2011年6月10日(金)は
【第40回日本漫画家協会賞】
贈賞式がありましたね!
【大賞】
『ヘルプマン!』
くさか里樹
『落画』他一連の作品にて
ウノ・カマキリ
【参議院議長賞】
『毎日かあさん』
西原理恵子
【文部科学大臣賞】
『全作品』
萩尾望都
【特別賞】
高知県
私の世代の女性達にとって、萩尾望都先生と、竹宮惠子先生は、カリスマ的な人気がありました。
今年も、私・本間正幸にまで萩尾望都先生から年賀状の返事が来るなど、心遣いがとても優しい先生です。
西原理恵子先生には、
2005年【第9回手塚治虫文化賞】短編賞を
「『上京ものがたり』(小学館)『毎日かあさん』(毎日新聞連載)に対して」
受賞された際、懇親会の会場で小冊子にサインをいただいたことがあります。
私は、西原先生の作品の中では『ぼくんち』が一番のお気に入りです!
日本漫画家協会賞へは、2001年から2009年まで参加させていただきましたが、昨年の2010年からは、不参加とさせていただいております。
2011年5月27日(金)は
【第15回手塚治虫文化賞贈呈式】
がありました。
【マンガ大賞】
『JINー仁ー』(集英社)村上もとか
『竹光侍』(小学館)松本大洋、作・永福一成
●年間のベスト作品に対して贈る
[正賞:ブロンズ像 副賞:100万円]
【新生賞】
荒川弘
「初連載『鋼の錬金術師』(スクウェア・エニックス)で、少年マンガの魅力を大いに発揮し、生命倫理にも通じるテーマを描ききった力量に対して」
●斬新な表現、画期的なテーマなど清新な才能の作者に贈る
[正賞:ブロンズ像 副賞:100万円]
【短編賞】
山科けいすけ
「『C級さらりーまん講座』(小学館)、『パパはなんだかわからない』(週刊朝日連載)などサラリーマンを描いた一連の作品に対して」
●短編、4コマ、1コマなどを対象に作品・作者に贈る
[正賞:ブロンズ像 副賞:100万円]
私は、大の手塚ファンなので、手塚治虫文化賞へは、1999年・第3回からほぼ毎年のように参加させてもらってます。(2007年と2008年は旅行の仕事で北海道一周してたので不参加でした)
さて、今日は、私が年間購読させていただいている大好きな季刊紙『まんだらけZENBU51』最新号が発売と同時に横浜の自宅に届きましたので、久しぶりにそちらを紹介してみましょう。
最近の『まんだらけZENBU』の楽しみ方は、本誌掲載の全商品が、インターネットオークション方式で購入出来るチャンスがあるということ。
ここのところ私もまんだらけさんの術中にはまり、すっかりオークション好きになってしまいました。(涙)
年間購読者には、特典として別冊ふろく『ねおまんだらけ25』がついてくるので、マニアには年間購読が絶対のオススメですね!
今回もA5版カラーで48ページありました。
この本のポイントは、掲載商品がすべて前と同じように抽選で買えるということ。
申込締切日は7月5日(火)当日必着なので早めに入手して予算に合わせて良く検討してから購入しましょうね!(笑)
今回は、JPA(ジャパニーズ・ポップ・アンティーク)が14ページ。
そして、セル画アニメ原画コーナー4ページ。
アニメ原画2ページ。
原画4ページ。
台本コーナー、企画書コーナー、設定コーナー、絵コンテコーナーで3ページ。
単行本3ページ。
新書2ページ。
雑誌コーナーは、『少年クラブ』3ページと『少女』『なかよし』各2ページで7ページあります。
別冊ふろくは、手塚治虫先生のB6判付録の名作群「大洪水時代」「人食岬の決戦」「はりきり弁慶」「流星王子」「黄金都市」(絵・横山光輝)が、それぞれ手頃な価格での出品。
手塚コレクター、マニアとしては、いつの日にか綺麗なオリジナルを手に入れたいですね!(涙)
そして、カッパ・コミックス鉄人28号全20巻など他、計3ページ。
資料系グッズが3ページの構成となっていますが、詳細な中身については、購読者だけのお楽しみ。
マニアには毎回侮れない充実した内容になっています。
さて、今回の本誌の注目記事は、〔手塚治虫「勝利の日まで」デビュー前原稿〕でしょう。
原画・原稿・色紙などのコーナー16ページの目玉として紹介されています。
価格からいっても個人購入というより、記念館行きにすべき逸品ですね!
