自民党の麻生副総裁の台湾での発言が物議を呼んでいる。
日本と台湾との間に正式な国交はない。
1972年田中角栄首相をトップとする訪中団が、周恩来首相をトップとする中国と国交を回復した。
その時に台湾と断交したのである。
日本政府にとっては苦渋の決断だが次のような解釈で台湾との糸を繋いだ。
台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部とする立場を日本が十分理解し尊重する。
極めて玉虫色の日本と中国の妥協の産物であろう。
麻生太郎はこの経緯を知ってか知らずか、あるいは漢字も十分読めないようだから理解できないのか?
中国がかねがね願っているのは「平和的統一」である。
そのためには台湾総統は親中国でなければならない。
ところが今の与党民進党は親中国ではない。
それだけに祭英文総統の発言は常に慎重だ。台湾独立などと言う言葉は使わない。
来年には台湾総統選挙がある。中国は当然野党の国民党に肩入れしている。
このような微妙な時期に台湾有事に日本も「戦争参加」ととられかねない発言は、大いに問題。
「軽率」などと言うレベルではなく「国益を害する」
公益財団法人新聞通信調査会が、2022年11月に発表した世論調査は、中国が台湾を軍事攻撃する事態になった場合の日本の関与について、
「自衛隊が米軍と共に中国軍と戦う」に反対する意見が74.2%と賛成を大きく上回った。
日中国交回復に外務大臣として臨み、のちに総理大臣になった大平正芳の言葉が重い。
中国は近いようで遠い国だ。言ってみれば、大晦日と元旦の関係に近い。
だが、両方とも引っ越すわけにはいかない。従って、相互の理解は想像以上に難しいけれども、引っ越すわけには行かないのだから、努力と忍耐が必要だ。