〈外伝1〉
七尾美術館を訪れてかなりびっくりさせられたことは、
長谷川等伯さんの「ゆるキャラ」が存在していたこと。
いかにゆるキャラブームとはいえ、等伯さんはかなり「ゆるキャラ」とは縁遠いお方と思っていたのに。
しかも名前は「とうはくくん」だと思いこんでいたら、実は「く」が1個少なかった!
三遊亭丈二師匠の口調をお借りすれば
「とうはくんですよ!」
という二重の驚き。
なんで「とうはくくん」にはしなかったんでしょうかね?
美術館の入り口で、こんな風にお出迎えをしてくださいます。
羽咋工業高校生美術部&のと女の会の皆さん、制作ご苦労様でした。
「ミュージアムショップ」とまでは言えない「入館券売り場を兼ねた売店」では、
2種類の「とうはくん」グッズが販売されています。
ネーミングには「異議あり」ですが(やっぱ「とうはくくん」の方がいいでしょう?)
表情、いでたちなどはかなり上出来だと思います。気に入りました。
上手く写真に撮れなかったので割愛しましたが、後頭部にはちょっと笑える髷も完備されています。
髷と気づくのに数秒かかりましたが。
いい出来だとは思いますが、ストラップに同封されている型紙を見ると、没後400年の2010年に作った商品がまだ売れ残っているんだな、と。もっと買ってもらえるといいですね。
このゆるキャラの元になっているのは、
七尾駅前の等伯さんの銅像「青雲」♪それは君が見た光、僕が見た希望~~、
なんですが、
じゃ、この銅像のモデルはどこから持ってきたのでしょう?
等伯さんを描いた肖像画の存在を私は知らないので、気になるのです。
まったくの想像でこしらえたのでしょうか?
「利休像」といわれても、「雪舟像」といわれても「なるほど!」と肯いてしまいそうな銅像に見えるので、ご存じの方にご教授いただければと思います。
美術館からの帰りにはタクシーの運転手さんにお願いして、等伯さん生家の菩提寺の本延寺に立ち寄りました。
突然の参拝にもかかわらず、本堂の中に上がることを許され、
等伯唯一の「立体への彩色作品」とされる日蓮上人像を拝観させていただくことが出来ました。
言わずもがなのことですが、作品を収蔵しているということと、それを拝観できるということは別問題でして、これまでもずいぶんと「謝絶」を経験してきているので、この幸運にはいくら感謝しても感謝し足りない思いです。しかも、こちらがお願いしたわけでもなく、
「カメラをお持ちでしたら、どうぞお撮りください」
というお許しまでいただいて。
後世のお住職(たぶん)が、あまりに傷みがひどいということで彩色を重ねられてしまったそうで、等伯さんのオリジナル彩色は右袖の一部に残るだけだそうです。
でも、最初は等伯さん(信春)のオリジナル彩色だったことを証明する銘が、像の裏側に残っているので、
わが「等伯スタンプラリー」には大きな一歩です。
〈外伝2〉
2日目は高岡で1時間ほど時間の余裕を作って「万葉線」という路面電車に体験乗車をしました。
私の時間の読みが甘くて、終点まで行くことが出来なくて、途中駅で引き返すハメになってしまったんですが、その折り返した駅がこちら。
映画やドラマのロケ地として使いたくなる、そんな佇まいの駅でした。単線の駅なのにホームが2面ということの意味が理解できませんでしたが。
この駅、待合室のあるホームに立っていると、高岡駅前方面の電車には乗れません。ホームが1面のみのときと、どっちが誤乗車の防止になるのかな?
終点まで行けなかったのは痛恨の極みでしたが、こんな駅に降り立つことが出来たのだから、それはそれで幸せな失敗と総括できました。
七尾美術館を訪れて《完》