そして、〔「ブラックジャック」の雑誌切抜〕では、描き足し変更箇所を網羅したリスト付きとして、【ブラック・ジャック全話切り抜きセット】が14ページに及ぶ大特集はファンにとっては、たまりません!!
『友よいずこ』の見開きカラーページの衝撃は物凄く、掲載時リアルタイムで見た少年時代の私の【ブラック・ジャック】に対するトラウマにさえなっています。
そして私が大のお気に入りの作品、【しずむ女】の悲しくも美しい少女のエピソードは、オリジナルのカラー版で手元に残して置きたいですね!(涙)
『ブラック・ジャック』ファンや研究者にとって、単行本未収録作品を含む初出の掲載誌版オリジナルは、是非とも手に入れておきたい逸品です。
巻頭の折込から始まるJPA(Japanese pop antique)では、藤子不二雄究極のフィギュア・巨大パーマンや、ドラえもん最初期のソフビ指人形や、鳴きオバケのドロンパ。
『少年画報』掲載時と思われる怪物くんゲームパチンコなどが出品されて35ページの特集です。
単行本コーナーでは、初期HC(ヒットコミックス)全ラインナップPart1としてHC1~200まで12ページにわたる大特集!や、戦前・戦中の物から人気コミックス最新巻セット(初版、美本、帯付、特典付、・・・)まで30ページ。
続く雑誌コーナーは36ページ。
その中でもロリエロ雑誌のはしり『レモンピープル』(あまとりあ社)の特集3ページは、『レモンピープル』という雑誌がどのようなものであったのか、知る上でのとても良い一級品の資料でしょう。
コミックマーケットの代表・米澤嘉博さんが亡くなってから、成年漫画やロリエロ雑誌などにおいて信用するに値する研究者や、研究発表は、少ないのが現状です。
私の専門は、大正・昭和の少年少女漫画史研究となるため、成年漫画やロリエロのジャンルにまで手を広げることは、現在及び将来もまるで考えられないので、このような分野の資料は、漫画史研究の発展進化のためにもとても有難いのである。
私が、漫画史研究家として『まんだらけ』や『まんだらけZENBU』がとても好きな理由は、実物の写真とデータが明記されているからだ。
無断引用や孫引きが多く実証的でない、大学教授などの肩書きを持っている評論家や研究者達のグループが作っているマンガ学の入門書の類より遥かにためになると私には思える。
漫画史研究家は、漫画評論家と違い、独自にデータベースを作るのが最低の必須条件。
作家の作品リスト、単行本リスト、年譜などを調査し、更に本当かどうか作家本人もしくは遺族や編集者など当時の関係者に確認する。
他人が発表したデータは実物が確認出来るまで、半信半疑のままである。
ちなみに、私が『少年画報大全』(2001年・少年画報社)を監修した時、それ以前から活躍している評論家達が発表していたデータと私が調べたデータとでは、100箇所以上の違いが見受けられた。
『少年画報大全』巻末の参考資料と本文の記載データが違う場合、原本から実証的に確認した私のデータの方が99.9%の確率で正しいと自負している。
2001年以降に発表された書籍でも、『少年画報大全』を参考文献に加えてないもので、同じ事柄のデータが違っていた場合、私のデータの方が正しい筈だ。(笑)
『少年画報大全』発表後、私に何の挨拶もなく、データや掲載した画像を無断引用している評論家や研究者がいる。
素人のファンの人やマニアの人が趣味で楽しんでくれているならお役に立てて嬉しい限りだが、評論家や研究者を名乗りながら、参考文献として、『少年画報大全』の書名をあげてくれる研究者としての最低限のマナーを守れる人が少ないのはなぜだろうか?
