198万PV達成!漫画史研究家・本間正幸監修【少年画報大全】(少年画報社・現在三刷)更新復活

【20世紀冒険活劇の少年世界】メトロポリス漫画総合研究所(since1997)から、昭和の映画、出版美術、音楽を!

【少年少女譚海】創刊号は幻か?

2011-10-16 22:53:40 | 街頭紙芝居「黄金バット」と『冒険活劇文庫』の時代
私が店長をしているショッピングサイトがあります。

【漫画の匠】
http://www.manganotakumi.com

よろしくです。


先日

【伊勢田邦貴遺作展】


の案内を致しました。

ネット上では、私が紹介した明々社の冒険科学文庫【怪獣國探検】(伴 大作・著)の画像を紹介している方や、『少年少女王冠』(矢貴書店・昭和25年)の画像をバラで紹介している方も発見!
『冒険活劇文庫』の表紙群や、作品の詳細につきましては、後日改めまして・・・。
とブログ記事にしました。
その後、伊勢田先生の作品をネット上で検索して、一番信頼出来る形で紹介されている日本出版美術家連盟会員の大貫伸樹さんが作成したリストを見ていたら、私の所蔵する戦後の『少年少女譚海』創刊号にも、伊勢田先生の作品が掲載されていることを思い出しましたので、雑誌の表紙だけ紹介しときますね!(笑)

戦後の『少年少女譚海』は、創刊号の表紙に「熱血冒険痛快号」の文字があり、表紙絵を小松崎 茂先生の「猛獣狩り」が飾ってます。
判型はB6判。
主要掲載作品及び執筆陣は次の通り。

巻頭二色で小松崎 茂先生の連続冒険絵物語「黄金大旋風」作・大町浩太が飾り、
那須良輔、佐次たかし、村山しげるの漫画まで二色ページ。
続く荻原賢次、那須良輔、根岸こみち、寺尾よしたか、佐次たかしの漫画は一色。
再び二色ページとなり、
幻怪絵小説「南海の獸人」の絵を我らが伊勢田邦彦先生が画を担当。
泉本三樹・文。
見開きイラスト入りで創刊号目次となり、そして
怪奇探偵小説「夜光怪人」横溝正史、嶺田弘・画の扉絵までが二色。
野球小説「死のホームラン」ジェームス・ハリス、伊勢田邦彦・画となります。
「茨木童子」黒雲之巻を大平陽介、伊藤彦造・画。
科学冒険熱血連載小説「原子天馬團」秋永芳郎、小松崎 茂の扉絵が二色。
感激小説、大林 清、遠藤夕子・画。
感激絵物語、文・八幡良一、画・大川一夫。
落語小説「たんかい小僧」柳家金語樓、那須良輔・画。
西 河馬の漫画。
池田大助捕物帖「南蛮手品」発端篇、野村胡堂、山崎百々雄・画。
志村つね平、センバ太郎、小泉紫郎の漫画。
大宇宙科学小説「恐怖の地球」高垣 眸、深山百合太郎合作、松添 健・画が扉絵二色となり、終了します。途中、横山隆一先生の【フクちゃん】四コマが譚海の宣伝をしています。(笑)
発行は昭和24年であり、発行元が文京出版から途中変わってしまい、現在はどちらも無くなっているため、『少年倶楽部』を発行した講談社や、『冒険活劇文庫』『少年画報』を発行した少年画報社のように、本誌全てを保存している公共施設などないため、『少年少女譚海』は現在散逸してしまい、その全貌を把握することは、大変困難になっております。
ましてや、創刊号は発行部数も少なかったのか、滅多に古書市場にも出てきませんし、ネット上でもあまり見掛けることが出来ません。
詳しく解説していると、更に長文となってしまうので、今宵はこれまでにいたしとうございます。(笑)



