こんにちは。みちのく童話会スタッフ、野泉マヤです。
これは、伝統野菜の継承をテーマとした物語です。
6年前、地元の加美町に伝わる「小瀬菜大根」の存在を知りました。そして当時、地元でこの野菜をつくっている、たった一人の方と出会いました。その方は、小瀬菜大根を絶やしたくないという想いで、毎年作付けし、種とりをされていました。それがきっかけで、わたしは小瀬菜大根の継承活動に関わるようになり、伝統野菜の価値を知ることとなりました。
大量生産された見栄えの良い野菜が、季節を問わずに流通するのが当たり前になっている現在、その当たり前に逆行するような伝統野菜を継承していくことは、簡単ではありません。毎年、まずは知ってもらう、食べてもらうという活動をしている中、この野菜の魅力を子供たちにも伝えたいと考えました。
そうして、実際の活動の様子を交えながら書いた物語がこの作品です。
わたし自身、子供の頃は野菜が嫌いでした。きっと子供たちの多くは、野菜に興味がないだろうと思います。でも、伝統野菜を育んできた日本の食文化や、地域の財産でもある固有の野菜について、ぜひとも知って欲しいと願っています。
お忙しいところ恐縮ですが、このような作品をご高覧いただければ幸いです。画家の丹治陽子先生が描いてくださった、小瀬菜大根の花畑や素敵な挿画の数々もご堪能ください。