前売り券を買って、まだまだ大丈夫と思っているうちに、終了日が間近。インフルエンザ騒動で人が少なくて見やすいかも・・・と、雨もよいの今日、マスクをつけて国立近代美術館へ。
この写真は、バレンシアガのミニドレスの生地の接写だった。実物の、なんと美しかったことか。
京都服飾文化研究財団コレクションから、17世紀以降のラグジュアリーファッションが展示されていた。やはり、刮目に値するのは、入り口すぐにある、エリザベス1世のドレス(ボディス)だろう。反逆罪で捉えられた晩年の恋人(エセックス伯爵)の母が、女王に許しを請うために、贈ったというものだ。蝶・毛虫・蛇・いんげん豆・かたつむり・チューリップ・勿忘草などの意匠が、それはもう細かい刺繍で、立体的にちりばめられている。この豪華なドレスの贈り物をもってしても、息子の命を救うことはできなかった。よく見ると、左袖のカフス内側の刺繍が、失くなってしまっている。刺繍が擦り切れるほど好んで着たのか、見向きもしなかったが後世の保管状況でこうなったのか、それは私にはわからない。母の悲しみを思いつつ、400年以上前のドレスがここにあるということの不思議を味わう。
さて、展覧会は4セクションに分かれている。「1.着飾ることは自分の力を示すこと」「2.削ぎ落とすことは飾ること」「3.冒険する精神」「4.ひとつだけの服」。
1では、さきのボディスに代表される宮廷ドレスや、20世紀の有名デザイナーによるドレスが展示される。ヘアスタイルも再現されており、マリー・アントワネットを髣髴させる、頭上に船の模型を載せたものも。
2では、時代が下って、快適で機能的なスタイルを見せてくれる。ポワレ、シャネル、バレンシアガなど。
3は、川久保玲。服の展示と同時に、その服を身に纏わない場合の形状を、写真で見せてくれる。何度も行きつ戻りつして、確かめた。この不思議な曲線は、この形から来るのかと。
4は、メゾン・マルタン・マルジェラによる一点物の服。これは何とも不思議なものが多く・・・。飲み物の王冠をつなげたベストや、レコードを裁断してつなげたドレス、トランプを貼り付けたベストなどなど。3着のウエディングドレスからリメイクしたウエディングドレスは着れそうだけど。
一番気に入ったのは、18世紀の紳士用宮廷服。20センチぐらいの幅広のカフスは、袖に横向きにボタンが並んでいた。飾りかとも思ったけど、きっとこれは、折り返しを袖にしっかり留めるため。ジャケットやジレの刺繍のすばらしさには、目を見張る。はっきりとした植物柄の刺繍は、チュールレースのアップリケや、スパンコールやビーズで飾られ、手にとって見たいと思うほど。この貴重な展示品を手に取ることはできないけど、PS3を使って、すばらしい拡大画像を、納得いくまで見ることができた。空いていたからゆっくり見られて、とても満足。
4階では、関連企画の写真展『都築響一 着倒れ方丈記』が開催されていた。これも面白い。最初の挨拶文も良かったな。さて、次の写真は、その4階から平安神宮の鳥居を撮ったもの。広~いガラス窓なので、いつも、しばらく外を見ていたくなる。