「痛みを伴う改革」というのが声高に論じられたのは、小泉・竹中路線がもてはやされた2001年ころ。
経済の自由化や規制緩和が唱えられ、具体的には「郵政改革」や「労働規制の緩和」が行われた。
いわゆる「新自由主義路線」と言われるものだが、痛みを伴ったのは庶民だけで大企業や富裕層は逆に潤った。
しかし過度な新自由主義は2008年リーマンショックにより弊害が現れ、揺り戻しが起きたのだ。
アベノミクスによる「異次元の金融緩和」(2012年)は、
形を変えた「花見酒経済」で小泉構造改革路線よりも質の悪いものだった。
同時に並行して発生していたのは「モリ・カケ・サクラ」に見られるような倫理観の喪失。
長期的視点に立った「構造改革」自体は悪いものではない。
その構造改革が一部のものにだけ利益を与えることが悪いのだ。
「疾風に勁草を知る」という言葉がある。
強い風が吹いてはじめて、風にも負けぬ強い草を見分けることが出来る。
石破首相が自民党総裁選で主張していたことは、極めてまともなことだった。
しかし首相になると見事なまでの「軟弱路線」、日陰の弱弱しい草になってしまった。
また日銀の植田総裁も「アベノミクス」の修正に踏み込んだのだが、今一歩思い切りが悪い。
日銀本店所在地の日本橋本石町は日当たりが悪いのか、元気がない。
求むれば求むるほど、菩提(さとり)への道はいよいよ遠くなる。
されどこの道をゆく。 高田好胤