彼等のような高学歴ではなく、横浜鶴見の不良少年上がりの私では良く理解出来ない謎である。
ちなみに、有名古書専門店の間では、『少年画報大全』は必須であり、店の店長達の間では私の顔と名前がすっかりバレてしまっている。
それはさておき、もうひとつの楽しみは、星まこと氏によるアニメインタビュー。
毎回丁寧なインタビューを続けているこのシリーズも今回で47回目。
星さんは一般的には、あまり知られていないが、日本のアニメの研究者としての実力は日本一。
元エイケンの名プロデューサー鷺巣政安氏に師事。
御園まことの名で『図説テレビアニメ全書』(原書房1999年)を監修している。
この本には、現場から見たアニメの歴史として「宇宙戦艦ヤマト」や、「超時空マクロス」など数々のヒット作を手掛けた演出家の石黒昇氏や「風の谷のナウシカ」の作画監督であるアニメーターの小松原一男氏、テレビアニメ創成期からのプランナーとして鷺巣政安氏の特別インタビューも収録されている。
今回の『まんだらけZENBU51』には、
「僕はあくまで裏方。現場のクリエイターを世に出したい。」
と題して
『鉄腕アトム』資料制作、『ジャングル大帝』資料制作、『アンデルセン物語』プロデューサー補、『宇宙戦艦ヤマト』設定制作、『超電磁ロボ コン・バトラーV』制作担当、『宇宙大帝ゴッドシグマ』制作担当『宇宙戦艦ヤマトⅢ』プロデューサーとして知られる
野崎欣宏さんのインタビュー8ページを収録している。
星さんとは、10年以上の付き合いになる。
非常に爽やかな兄貴分です。
そして、忘れてはいけないのが成瀬正佑氏の記事。
「護美之山」特別編・護美之園~小島剛石レトロスペクティブ②~。
12ページ。
国宝犬山城を個人所有している名古屋の名家、成瀬家直系の次男である成瀬氏の記事は、毎回オールカラーで単行本のデータを紹介しているので非常に助かります。
漫画史研究家は、漫画評論家と違い、日々の地道なデータ集めが必要とされ、その成果を発表する場も非常に少ない。
だが、漫画評論家が漫画家の先生達にあまり好かれていないことが多いのにくらべ、漫画史研究家に対して先生方は皆、非常に親切である。
少年時代から憧れていた、ちばてつや先生に、名前と顔を覚えてもらえたなんてまるで夢のようである。
赤塚不二夫先生からは、特別のサイン色紙をいただき、松本零士先生の逓信総合博物館の企画展には私もスタッフの一人として協力させてもらった。
漫画史研究家の私としては、とても幸せな日々を過ごしている。
特に一昨年の5月にコミックパークから少女漫画家の先駆けの一人である上田トシコ先生の代表作『フイチンさん』全三巻を発行人・本間正幸として復刊出来たことを思うと何だかとても嬉しいのだ。
『フイチンさん』全三巻は、とても好評なので、上田トシコ先生の代表作となる『お初ちゃん』『ぼんこちゃん』も復刊しました。
上から目線で漫画を評論する評論家の人達とは違って、漫画家の先生方の人達は、善人がとても多い。
一人の人間として接する場合、評論家の人達とは、あまり付き合いたいとは思わないが、漫画家の先生方とは親交を深めていけたらとても幸せである。
漫画史研究者としての私、本間正幸は、お金や名誉、肩書きはなくとも、研究者としてはとても幸せな日々を暮らしている。
これで、いいのだ。
追伸
少女マンガ家の草分とも言うべき上田トシコ先生の代表作『フイチンさん』全三冊『ぼんこちゃん』『お初ちゃん』の五冊をコンテンツワークスのコミックパークから、オンデマンド出版しています。
発行元は、パインウッドカンパニー、発行名義人は、私、本間正幸となっています。
2010年5月には、『750ライダー』で知られる石井いさみ先生のサッカー漫画『くたばれ!!涙くん』全5巻同時発売、山根青鬼・山根赤鬼先生共著の『山根青鬼・山根赤鬼 漫画道中記』など、昭和の少年少女漫画史を代表する20世紀の名作群を続々と復刊しました。
『フイチンさん』は、アニメーションとして㈱エクラアニマル(旧あにまる屋)さんから制作され、ビデオやDVDとしても、販売されているので、入手可能です。
【第40回日本漫画家協会賞】
贈賞式がありましたね!
