校長先生の声が
ウワンウワンと
マイクの反響になる
体育館の床の照明の反射とか
バレーボールやバスケットボールの
コートを表す白や黄の線の上を
さっきから滑っている
体育座りで
平坦で単調で冗長
ボールやシューズのゴムの匂いと
だだっぴろさの行止まり感
奮い立たせる何もなく
あーあ
ふと目をあげたとき
見つけた
逃げていくひと
わたしのかわりに
逃げていくひと
緑の部屋から
緑の影を引き連れて
逃げていくひと
光のほうへ
出ていくひと
希望のほうへ
向かっていくひと
きっとあの先は
生まれる前の記憶のように美しくて
氷を溶かすメロディーのように優しい
世界なのだろうな
紅葉したもみじが舞う温泉街で
着物で佇む
さびしげだけど
白い平和に満ちた心や
少しくすんでいるけど
色彩豊かな花のこぼれる
ベランダのあるアパートの
地味だけど堅実な暮しや
どこまでいっても
夕暮れのまま暮れない町に
永遠の家族が
いたりあったりするのだろうな
ずっと忘れてて
飛行機から空港まで乗客を運ぶバスの中から
ふとまた見つけた私の非常口
現実から遠ざけて
生きることに近付ける
人から遠ざけて
自分に近付ける
社会から遠ざけて
世界に近付ける
入口のような出口
出口のような入口
ちゃんと確認しておかないと
非常の際に慌てぬように
出てしまってもいけない
入ってしまってもいけない
逃げ出すかのように
向かっているかのように
こちらも向こうも見えていて
光の満ちたあっち側へと
導いていくひと
ウワンウワンと
マイクの反響になる
体育館の床の照明の反射とか
バレーボールやバスケットボールの
コートを表す白や黄の線の上を
さっきから滑っている
体育座りで
平坦で単調で冗長
ボールやシューズのゴムの匂いと
だだっぴろさの行止まり感
奮い立たせる何もなく
あーあ
ふと目をあげたとき
見つけた
逃げていくひと
わたしのかわりに
逃げていくひと
緑の部屋から
緑の影を引き連れて
逃げていくひと
光のほうへ
出ていくひと
希望のほうへ
向かっていくひと
きっとあの先は
生まれる前の記憶のように美しくて
氷を溶かすメロディーのように優しい
世界なのだろうな
紅葉したもみじが舞う温泉街で
着物で佇む
さびしげだけど
白い平和に満ちた心や
少しくすんでいるけど
色彩豊かな花のこぼれる
ベランダのあるアパートの
地味だけど堅実な暮しや
どこまでいっても
夕暮れのまま暮れない町に
永遠の家族が
いたりあったりするのだろうな
ずっと忘れてて
飛行機から空港まで乗客を運ぶバスの中から
ふとまた見つけた私の非常口
現実から遠ざけて
生きることに近付ける
人から遠ざけて
自分に近付ける
社会から遠ざけて
世界に近付ける
入口のような出口
出口のような入口
ちゃんと確認しておかないと
非常の際に慌てぬように
出てしまってもいけない
入ってしまってもいけない
逃げ出すかのように
向かっているかのように
こちらも向こうも見えていて
光の満ちたあっち側へと
導いていくひと