(1979年)アニメ「機動戦士ガンダム」放送開始
ガンダムの第一回放送を、僕はリアルタイムに鑑賞した。
そしてそれが、ガンダムから暫くの間遠ざかる原因となってしまった。
というのも、その時僕は小学校二年生に進級したばかりで、七歳の子供にあの初回の内容は難し過ぎたのだ。
ストーリーを上手く飲み込めない
↓
理解出来ないから面白くない
↓
詰まらないアニメなんて観る気がしない
こんな具合で次の週にはもうチャンネルを合わせなくなってしまった。
僕と同じ反応を示した子は多かったようで、本放送時は視聴率が奮わず、放送期間が短縮されたのは有名な話。
再放送を重ねるにつれ支持する声が徐々に高まっていき、遂には社会現象になるまでに人気が爆発。
今なお続編が作られ続ける、世代を越えた作品になっているのは皆さんご承知の通り。
第一作・第二作と映画化されてクラスメイトが盛り上がっていても、僕はそのテレビ初回時の悪い印象が拭えず、改めて観てみようという気にはどうしてもなれなかった。
結局小学校二年から四年にかけ、僕はずっと無関心を貫くこととなった。
五年生になり、新しく友達になったH君がガンダムマニアで、最初は話を合わせる為だけに再放送を観始めたのだが、ここで漸く僕もはまった。
五年生にもなればあのストーリーも十分理解出来る。
人よりかなり遅れて、ガンダムの世界に酔いしれた。
都合のいいことに、劇場版第三作が公開されるタイミングにぴたりと合い、あれだけ頑なに拒んでいた自分が、公開初日に映画館へ足を運んでしまう始末であった。
(いわゆるファースト)ガンダムの凄さは、その圧倒的リアリティーにある。
それまで観てきたどんなアニメにもない現実味が、心を鷲掴みにした。
だからこそ、続編に僕は惹かれなかった。
ガンダムに限った話ではないが、続編が作られるのは、第一に商業的理由からである。
ファーストにあった「どうやって人々に伝えるか」でなく、「どうすれば人々を離さないか」に重きが置かれた創作姿勢がどうにも受け入れられなかった。
「こういう展開ならみんな観るだろう」という意図が見え隠れし、好きにはなれなかったのだ。
一応ZとZZまでは把握しているが、ファースト程夢中にはなれず、その気持ちは今も変わらない。
そのくせ、ポケットとスターダストと08の展開もそこそこ知ってるのだが(笑)。
以上の持論に、異論も当然あるだろう。
しかしここで嘘を書いても仕方がない。
ファーストにのみ、自分が「本物の」リアリティーを感じたのは偽りのない事実だから。
作品の受け取り方は人それぞれ。
僕にとってのガンダムはファーストでしかない。
思えばこの1979(昭和54)年という年は、僕が大きな影響を受けたアニメがふたつもオンエアされた重要な一年だった。
ひとつはこのガンダム。
もうひとつは『赤毛のアン』(世界名作劇場シリーズ)。
両作品に共通するのは、本放送時にはよく理解出来なかったという点。
数年を経て再び触れてみた時、初めて作品の良さや奥深さに気付かされたのが面白い。
どちらとも、出会いが早過ぎた。
もしかしたらそのまま忘れ去っていたかも知れない。
だが、縁あってどちらにも深く結びつく幸運に恵まれた。
本当に自分が必要とするものは、どんなに遅くなっても必ず自分の人生の何処かの場面で訪れるものだと、僕は信じている。
アニメ版『赤毛のアン』については、ずっと先で語る予定。