になる可能性も捨てきれないように悲観している。
 しかしながら、一旦帰国した外交官が再来日し、なおかつ東京でレストランを開く資金を持っているのは極めて不自然に思うので、再来日と日本での偽装は中国政府の対日諜報工作の一環で、元外交官は組織の中枢にある大物と観るのが妥当であるように思える。
 公安部も引き続き資金の流れを捜査するとしているが、何とか起訴・実刑に持ち込んで欲しいものである。
 現在、中国には不当?な容疑で拘束・服役されている数人の日本人がいる。元外交官が大物で有れば有るほど日本人の釈放救出の取引材料として有効で、利用価値が高いように思える。
 元外交官に対しては、中国と同様に拘束理由を明かすことなく長期未決拘留とするのも有効ではないだろうか。ならず者国家中国と同様の手段を採ることには「日本をならず者国家」にするとして媚中知識人が金切り声を挙げるであろうが、当然の処置と擁護・支持する人が圧倒的に多いのではないだろうか。
 元外交官の経営する店のHPには《歴代首相を始めとする日本政財界、中国大使館などによくご利用されています》と書かれているそうである。スパイ小説では、個室での会話を録画・録音して、標的を抜き差しならぬ状況に追い込んで協力者に絡め取る場面も多いが、当該レストランでのそんなケースは杞憂であって欲しいものである。
 しかしながら、米国と同程度のセキュリティクリアランスが導入されれば、当該レストランを頻繁に利用する政財界人は、たちまちに当局(公安・FBI)の監視対象になるだろう。

失敗作ですが

2025年02月05日 | 美術
 失敗作ですが、手間の代償として掲載することをお許し頂きたい。
 点描に挑戦しました。百均で購入した綿棒を使用してドットを作成しました。多分ですがドット数は優に5千点は超えていると思っております。
 作画当初は、ドット径を小さく押していたのですが、だんだん大きくなっていきました。また、淡く描こうとした楓の葉も、落ち葉に使用した濃い絵の具の残りがもったいないと貧乏根性で加えたために、全体として変化に乏しいものになってしまいました。
 生活苦から多作・多売を余儀なくされたバロック絵画の巨匠が、「この大きさを塗るのに、そんなに時間はかけられない」と画風を一転させたという逸話を読んだ覚えがありますが、点描でも同じことが云えそうに思いました。

千寿院の大楓(F8)