【大賞】
『ヘルプマン!』
くさか里樹
『落画』他一連の作品にて
ウノ・カマキリ
【参議院議長賞】
『毎日かあさん』
西原理恵子
【文部科学大臣賞】
『全作品』
萩尾望都
【特別賞】
高知県
私の世代の女性達にとって、萩尾望都先生と、竹宮惠子先生は、カリスマ的な人気がありました。
今年も、私・本間正幸にまで萩尾望都先生から年賀状の返事が来るなど、心遣いがとても優しい先生です。
西原理恵子先生には、
2005年【第9回手塚治虫文化賞】短編賞を
「『上京ものがたり』(小学館)『毎日かあさん』(毎日新聞連載)に対して」
受賞された際、懇親会の会場で小冊子にサインをいただいたことがあります。
私は、西原先生の作品の中では『ぼくんち』が一番のお気に入りです!
日本漫画家協会賞へは、2001年から2009年まで参加させていただきましたが、昨年の2010年からは、不参加とさせていただいております。
2011年5月27日(金)は
【第15回手塚治虫文化賞贈呈式】
がありました。
【マンガ大賞】
『JINー仁ー』(集英社)村上もとか
『竹光侍』(小学館)松本大洋、作・永福一成
●年間のベスト作品に対して贈る
[正賞:ブロンズ像 副賞:100万円]
【新生賞】
荒川弘
「初連載『鋼の錬金術師』(スクウェア・エニックス)で、少年マンガの魅力を大いに発揮し、生命倫理にも通じるテーマを描ききった力量に対して」
●斬新な表現、画期的なテーマなど清新な才能の作者に贈る
[正賞:ブロンズ像 副賞:100万円]
【短編賞】
山科けいすけ
「『C級さらりーまん講座』(小学館)、『パパはなんだかわからない』(週刊朝日連載)などサラリーマンを描いた一連の作品に対して」
●短編、4コマ、1コマなどを対象に作品・作者に贈る
[正賞:ブロンズ像 副賞:100万円]
私は、大の手塚ファンなので、手塚治虫文化賞へは、1999年・第3回からほぼ毎年のように参加させてもらってます。(2007年と2008年は旅行の仕事で北海道一周してたので不参加でした)
さて、今日は、私が年間購読させていただいている大好きな季刊紙『まんだらけZENBU51』最新号が発売と同時に横浜の自宅に届きましたので、久しぶりにそちらを紹介してみましょう。
最近の『まんだらけZENBU』の楽しみ方は、本誌掲載の全商品が、インターネットオークション方式で購入出来るチャンスがあるということ。
ここのところ私もまんだらけさんの術中にはまり、すっかりオークション好きになってしまいました。(涙)
年間購読者には、特典として別冊ふろく『ねおまんだらけ25』がついてくるので、マニアには年間購読が絶対のオススメですね!
今回もA5版カラーで48ページありました。
この本のポイントは、掲載商品がすべて前と同じように抽選で買えるということ。
申込締切日は7月5日(火)当日必着なので早めに入手して予算に合わせて良く検討してから購入しましょうね!(笑)
今回は、JPA(ジャパニーズ・ポップ・アンティーク)が14ページ。
そして、セル画アニメ原画コーナー4ページ。
アニメ原画2ページ。
原画4ページ。
台本コーナー、企画書コーナー、設定コーナー、絵コンテコーナーで3ページ。
単行本3ページ。
新書2ページ。
雑誌コーナーは、『少年クラブ』3ページと『少女』『なかよし』各2ページで7ページあります。
別冊ふろくは、手塚治虫先生のB6判付録の名作群「大洪水時代」「人食岬の決戦」「はりきり弁慶」「流星王子」「黄金都市」(絵・横山光輝)が、それぞれ手頃な価格での出品。
手塚コレクター、マニアとしては、いつの日にか綺麗なオリジナルを手に入れたいですね!(涙)
そして、カッパ・コミックス鉄人28号全20巻など他、計3ページ。
資料系グッズが3ページの構成となっていますが、詳細な中身については、購読者だけのお楽しみ。
マニアには毎回侮れない充実した内容になっています。
さて、今回の本誌の注目記事は、〔手塚治虫「勝利の日まで」デビュー前原稿〕でしょう。
原画・原稿・色紙などのコーナー16ページの目玉として紹介されています。
価格からいっても個人購入というより、記念館行きにすべき逸品ですね!