以下の文章は、先日の記事の再録になりますが、関連情報など参考にして見て下さい。
今回の遺作展、私はまだ若輩者のため、何も協力出来ておりませんが、伊勢田先生の絵が好きであり、そして、作品研究を希望していた私の所へ直接案内状が送られて来たということは、とても嬉しく名誉な事だと考えております。
ネット上では、情報をいち早く仕入れた途端、さも関係者や熱心なファンを装い紹介する人達がいるようですが、日頃の行いや、今までの実績の累積により、本物なのか?偽者なのか?が直ぐに判るような気がします。(笑)
伊勢田邦彦先生の『冒険活劇文庫』及び『少年画報』に発表された作品群については、私が監修した【少年画報大全】を見ていただけたら、良く理解していただけるかと思います。
名実共に昭和の挿絵界の重鎮であった伊勢田先生の作品群を、この機会に平成の若い人達にも一人でも多く見てもらいたいと私は考えてブログ記事とさせていただきました。


「江戸川乱歩小説」から「現代美人画」まで、挿絵の黄金時代を駆け抜けた天才画家。

10月24日(月)ー30日(日)

日本橋ナンワギャラリー

11:00~19:00(最終日は17:00まで)

東京都中央区室町4ー2ー16
楠和日本橋ビル1F

電話03ー3241ー3927

*原画の販売もいたします。

協力:日本出版美術家連盟

アクセス
JR山手線 神田駅南口より徒歩3分
JR総武快速 新日本橋駅より徒歩5分
営団地下鉄銀座線 三越前より徒歩6分
営団地下鉄半蔵門線 三越前より徒歩8分

伊勢田邦貴(いせだ・くにたか)
1921年、京城(現ソウル)生まれ。本名・邦男。
京城師範学校普通科卒。帰国後、絵の本格習得に励む。
戦後、邦彦のペンネームで少年少女、大衆、婦人雑誌や新聞、週刊誌などに挿絵を執筆。
連載小説を担当した主な作家は江戸川乱歩、横溝正史、海野十三、川口松太郎、吉屋信子、菊田一夫、山岡荘八、檀 一雄、西条八十ほか一流作家の名作に花を添えた。
その後、油絵による現代美人画を制作。
洋画無所属。日本作家クラブ絵画賞、サンケイ児童出版文化賞受賞。
日本出版美術家連盟副会長。
2009年9月15日、88才にて永眠。


ご挨拶

子供の頃兄と私は父のことをふくろう先生だねと呼んでいたことが有ります。
朝から昼にかけて眠っていることが多く
夜になるととても活動的に絵を描いていたからです。
そんな父の部屋を昨年の春、整理することになりました。
次から次へと見たこともない絵、原画、本などが山ほど出てきました。
片付けては手を止めその都度その頃の父の姿が浮かびました。
60年もの間、父が絵を描いてきた時間は懐かしい昭和の時代を思い出させてくれました。
この度三回忌という節目にあたりこのような機会を作らせて頂くことになりました。
父を通じてご縁ができた皆様の御厚意と熱意に感謝申し上げます。
どうぞごゆっくりご観覧していただけましたら幸いです。
皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。

綱川洋子


そして同時期、10月27日からは、

粋美挿画展〈本の世界を彩ってきた挿絵画家たちの作品展〉

原画展示/伊勢田邦貴・堂 昌一・濱野彰親ほか

が、
主催:株式会社東京堂
協力:日本出版美術家連盟

東京堂書店神田本店6階 〒101-0051 東京都千代田区神田神保町1-17

にて

10月27日(木)~11月3日(木)10:00~20:00(最終日12:00まで)入場無料があります。


私にとって、伊勢田先生の作品は、伊勢田邦貴として発表された物よりも、伊勢田邦彦時代の作品群の方がとても魅力的ですね!


伊勢田先生には、2001年発売の【少年画報大全】(少年画報社)発表前から、大変お世話になりました。
伊勢田先生は、少年月刊誌『少年画報』の前身である『冒険活劇文庫』(明々社)の頃から、表紙を多数手掛ける大人気画家だったのです。
永松健夫先生の【黄金バット】伊藤彦造先生の挿絵、小松崎 茂先生の【地球SOS】などの強力連載陣に加え、伊勢田邦彦先生の描くB5判の表紙絵の素晴らしさが、戦前から続く名門の『少年クラブ』(講談社)や、戦後出版された『少年』(光文社)などを押さえ昭和30年代前半に『少年画報』を日本一の少年月刊誌へと導く礎となったのです。

