日本の歴史をたどると政治と宗教の関係が大きくこの国を揺るがした時期がある。
大和政権成立後に仏教を受け入れるかどうかで政権が二分した時。
崇仏派の蘇我氏と排仏派の物部氏が争い、蘇我氏が勝利を収めた。
日本にとって幸いだったのは、仏教が宗教と言うよりは文化・芸術的な観点から受け入れられて行ったことだ。
これ以降日本の文化は仏教と共に進化していった。
ところが宗教があまりにも時の政権に取り込まれ活力を失っていく中で、鎌倉時代に新宗教が勃興した。
禅宗、日蓮宗、浄土真宗(浄土宗)などだ。
国家護持から個人の救済への変化である。
この時期日蓮宗や浄土真宗はかなり戦闘的で一揆が頻発した。
しかし結果的には織田信長や徳川家康に抑え込まれて時の政権と融和的な姿勢を取るようになる。
戦後新たな宗教が戦後の混乱の中から勢力を伸ばし始めた。
その最大のものが、日蓮正宗を源流とする創価学会である。
中興の祖池田大作が公明党を創設し、王仏冥合(日蓮的発想か)を目指した。
1999年には自民党と連立を組み、いまやお互いがお互いを支え合う何とも奇妙な関係だ。
ところがこのような合体政権は方向性が定まらない。
自民党の新自由主義志向と公明党の平和主義・弱者救済思考(最近は形だけかもしれない)がうまく交わらない。
政治が宗教に何の理由もなく介入するのは厳に慎まなければならないが、宗教が過度に政権に口をはさむのも問題だ。
旧統一教会はその最たるもの。
自民党と公明党の連立政権はかなりひずみが出てきている。
見直すべき時期だろう。