そして、〔「ブラックジャック」の雑誌切抜〕では、描き足し変更箇所を網羅したリスト付きとして、【ブラック・ジャック全話切り抜きセット】が14ページに及ぶ大特集はファンにとっては、たまりません!!
『友よいずこ』の見開きカラーページの衝撃は物凄く、掲載時リアルタイムで見た少年時代の私の【ブラック・ジャック】に対するトラウマにさえなっています。
そして私が大のお気に入りの作品、【しずむ女】の悲しくも美しい少女のエピソードは、オリジナルのカラー版で手元に残して置きたいですね!(涙)
『ブラック・ジャック』ファンや研究者にとって、単行本未収録作品を含む初出の掲載誌版オリジナルは、是非とも手に入れておきたい逸品です。
巻頭の折込から始まるJPA(Japanese pop antique)では、藤子不二雄究極のフィギュア・巨大パーマンや、ドラえもん最初期のソフビ指人形や、鳴きオバケのドロンパ。
『少年画報』掲載時と思われる怪物くんゲームパチンコなどが出品されて35ページの特集です。
単行本コーナーでは、初期HC(ヒットコミックス)全ラインナップPart1としてHC1~200まで12ページにわたる大特集!や、戦前・戦中の物から人気コミックス最新巻セット(初版、美本、帯付、特典付、・・・)まで30ページ。
続く雑誌コーナーは36ページ。
その中でもロリエロ雑誌のはしり『レモンピープル』(あまとりあ社)の特集3ページは、『レモンピープル』という雑誌がどのようなものであったのか、知る上でのとても良い一級品の資料でしょう。
コミックマーケットの代表・米澤嘉博さんが亡くなってから、成年漫画やロリエロ雑誌などにおいて信用するに値する研究者や、研究発表は、少ないのが現状です。
私の専門は、大正・昭和の少年少女漫画史研究となるため、成年漫画やロリエロのジャンルにまで手を広げることは、現在及び将来もまるで考えられないので、このような分野の資料は、漫画史研究の発展進化のためにもとても有難いのである。
私が、漫画史研究家として『まんだらけ』や『まんだらけZENBU』がとても好きな理由は、実物の写真とデータが明記されているからだ。
無断引用や孫引きが多く実証的でない、大学教授などの肩書きを持っている評論家や研究者達のグループが作っているマンガ学の入門書の類より遥かにためになると私には思える。
漫画史研究家は、漫画評論家と違い、独自にデータベースを作るのが最低の必須条件。
作家の作品リスト、単行本リスト、年譜などを調査し、更に本当かどうか作家本人もしくは遺族や編集者など当時の関係者に確認する。
他人が発表したデータは実物が確認出来るまで、半信半疑のままである。
ちなみに、私が『少年画報大全』(2001年・少年画報社)を監修した時、それ以前から活躍している評論家達が発表していたデータと私が調べたデータとでは、100箇所以上の違いが見受けられた。
『少年画報大全』巻末の参考資料と本文の記載データが違う場合、原本から実証的に確認した私のデータの方が99.9%の確率で正しいと自負している。
2001年以降に発表された書籍でも、『少年画報大全』を参考文献に加えてないもので、同じ事柄のデータが違っていた場合、私のデータの方が正しい筈だ。(笑)
『少年画報大全』発表後、私に何の挨拶もなく、データや掲載した画像を無断引用している評論家や研究者がいる。
素人のファンの人やマニアの人が趣味で楽しんでくれているならお役に立てて嬉しい限りだが、評論家や研究者を名乗りながら、参考文献として、『少年画報大全』の書名をあげてくれる研究者としての最低限のマナーを守れる人が少ないのはなぜだろうか?