私は、幸運にも銀座の日本出版美術家連盟の作品展や、千葉県松戸での小松崎 茂先生を囲む会など、【少年画報大全】発表後も、伊勢田先生と何度も御逢いし、お話することが出きました。
先生が描く美人画の絵葉書をいただいたことさえあるのです。
伊勢田先生が、【鐘の鳴る丘】の印刷紙芝居を描かれていたので、街頭紙芝居を描いたことがあるのか尋ねてみたら、印刷より街頭紙芝居の仕事の方が圧倒的に多かったとのことや、明々社から、書き下ろしの単行本を出していたこと。
今では幻の月刊誌となった『少年少女王冠』創刊の経緯など、伊勢田先生から直接お聞きすることが出来ました。
(伊勢田先生がお亡くなりになってから、私は、明々社発行の書き下ろし単行本、そして『月刊少年少女王冠』を全冊入手することが出来ました。近日中にその本たちのことも紹介しますね!)
とりあえず、以上が速報です!


以下の文章は、昨日更新したばかりのものですが、在野の漫画史研究家であり、コレクターである私の日頃の考え方など、今日の記事に連なる内容となっておりますので、あえて再録致します。





暗くて判りづらいですが、今夜の月と鶴見の貯水塔になります。
窓や明かりのない巨大な丸い塔は、子供の頃の私にとって不気味な恐怖の象徴でした。
曙出版から出版された白川まり奈さんというカルト作家の【吸血伝】という書き下ろし単行本に、この貯水塔とそっくりの建物が出てきたような記憶があるのですが、その本は、三歳上の姉が友人から借りてきた本であり、私は一瞬しか見せてもらえなかったのです。
その後、実際にその本に出会う機会はなく、次に【吸血伝】に出会った時は、数十年後、カルトの人気作家として白川まり奈さんの本が数万単位のプレミアがつくと紹介されていた記事でした。
なるほど、カルトでレアな作品であり、入手困難な漫画本と云えるでしょう。
私の漫画本のコレクションは、テレビ化されたりアニメ化されるような昭和の名作漫画が中心のため、カルトな作品はあまり所蔵していないのです。
入手する際も、高いプレミアがついた本を購入することは少なく、誰も見向きもしなかったかつての名作を発掘することの方が好きなのです。
また、絵物語のジャンルなど、かつては高額で取引されていたジャンルの本のプレミア価格が急落した場合は、喜んで購入します。(笑)
私にとって、人の評価や価格にはあまり興味がなく、全ては私の判断で収集を続けています。
そのため、所有する本の価値が上がろうが、下がろうが一切関係ありません。
一度購入して気に入った本は、余程のことがない限り処分したことがないので、一時期2万冊まで達してしまいました。(涙)
ここ数年は、平成以降の新書判を中心に大量に処分してきましたが、昨日、知り合いの研究者から連絡があり、戦前、戦後に活躍したさる高名な漫画家さんの遺族が所有していた戦後の少年月刊誌の付録200冊、段ボール箱2個分の買取りを頼まれました。
電話では、高名な漫画家の物はあまりないとのことでしたが、縁あって私の元へ集まって来る本たちを拒むことは出来ません。
私は、コレクターであると同時に在野にいる数少ない漫画史研究家なのです。
作品の価値は、私が読んで見てその価値を決めたいと思います。
戦前、戦後の漫画史や、街頭紙芝居、挿絵、絵物語や少年少女小説のジャンルは、研究者が非常に少ない分野です。
現在70代前後となる高名な先生方の直ぐ下の研究者が私となってしまうのだから。(笑)
途中研究者の年齢には、30年近くのブランクがある訳ですが、リアルタイムで楽しんだ世代と、私のように時代を越えて漫画史研究をタイムトラベルのように楽しむ世代とはその意義が随分違ってくるような気がしますね!

追記

昨晩、夜8時半に我が家に待望の荷物が無事到着。
石森史郎先生脚本、石原裕次郎さん主演の映画【夜霧よ今夜も有難う】を観終わった後、急いで開封して一覧していたら、深夜4時過ぎとなってしまいました。(涙)
戦後に少年雑誌の付録として発表された子供漫画の全貌とはどのようなものか?詳細は、後日日を改めまして。(笑)
これを機会に、戦前・戦後の少年雑誌特集もブログ記事のプログラムに組んでいけたらと考えておりますのでよろしくね!(笑)

映画と漫画史研究家

本間正幸
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