詩と写真 *ミオ*

歩きながらちょっとした考えごとをするのが好きです。
日々に空いたポケットのような。そんな記録。

放たれた目

2019年07月15日 | 
マス目に合った足の運びで
クジャクが羽を忘れていったように
目を放射状に放つ

おびただしいビルが震えながら退いて
木々の枝はしな垂れていく
なにより
折り目のないズボンが足を引きずっている
街灯がこぼしたスープから
陰口を啜って生き延びている
そのかぎりでは逃げてはいない

水の流れている絵がまぶたの裏に焼き付き
止まっていて
しずけさの極みなのに
滝の内側のような
轟音に体が落ちていく
なまめかしく閉じられている
たくさんの目
ゆるやかに時は流れる

天として父の目があり
遍在する喜び
揺り動かされて
いマスネ

枠の中に収められた拝受として
そのかぎりでは逃げてはいない
逃げてはいけないのかもしれない
どんなに逃げていてもいいから
窓辺で本を開くなどして

寄る辺ない旅人として
認められたい曇った卵が
大きく抱きしめられていて
どこでだってきっと生きていける
書き記したり測量したりおもんぱかったり

足を生み
手を生み
羽を生み
まるで
内なる目を放射状に放って

天として父の目から流れる
涙のような雨が
殻とともに街に注ぐのは
愛と呼ばれる何かなのです
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