彼等のような高学歴ではなく、横浜鶴見の不良少年上がりの私では良く理解出来ない謎である。
ちなみに、有名古書専門店の間では、『少年画報大全』は必須であり、店の店長達の間では私の顔と名前がすっかりバレてしまっている。
それはさておき、もうひとつの楽しみは、星まこと氏によるアニメインタビュー。
毎回丁寧なインタビューを続けているこのシリーズも今回で47回目。
星さんは一般的には、あまり知られていないが、日本のアニメの研究者としての実力は日本一。
元エイケンの名プロデューサー鷺巣政安氏に師事。
御園まことの名で『図説テレビアニメ全書』(原書房1999年)を監修している。
この本には、現場から見たアニメの歴史として「宇宙戦艦ヤマト」や、「超時空マクロス」など数々のヒット作を手掛けた演出家の石黒昇氏や「風の谷のナウシカ」の作画監督であるアニメーターの小松原一男氏、テレビアニメ創成期からのプランナーとして鷺巣政安氏の特別インタビューも収録されている。
今回の『まんだらけZENBU51』には、
「僕はあくまで裏方。現場のクリエイターを世に出したい。」
と題して
『鉄腕アトム』資料制作、『ジャングル大帝』資料制作、『アンデルセン物語』プロデューサー補、『宇宙戦艦ヤマト』設定制作、『超電磁ロボ コン・バトラーV』制作担当、『宇宙大帝ゴッドシグマ』制作担当『宇宙戦艦ヤマトⅢ』プロデューサーとして知られる
野崎欣宏さんのインタビュー8ページを収録している。
星さんとは、10年以上の付き合いになる。
非常に爽やかな兄貴分です。
そして、忘れてはいけないのが成瀬正佑氏の記事。
「護美之山」特別編・護美之園~小島剛石レトロスペクティブ②~。
12ページ。
国宝犬山城を個人所有している名古屋の名家、成瀬家直系の次男である成瀬氏の記事は、毎回オールカラーで単行本のデータを紹介しているので非常に助かります。
漫画史研究家は、漫画評論家と違い、日々の地道なデータ集めが必要とされ、その成果を発表する場も非常に少ない。
だが、漫画評論家が漫画家の先生達にあまり好かれていないことが多いのにくらべ、漫画史研究家に対して先生方は皆、非常に親切である。
少年時代から憧れていた、ちばてつや先生に、名前と顔を覚えてもらえたなんてまるで夢のようである。
赤塚不二夫先生からは、特別のサイン色紙をいただき、松本零士先生の逓信総合博物館の企画展には私もスタッフの一人として協力させてもらった。
漫画史研究家の私としては、とても幸せな日々を過ごしている。
特に一昨年の5月にコミックパークから少女漫画家の先駆けの一人である上田トシコ先生の代表作『フイチンさん』全三巻を発行人・本間正幸として復刊出来たことを思うと何だかとても嬉しいのだ。
『フイチンさん』全三巻は、とても好評なので、上田トシコ先生の代表作となる『お初ちゃん』『ぼんこちゃん』も復刊しました。
上から目線で漫画を評論する評論家の人達とは違って、漫画家の先生方の人達は、善人がとても多い。
一人の人間として接する場合、評論家の人達とは、あまり付き合いたいとは思わないが、漫画家の先生方とは親交を深めていけたらとても幸せである。
漫画史研究者としての私、本間正幸は、お金や名誉、肩書きはなくとも、研究者としてはとても幸せな日々を暮らしている。
これで、いいのだ。
追伸
少女マンガ家の草分とも言うべき上田トシコ先生の代表作『フイチンさん』全三冊『ぼんこちゃん』『お初ちゃん』の五冊をコンテンツワークスのコミックパークから、オンデマンド出版しています。
発行元は、パインウッドカンパニー、発行名義人は、私、本間正幸となっています。
2010年5月には、『750ライダー』で知られる石井いさみ先生のサッカー漫画『くたばれ!!涙くん』全5巻同時発売、山根青鬼・山根赤鬼先生共著の『山根青鬼・山根赤鬼 漫画道中記』など、昭和の少年少女漫画史を代表する20世紀の名作群を続々と復刊しました。
『フイチンさん』は、アニメーションとして㈱エクラアニマル(旧あにまる屋)さんから制作され、ビデオやDVDとしても、販売されているので、入手可能です。
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