(1952年)さだまさし誕生日
日本史に興味を持ち始めた1980(昭和55)年、小学三年生の夏、東映で『二百三高地』が公開された。
これは旅順攻囲戦を軸に日露戦争を描いた大作で、とりわけ近代史に関心のあった自分には非常にタイムリーな映画であった。
小学生なので、ストーリーの全てを理解したとは言い難いが、それでも、子供心にも大変印象深い作品となり、今なお僕のお気に入り映画のひとつである。
この映画で二度に渡り流されたのが、テーマ曲『防人の詩』で、これがさださんとの出会いだった。
どんな流行り歌にもない、曲全体を貫くあの切実さは、生半可なメッセージ・ソングでは太刀打ち出来ない「重さ」を内含し、僕の胸に深く刻まれた。
この時のインパクトが余りに強く、例えば、物真似番組でさださんが取り上げられる際、他の曲なら全然問題ないのに、この曲で笑いをとろうものなら、その物真似芸人を軽蔑する心境になってしまう程だ。
さださんの楽曲は、繊細なメロディーもさることながら、やはり詩(詞というより詩)の完成度がずば抜けている。
物語の構成も上手いし、何より使用する日本語が美しい。
『案山子』『道化師のソネット』『ひまわり』……、どれもみんな大好きで、発表されて長い年月が過ぎても全く色褪せず、常に心を魅了する。
さださんも遂に還暦。
お世辞にも若いとは言えない年代に突入したが、どうか末長く活躍してもらいたい。