10月23日~11月29日の期間、JR京都伊勢丹の「美術館『えき』KYOTO」で開催されている展覧会。
山本太郎の絵は、いつだったか新聞紙上で『紅白紅白梅図屏風』を見、どのようなものだろうと気になっていた。その山本が、この琳派400年記念に合わせ『マリオ&ルイージ図屏風』を制作したという。もちろんスーパーマリオ30周年記念という意味合いも込めて。先達へのオマージュと受け取れる作品群、能を題材にしたものなど「ニッポン画」の数々が展示されていた。
神坂雪佳といえば、「近代図案コレクション(芸艸堂)」の『美術海』『新美術海』『琳派模様』に見られるように図案画家として、また『琳派を愉しむ(淡交社)』にあるように琳派の継承者として知っていた。しかし今回の展示で、その広範な仕事を知ることになる。
神坂雪佳は、日本画を勉強したのち川島織物に入社し、織物図案を担当していた。その下絵と実際の織物とが並べてある。次いで当時の図案画家第一人者である岸光景に師事し、工芸図案と琳派の研究を始めている。今も夷川通に店を構える宮崎家具の『家具図案集』、細見美術館蔵の『竹図角盆』でその仕事を見ることができる。特に後者の、正方形の黒漆塗盆に朱で描かれた竹が力強い。茶碗の絵付けも、袱紗の絵も、蒔絵硯箱も、手がけた工芸品は多岐にわたる。
神坂雪佳で今回のお気に入りは、『藤波図和歌短冊及短冊掛』。古今和歌集3-135(よみ人知らず)「わかやとの いけのふちなみ さきにけり 山ほとゝきすいつかきなかむ」を書と絵で表したものである。好みが分かれるところだろうが、私は気に入った。
さて、山本太郎である。冒頭の屏風二点は見応えがあった。抱一・基一を好む素人の感想だが、たらしこみは乱暴だと感じた。『立春清涼飲料水紋図』『雪中~』『秋草~』のシリーズ三点の絵葉書を買おうとしたが、売っていない。『御帰り観音流三太尊』は、横尾忠則を連想する。
展示は「Ⅰ神坂雪佳、Ⅱ神坂雪佳―山本太郎、Ⅲ山本太郎」としていて、わずかに数点のみが、近現代琳派の比較。テーマを神坂雪佳に限定しているからだろうが、宗達・光琳の大作アレンジが、今回の目玉のはず。テーマを変えるべきではなかったか。風神雷神も、紅白梅図も、金魚も、見に来るような人はたいてい知っているのだろうが、それでも写真パネルでもあれば、なおよく分かったのに、と思う。『砧図』展示解説の「砧」に「はまぐり」とルビを振ったりして、思わずどこの主催かと確認してしまった。主催者の責任もあろうが、展示作品貸出側も解説には目を通すべきではないだろうか。いい加減な仕事をしては、作品出品者に失礼だ。
***追記(12月14日)***
山本太郎の新作「『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』風神レイ&雷神カイロ・レン屏風」が清水寺で11月30日に披露された、と新聞で読んだ。スターウォーズ新作公開記念なのだとか。掲載された写真を見ての感想は、“おなかいっぱい”。
山本太郎の絵は、いつだったか新聞紙上で『紅白紅白梅図屏風』を見、どのようなものだろうと気になっていた。その山本が、この琳派400年記念に合わせ『マリオ&ルイージ図屏風』を制作したという。もちろんスーパーマリオ30周年記念という意味合いも込めて。先達へのオマージュと受け取れる作品群、能を題材にしたものなど「ニッポン画」の数々が展示されていた。
神坂雪佳といえば、「近代図案コレクション(芸艸堂)」の『美術海』『新美術海』『琳派模様』に見られるように図案画家として、また『琳派を愉しむ(淡交社)』にあるように琳派の継承者として知っていた。しかし今回の展示で、その広範な仕事を知ることになる。
神坂雪佳は、日本画を勉強したのち川島織物に入社し、織物図案を担当していた。その下絵と実際の織物とが並べてある。次いで当時の図案画家第一人者である岸光景に師事し、工芸図案と琳派の研究を始めている。今も夷川通に店を構える宮崎家具の『家具図案集』、細見美術館蔵の『竹図角盆』でその仕事を見ることができる。特に後者の、正方形の黒漆塗盆に朱で描かれた竹が力強い。茶碗の絵付けも、袱紗の絵も、蒔絵硯箱も、手がけた工芸品は多岐にわたる。
神坂雪佳で今回のお気に入りは、『藤波図和歌短冊及短冊掛』。古今和歌集3-135(よみ人知らず)「わかやとの いけのふちなみ さきにけり 山ほとゝきすいつかきなかむ」を書と絵で表したものである。好みが分かれるところだろうが、私は気に入った。
さて、山本太郎である。冒頭の屏風二点は見応えがあった。抱一・基一を好む素人の感想だが、たらしこみは乱暴だと感じた。『立春清涼飲料水紋図』『雪中~』『秋草~』のシリーズ三点の絵葉書を買おうとしたが、売っていない。『御帰り観音流三太尊』は、横尾忠則を連想する。
展示は「Ⅰ神坂雪佳、Ⅱ神坂雪佳―山本太郎、Ⅲ山本太郎」としていて、わずかに数点のみが、近現代琳派の比較。テーマを神坂雪佳に限定しているからだろうが、宗達・光琳の大作アレンジが、今回の目玉のはず。テーマを変えるべきではなかったか。風神雷神も、紅白梅図も、金魚も、見に来るような人はたいてい知っているのだろうが、それでも写真パネルでもあれば、なおよく分かったのに、と思う。『砧図』展示解説の「砧」に「はまぐり」とルビを振ったりして、思わずどこの主催かと確認してしまった。主催者の責任もあろうが、展示作品貸出側も解説には目を通すべきではないだろうか。いい加減な仕事をしては、作品出品者に失礼だ。
***追記(12月14日)***
山本太郎の新作「『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』風神レイ&雷神カイロ・レン屏風」が清水寺で11月30日に披露された、と新聞で読んだ。スターウォーズ新作公開記念なのだとか。掲載された写真を見ての感想は、“おなかいっぱい”。